035 緊張
フメイ大陸での戦闘訓練のため、長期滞在に使われる旅館はデネグ共和国のヤボクーレ区にあった。
この辺りは自然がとても豊かだ。建物が少なく見晴らしがいい。広大な敷地には草木が生い茂っている。
少し歩くと、温泉街の様なところに出た。美しい自然だが、逆に倒壊寸前の建物が目に入りやすい。
ここは今も営業しているのだろうか。人の出入りがない建物の列を抜けていくと、
その建物はあった。
ここだ。禍々しい妖気の様なものを感じ取ってしまうが、その木造の建物の看板には文字が書いてある。
「フグマールの、隠れ家……? 」
バールは辛うじてその文字を読むことができたが、何を意味するのか全く分からなかった。
六槍師達も後ろで唸っている。
フグマールの隠れ家という名前の建物は、訓練するのに丁度良いとテツが紹介してくれた。
不思議なオーラを除けば、ただの古びた旅館だ。とても長期間の訓練に向いているとは思えない。
「まぁ、行けばわかるさ。 」
トゲゾウの言葉に頷く弟子達。
あまり広くない庭を通り大きな扉の手前で止まる。
「いいか?開けるぞ…… 」
弟子達はトゲゾウとクロガネの後ろに隠れていた。いや、弟子だけでなくディープも何故か隠れていた。
彼らの身体は大きいため、隠れ場所にはうってつけだ。
恐る恐る扉を開けるトゲゾウ。
耳障りな音とともに扉がゆっくりと開いていく。
扉の先は暗闇だった。明かりもないので転ばない様にトゲゾウとクロガネにしがみつきながら弟子達は進んでいくのだが、
ゆらぁ
気付いた時には今まで戦ってきたものとは別の種類の不気味なオーラに包み込まれていた。
「で、でたぁぁぁぁ!!!」




