060 終戦
兵士。六槍師。兵士長。
両国ともにこの争いで多くの犠牲を生んだ。それは、人の命に限らず、人が造り上げたものにまで影響を及ぼしていた。
広い部屋だったはずのこの場所は、既に崩壊し、空が見えている。辺りにあるのは瓦礫と、味方の残骸。それはまさしく地獄のような光景だった。
「フィリップ……お前の正義は本当の正義じゃない……!もう諦めろ!!」
「諦めるのは貴様らの方だ。俺の計画通りにするためには貴様らを殺さねばならない。悪いが、死んでもらうぞ。」
両者共に服は破け、身体のあちこちから血が出ている。特にバールは先ほどの攻撃で大きなダメージを受けていた。動くと傷が痛み、その度に顔をしかめている。
「これで終わりだ……。感謝しろ。跡形も無く消してやる……!!」
フィリップは残っているパワーを最大限に放出した。近くにいるだけで肌がビリビリするような、恐ろしい程巨大なエネルギーを感じる。
近くにいたディープも、この状況はまずいと思い、バールの名を叫ぶ。
しかしバールの表情は一点、敵を見つめたまま動かなかった。
「本当の悪はお前自身にあるんだ!正義は……本当の正義は皆で助け合いながら平和な世界を作っていくものだろ!!」
負けじとバールも気を集中させる。再び彼の全身に電気が走った。バールの周りで爆発音が鳴り、瓦礫を吹き飛ばす。
「うるさい。貴様らさえいなければ俺はこの帝国の力を世に示すことができるんだ!!」
王は最後の攻撃を放つ。それはまるで、この世の全てを悪に染めるような、恐ろしく、どす黒いものだった。
「覚悟しろ……フィリップ!!」
「な、何?!」
バールがエネルギーの中心に突っ込んだ。まるで真っ黒な雨雲に走る稲妻の様な軌道を残し、エネルギーの塊を切り開く。
「バカな……。」
彼のまさに光の様な速さで発生した巨大なエネルギーは、崩壊した城をさらに大きく揺らす。壁はどんどん崩壊していく。
「バ、バール?……あんたこんな力、いつのまに……」
それは師匠でさえも驚いてしまうほど、これまでの彼とは桁違いのパワーだった。彼の身体に走る電気も、だんだん強いものに変化していった。
「お前だけは、何があっても救えない……死んで罪を償え!」
バールは叫んだ。とてつもなく大きなパワーは、おそらくコントロールできていないだろう。そして、渾身の力を込めた右手で、最後の攻撃を放つ。
先程まで視界を遮るほど黒いエネルギーで覆われていたこの部屋が、晴れ上がった。
そこには、もう戦うことのできなくなってしまったロスクルド帝国の王の姿があった。地べたに倒れ、動かない。そして王を倒した1人の少年が、師匠に向かって安堵の表情を見せる。
「あんたは本当に……。」
涙ぐむ師匠と、すべての力を使い切りその場に崩れる少年。外からの光が、まるで世界を救った少年を讃えるかのように包み込む。自らの弟子が奮闘する所を見守っていた師匠が、少年を担ぎ、救護係のいる所へと戻って行く。
こうして、大規模な犠牲が生じたこの大陸戦争は、終わりを迎えるのであった。
大陸戦争編、これにて完結になります!
次章、クリーガー編では主人公達が術を駆使して戦います!
これからも評価や感想などよろしくお願いします。




