038 平和の代償
〜ロスクルド帝国〜
ゼロと手を組んだフィリップは、バルーデ禁足地を後にし、少し離れた古都ミレリンに向かった。
ミレリンは敗戦以前はロスクルド帝国の首都として繁栄していたのだが、敵国からの空爆により中心部は壊滅。当時この国の経済を根本から支えていたため、様々な方向へと影響を及ぼした。
敗戦を機にAFFが締結させたエメリー条約にて、首都がドルーアに変更される。
戦争によって崩れたこの国と、それによって平和が訪れた世界。
戦争に勝ち、裕福になっていった諸外国と、貧しい暮らしを強制させられたこの国。
いつだって、平和の裏には大きな代償がある。
ミレリンの中心には、かつて王族が暮らしていたとみられる城の跡地があった。
当時はビシュ城という名前で、この街のシンボルだったらしい。
「やっと綺麗になったよな。ここも。」
ゼロが懐かしそうに笑う。
ロスクルド帝国の住居は、アパートが主流だ。
災害の少ないこの国では、随分昔に造られたであろう建物が、今も現役でそびえ立っている。
古い住居と新しい住居が不規則に並ぶ。ミレリンはそんな街だった。
「ちょっと見て欲しいものがあるんだ。」
そう言ってゼロが案内したのは、とある軍事施設だった。
「こ、これは…… 」
ハーロン博士が驚くその横では、フィリップが目を見開いていた。
「素晴らしい……。こいつは使える。」
フィリップが見たものは、巨大な戦艦、いや潜水艦の姿だった。
「結構金集めるの大変だったんだぜ?コルネリア教の信者大量に増やしてよぉ、そいつらから多額の謝礼金かき集めてさぁ」
笑いながらゼロがペラペラと話す。
サンタリパパの住民は、こんなことに利用されていたのだ。
「な、なるほど……こ、これは敵への攻撃のバリエーションが豊富になりますね……!」
「だろ?こいつ、結構性能も良いんだぜ。最大6人までしか乗れねえのは不便だがな。」
フグマールの隠れ家でバール達が訓練をしているちょうどその頃、ロスクルド帝国は秘密裏に、そして着実と事を進めているのであった。




