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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
焚き付ける
64/64

第63話 戦いが終わった後、残された者達がどうなったかと申しますと……

主人公が死んでしまいましたが、まだ続きます。


 王城付近の草原。

 夕方前。


 響夜(きょうや)と鳴鬼(めいき)が激闘を繰り広げ、両者共倒れという結果に終わる。


 戦いが終わった後の草原は荒れ果てており。戦いの激しさを物語る。

 今の草原は、半荒野化していた。


「「うえーん、うわーん!」」


 そんな場所で大泣きする者が。

 ――よしふみくんと西川(にしかわ)である。


 彼らは響夜がまき散らした道具の中からスコップ拾うと。

 他の仲間も巻き込み。それを使って一心不乱に穴掘り。

 

 なお、なぜに穴掘りなどしてるかというと――


「うえーん!」「うわーん!」「……アタシ達が掘ってるのは……響夜様の墓穴じゃない」


 そう。

 響夜の墓穴である。


 彼らは僅かながら戦場に残された響夜の肉片をかき集めて供養しようと考えたのです。

 故人の冥福を祈るのは良い心がけだ。

 

 しかし、既に一メートルも掘ったにもかかわらず。まだ掘り続けている。

 どれだけ掘るつもりだろうか?


「泣いとらんで、しっかり掘るだぁ!」


 二人があまりに情けなく泣き続けるものだがら、とうせん坊(ぼう)が一喝。

 とても男らしい。


 しかし彼も響夜の死を悲しんでいるのは同じ。

 その証拠に、歯を食いしばりながら、潤んだ瞳から涙が零れ落ちないように必死に堪えていた。

 きっと、“男が人前で泣くなんてみっともない”なんて美学でも持ってるのだろう。


 そんな事情で、心境的には最悪だったが。彼の仕事っぷりは大したもの。

 力自慢ってのもあり、仕事は順調に進む。


 ◆


「こんなぐらいでいいかしら?」


 なんやかんやで墓穴を掘り終わる。

 穴の深さは二メートルに達しており。棺(ひつぎ)を使用しない埋葬には十分な深さといっていいだろう。

 それだけ念入りに弔ってあげようって考えなのかもしれません。

 このことからもわかるように、響夜は仲間に恵まれたといえるだろう。


 まあ、当の本人はそれを知る術がないが……。


「でもコレどうします?」


 墓穴作りは思わぬ効果をもたらした。

 希少なアイテム“マグマカード”を偶然発見したのだ。

 行方知れずになってた二枚のうちの一枚である。


 このカードは呪文を唱える事で――死せる者の肉体を分子レベルで再構成し、更に強力な能力を加えて、より攻撃的にして生き返らせる強力なアイテム。


 そのようなアイテムを発見できたのは全くの偶然だが。

 不幸のどん底に追い込まれた彼らですが、『災い転じて福となす』あるいは『塞翁が馬』てな感じに都合の良い展開となる。

 神様は彼らを見放してなかったんですね。

 ……まあ、ご都合主義っぽいですけど……。


 これで響夜を強化蘇生するかと思いきや――


「キレイだから持って帰ろう」

「そうですね、よしふみ様」


 マグマカードの価値と使い方を知らない彼らに響夜を蘇生などできなかった。

 

 優れた道具も、そのポテンシャルを引き出せる者が使用してはじめてその力を発揮する。

 しかし、それができない彼らにはマグマカードも『宝の持ち腐れ』もいいところ。

 マグマカードを手にしたのが響夜ならば有効に使えただろうが。

 価値のわからない彼らには『猫に小判』以外のなにものでもなかった。


 結局、マグマカードは大事にしまっておくだけ。

 響夜を復活させるには至らなかった。

 

 ◆


「これだけ念入りに埋めとけば誰も墓を荒そうなんて思わないでしょう」


 墓穴を掘り終わると、速やかに土葬。

 なんやかんやで埋葬を終える。


 なお、かなり念入りに埋葬したらしく。

 土は、『土俵でも作ったのか?』、と言いたくなるぐらいガチガチに踏み固められており。

 簡単に掘り返せないようなっていた。


 これなら墓荒し対策もバッチリだが。

 響夜は貴族・王族でもなく。貴金属などの財産的な価値が高いものが一緒に埋葬されてもいないので。

 墓荒しするような者は、まず現れないだろう。


 要するに、彼らのやった行為は過剰な自己満足に過ぎない。


「南無阿弥陀仏……響夜様、化けて出ないでね……」


 そうこう説明してる間に、西川を中心に。一同、列となって手を合わせて念仏唱え出す。


「ねえ、フォルティス。これってどういう意味があるの?」

「わかんない」


 ただ、フォルティスとゾウレンジャーは何が何だかわからないらしく。漠然と皆に合わせていた。

 

