036 正体
バール達の背後にはとても背の小さな1人の老婆が立っていた。銀色の髪の毛を後ろでお団子結びしている。
「出たとはなんじゃ。人を幽霊扱いしおって。まったく無礼なやつじゃ。」
「ははは、ごめんなさい……。」
声を上げたのはモエだった。彼女が申し訳なさそうに謝る。
その後ろでディープとトゲゾウが真剣な表情で目を合わせる。
(さっきの不気味なオーラ……どうやらただのお婆さんでは無さそうね。)
そんなことを知りもしないアカツキ義勇団は、老婆に案内されるがままに、建物の中に入っていく。
オーラの正体が小さな老婆だと知り、安心するアカツキ義勇団と、警戒する六槍師とクロガネ。
館内が明るくなった。中はとても簡単な造りの、ただの古びた旅館だった。お世辞にも綺麗とは言えない内装。壁の板の一部は剥がれかけている。
館内を見回していると突然、老婆が振り返った。
「そういや、テツがお主らにここを貸してやってくれと頼んできたのじゃが、一体何をする気なんじゃ?」
どうやら老婆は六槍師のテツを知っているらしい。どういう関係かは分からないが、なぜこの旅館を紹介したのか、少し理解できたような気がした。
「テツさんを知ってるの?」
先程「無礼なやつ」と言われたモエが聞く。
「知ってるも何も、奴はわしの弟じゃからのう。」
「え……」
「お、弟ーー?!」
驚く一同だが
老婆は目を丸くし、なんだ、聞いてないのか。と言わんばかりの表情をする。
不気味なオーラを放っていたことは、老婆がテツの姉であるということに関係しているのだろうか。
(ということは、この人も羅天術を使うことができるのかも……。)
ハヤトが身構える。
思わぬ出会いに動揺するアカツキ義勇団。
彼らにとって大きな意味を持つ訓練が、始まろうとしている。




