表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
大脱走
9/64

第9話 変な忍者よ、捕らえられた響夜を救えるか?


「じぎじょう……!」

 

 城の庭。城壁前。

 俺、御剣みつるぎ 響夜きょうやは現在、縄でぐるぐる巻きにされて、組み伏せられてる。

 城の外まで出れたのはいいが。太子たこ達に待ち伏せされてた。


 城の外まで出ればテレポートを使って逃げれると思ってたが。そうはいかなかった。

 結界は城の中だけでなく、敷地内全域に及んでおり。テレポートが発動できねえ。

 思わぬ誤算。

 無謀にも戦うものの惨敗ざんぱい

 またしてもちからの差を思い知らされる。

 人質のレンも奪還され、戦利品の剣も奪い返された。

 

 あと少しで城から脱出できたのに。

 石の外壁を出ればすぐ外なのに。

 なのに動けないとは……。

 

 現在半泣きで歯を食いしばってる。

 我ながらむっちゃ情けない。


「今度こそ殺してやるから覚悟してろよ」

「待て! 話せばわかる。じっくり話し合おう」

問答無用もんどうむよう! 打ち首にしてくれる!」

「あかん。こいつ聞く耳持っとらん」

 

 刀を天高く掲げる。

 何とかしたかったが、回避する手段がない。

 最早もはやこれまでか。


「待ってくれ、タコさん」 

 

 刀が振り下ろされそうになったその時だ。

 何者かが待ったをかける。

 それは誰であろうレンであった。

 

「なんだレン。ジャマをするな」

「どうしても教えてほしい事が……」


 レンは太子に近寄ると、何かを問う。

 これに太子は素っ気ない態度で流そうとする。

 表情にこそ現れたないが、めんどくさそうに見える。

 それこそ、心底どうでもいいみたいに。

 

「オレにとっては大事な事なんですよ! タコさん!」

 

 一方でレンはスルーさせまいと、譲らへん。

 額に汗流しながら問い詰めてて。それこそ、焦ったように答えを持てめている。

 こりゃあ相当重要な事らしいな。

 

 ま、差し詰め俺を倒すために自分が犠牲にされそうになったことだろう。


「……仕方ない。私の代わりに見ていてくれ」

「はい。分かりました」


 俺の監視を兵の1人に任せて、太子がレンの方に向かって行く。


「……。レン、言ってみろ」


 で、最終的に太子が折れて話しを聞く流れに。

 けれども、太子は表情こそにこやかなものの。

 声のトーンから察するに、気乗りしないらしく。仕方なく聞くといった感じ。

 これは嫌のことをする前の心境と似ているな。

 俺以外の者は気づいてないが。ありゃあ、心底めんどくさいと思ってるに違いない。

 

 ――そんなことが分かるのも、俺が人の本性を見抜くのに優れているから。

 これは持って生まれた才能なのか。それとも勧善懲悪かんぜんちょうあくのマンガを沢山読んで鍛えられたのか……は不明だけど。

 何となく分かるんだ。

 

 だからといって危機回避能力に長けている訳ではないが。

 それもこれも俺の要領が悪いからか……。


「あの時に何故にオレを犠牲にしようとしたのですか!」 


 ……まあ、それはともかく。

 レンが聞きたいってのは、予想通り自らを犠牲にしようとした事。

 声を荒げて太子を問い詰めてる。


「あんなの嘘に決まってる」

「えっ!? ホントですか?」

「本当だ。『敵を欺くにはまず味方から』と言うでしょ」

「うーん……確かに」


 太子の言い分を聞くと、レンは悩み顔で唸り出す。

 どうやら半信半疑のご様子。

 そりゃそうだ。言ってることはもっともらしいが、嘘っぽいからね。

 だから悩んでいるのだろう。


「では、あの時の発言は演技?」

「当たり前だ。素質ある、大切な仲間を私が見捨てる訳ないでしょ」

「確かに俺達4人を召喚したのも、世界を救うためだったな……」

「そうだよ。キミは有能な仲間だからね」

「タコさん……」

 

 太子のヤツ、それっぽいことを言い、レンを丸め込んでいく。

 口八丁くちはっちょうなやっちゃ。

 最初のうちは怒りと焦りの色を見せていたレンも落ち着き。完全に丸め込まれたっぽい。


 だが、レンは騙せても俺は騙せれんぞ。

 あんな空々しい安っぽい言葉なんぞ、信じられるものか。

 ほんに上っ面だけは良いやっちゃで、ホンマ。

 

 だけど、話すのに夢中で俺から注意がそれてる。

 ――これは絶好のチャンス。

 無詠唱むえんしょうかつ高速詠唱こうそくえんしょうで召喚魔法を発動。

 強力な召喚獣を召喚してかき乱してやるでぇ。

 

 前にやった時と違ってマナタイトは無いが。

 パワーアップした今なら強力な召喚獣を従える見込みはある。

 運を決める神よ、今後の運などどうでもいい。だから今だけは幸運をお授けください!


「我に力を……! 召喚!!」

「ギャアア!?」

「お前はあの時の!」


 俺の頭上に魔法陣が出現。

 魔法陣から出てきたのは、でっかい顔の男。

 黒の忍び装束をまとい、忍者刀にんじゃとうを背中に背負っていた。

 召喚時にドスーンと尻餅ついて召喚される。

 ダサい。


 こいつは以前初級忍法を教わった――でっかい顔の忍者。

 ハズレを引いてしまった。

 俺って召喚士の才能ないのか?

 だとしてら、俺の才能って何なんだ?


