031 指令
世界の五大陸で白熱するロスクルド帝国との争いは、戦況を大きく変えようとしていた。
ロスクルド帝国は数名の兵士長を、対するビバ帝国側は六槍師1人とアカツキ義勇団のメンバーを数名失うこととなった。
ロスクルド帝国は一時撤退し、戦力の補強とこれからの対策をとるという選択をした。
ビバ帝国は六槍師とアカツキ義勇団をフメイ大陸に集合させるそうだ。これにはどんな意図があるのだろう。
そしてこの争いはどのようにして終結に向かっていくのだろう。
〜ピス大陸・ビバ帝国〜
ナツノとゲラビホという大きな存在を失ったピス大陸グループはクロガネの指示の元、復旧作業に当たっていた。
ペノー市から少し離れたダブリタス市。ナツノのいた喫茶店はここにあった。
モダンな雰囲気のこの街は、すでに人口の二割が死傷するというとても大きな被害を出しており、市民の不安は当然六槍師並びにアカツキ義勇団に向けられた。
被害を出してしまったという逃れられない現実がクロガネの胸に深く突き刺さる。
クロガネは普段は熱く、兄貴肌な性格なのだが、とても落ち込みやすいのだ。今回も自分のことを責めてしまっている。
落胆するクロガネ達の元に、一通の連絡が届く。
それは、六槍師とアカツキ義勇団に向けたものだった。
「六槍師並びに、アカツキ義勇団はフメイ大陸に集合せよ」
〜クベック大陸〜
その知らせはディープ達のいるクベック大陸にも届いていた。
「これ送ったの、テツかしら? 」
ディープが不思議そうな顔をすると
「俺は残らせてもらいますよ」
エドはクベック大陸に残るつもりらしい。どういうことか彼に尋ねると
「皆一斉にフメイ大陸に集まったらここの守りが薄くなるでしょ。だから俺と救護係数人は残ります。それに、ゼロのことも気になる。」
確かにゼロのことは気になるが、おそらくテツが出したであろう指令に従わなくても大丈夫なのだろうか。ディープの不安を他所に、エドは言う。
「大丈夫ですよ。テツさんならきっと理解してくれます。」
「そう、わかったわ。あんたの分は私に任せてちょうだい。」
強い風がディープの長い赤茶色の髪の毛をなびかせる。
レンガ造りの階段の上で、ディープとエドは無事に再開することを誓った。