「何なんだ! このでかい顔の変な恰好の男は!?」

「わかりません! 突然現れました」


 兵士の皆さんは、正体不明な男の突然の登場に混乱。

 対応に困り、動揺。あたふたしていた。


「宿で内職してたのに、なんでこんな所に居るの?」

 

 一方で、でっかい顔の忍者は挙動不審に周りをキョロキョロ。

 こちらも事態が飲み込めてないらしいな。


「おい、忍者! 俺を助けてくれ」


 ハズレ引いたと思うものの。こんなんでも役に立つかもしれん。

 忍者がどれ程のちからを持ってるか不明だが。俺は助けを求めた。


「あなたがアタシを呼んだんですか?」

「そうだ」

「なら、すぐに帰して!」

「なんでだ!」

「もうすぐ内職の親方が来ちゃうんだよ~! まだ終わってないんだよ~!」

「お前、内職で生計立ててんかい!?」


 けれども忍者はそれを拒否。その理由が内職とは。

 忍者も俺と同じく異世界召喚者だと思われるが。

 内職で生計立ててるとか、どんだけ困窮してんだよ。

 ヤツが生活苦なのは、出会った当初からうすうす気づいてたが。要領悪すぎじゃね。


「この不審者を捕らえよ!」

「「「「はい!」」」」


 忍者との話し合いに、揉めてると。

 太子のヤツも事の異変に気づき、向かってくる。

 兵士達も忍者を取り囲み。あっという間に八方塞はっぽうふさがり。


 まあ、忍者が悪目立ちする上に、大声で騒いでたから。当然ちゃあ、当然か。


「内職代の倍払うから、俺の脱走に協力しろ!」

「獣耳のお嬢ちゃん、アタシを雇ってくれるの!?」

「そうだよ。だから早く助けろ!」

「はーい、わっかりましたぁ。いくぞ!」


 いちおうは交渉成立。

 忍者は背中に背負った忍者刀を構えると。

 太子目掛けて突っ込んで行くが。


「こんなもの!」

「んおおっ!?」


 太子は忍者の攻撃をひょうとかわすと。ローキックをお見舞い。

 左足を蹴られた忍者は、バランスを崩してすってんころりん。

 

「ふぬぬぬぅ!」


 その顔が邪魔となって、忍者は起き上がるのに苦戦してる。

 忍者は身長が180センチはあろうかという長身。

 だが、身長の大部分を顔が占めており。2頭身のアンバランス。

 ねんどろいどみたいだ。

 従って、忍者にローキックは有効な技といえる。


「さっきは油断して一撃食らっちゃったけど。今度はアタシの本当の実力を見せてあげるわ!」 


 忍者刀を松葉杖まつばづえ代わりに使い、かろうじて起き上がるものの。足取りはフラフラ。

 強がっているが。ものごっつうぎこちない。

 これでは、はったりもいいところだ。


「忍法《ネズミ変身》! かかってらっしゃい」

「あいつはバカか! 何を考えてるんだ」


 スキルを使ってネズミの姿に変身すると、ファイテングポーズ。

 しかしそれは潜入・潜伏用のスキル。

 その様なスキルを真っ向勝負に使うなんて骨頂こっちょう

 使い方を理解してないと言わざるを得ない。


「こんなスキル!」

「ふんぎゃああああああ!」

 

 あんじょう、忍者は太子の蹴りをまともに食らってしまってダウン。

 気絶して、白目むいてぶっ倒れてる。

 

 しかし、太子は強いとはいえ。一撃で沈むとか、なんと弱いのだろうか。

 あいつはマジで何がしたかったんだ?


「ちょっとでもあんなヤツを信じた俺がバカだった。所詮自分の身は自分で守らねばならんということか……」

 

 ――退路は断たれた。微かな希望もないというのか。

 自らの不運を呪った。

 ぶっ倒れてる不甲斐ふがいない忍者を見て、呆れつつも。早々に次なる打開策を練り上げねば。


 

忍者 西川徳川家光カブレノ豊臣側

・性別:男

・種族:人間

・血液型:O型

・年齢:数え年で35歳

・誕生日:4月1日

・一人称 :アタシ

・身長:179センチ

・体重:51キロ

・毛色:色の濃い黒色

・瞳の色:黒色

・好きな食べ物:鍋料理、芋、お味噌汁、おむすび(できれば梅握り)

・嫌いな食べ物:貧乏生活してたので嫌いな食べ物はない

・趣味:山菜採り、紅葉狩り

・性格:守銭奴。超おっちょこちょいのおっちょこちょい男。ナルシストなことろがある。

・人物:響夜が召喚された世界とは別の異世界の住人。オネエ言葉のような言葉遣い。ね〇どろいどを思わせる二頭身の巨大な顔が特徴。その顔が邪魔となって、山道などを歩くと高確率で転ぶ。身長が高めでずんぐりむっくりな体型ではあるが、体重は51キロと軽い。とある忍者に憧れて忍者になった過去があるが、忍者としての素質は限りなくゼロに近く、忍者学校を20回も落ちている。マスクをしてることが多いが、素顔は太い眉毛にしゃくれ顎あごと真っ赤な頬紅ほおべにを塗りたくったような日の丸ほっぺ。髪型は茶筅髷。おっちょこちょいなため、実力を低く見られがちだが、実は高いポテンシャルを秘めてる。ただし、まだ才能を開花させてない。熟女好きで好みのタイプは姥桜。情にもろくて困った人に対しては損得勘定抜きで助けずにはいられない性分。自分を天下の二枚目だと思ってる。下戸で酒に物凄く弱い。酒の匂いを嗅いだだけでほろ酔いになり、弱い酒一口飲んだだけでグデングデンに酔っ払う。酒乱であり、酔っ払うと見境なく大暴れする。ある日突如足元に現れた魔法陣の影響で異世界へ飛ばされてしまう。持ち前の要領の悪さで生活は困窮している(と言っても、故郷でも貧乏してたが……)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