 ◆


「我が軍団のリーダーがいなくなっちまったわけだが。誰がニューリーダーとなる?」


 供養も程々、ジャイアンザウルスが誰が新リーダーとなるか問う。


「それはナンバーツーである、このぼくだ!」


 真っ先に名乗りを上げたのはよしふみ。

 彼は自らが二番手であったから繰り上がりで自分がトップだと言い張る。


「ちょっと待って! ナンバーツーはアタシよ。勝手に軍団ナンバーツーを名乗らないでほしいわ」


 これに西川が待ったをかける。

 彼も自らが二番手だと言い、譲らない姿勢を見せる。


「だったら、どっちがナンバーワンに相応しいか勝負だ!」

 

 これによしふみくん、力で決めようと勝負を申し込む

 このまま次期リーダーの座を巡って二人は決闘するかと思いきや――


「ナンバーワンになる気はないわ。アタシの目的はナンバーツーとして、ナンバーワンに仕えるのみ。だからナンバーワンの地位は譲りますわ」

「はへぇー……」


 どういうわけか西川はナンバーツーという地位にのみ固執。

 トップの座には一切興味をに召さないで。敢えて自ら二番目を主張し、裏方をかってでる。


 この予想外の反応によしふみは拍子抜け。

 口あんぐりさせて、ポカンとしてた。


「じゃあ、西川のおじちゃんはぼくがリーダーになっても文句はないと?」

「もちろんですわよ!」

「お待ちくださいカブレ様! この中で最も優れてるのはカブレ様です。カブレ様がリーダーになるのがベストな選択です」


 福富(ふくとみ)が異議申し立て。

 自分の主こそがリーダーに相応しいとアピールした。


「アタシ一番になるのなんて興味ないわ。二番手で一番に仕えるのがいいのよ」

「しかし」

「それに響夜様みたいに一番になってみんなを引っ張ってく自信なんて一欠けらもないのよ」


 リーダーになるのがよほど嫌なのか。西川は涙目で福富に丁寧なお断りの理由を述べる。

 トップの座に興味を示さないばかりか。むしろ嫌がってるご様子。

 変なの。


「そんなんだから、リーダーの座はよしふみ様に譲ります。で、アタシがサブリーダーね」

「ありがとう! じゃあ、ぼくが新リーダーだ!」


 互いに納得し。ガッチリと悪手。

 これで新リーダー誕生かと思われたが――


「待つだぁ! まだわらしを頭(かしら)だと認めた覚えはねーど」


 今度はとうせん坊が待ったをかける。

 どうやら、年少メンバーであるよしふみには従えないらしい。


「ぼくの下につく気はないと?」

「もちろんだぁ! おらは響夜の頭の家来となっただぁ。だからおめぇには従わん」

「ムムッ!」


 とうせん坊は交戦の態度を示す。

 

 言うまでもなくよしふみはこの態度にふくれっ面(つら)。

 これは一触即発にでもなりそうな雰囲気。


「よしふみお兄ちゃんを悪く言うのはやめてもらおうか!」

「なんだとぉ!」

「新リーダーに相応しいのはよしふみお兄ちゃんだ! お前なんかじゃない」 


 突如として話に割り込むゾウレンジャー。

 彼はよしふみとの信頼関係が非常に強いので。よしふみを猛烈に支持した。


「だったらどっちが相応しいか勝負だぁ!」

「望むところだ!!」


 売り言葉に買い言葉。

 双方は全く譲り合わず、新リーダーを決める勝負を行う流れに。

 

 それにしても仲が悪い。

 指揮系統を失い、内部分裂が勃発するところ、響夜の影響は大きかったと言えるだろう。

 本人が自覚してたかは定かではありませんが。彼らは響夜の統率力で一丸となってたに過ぎないのかもしれません。

 もしもそうなら、それが失われれば崩壊も時間の問題となるのも必然ですね。


「みんな、やるぞ!」

「はい!」

「おうよ!」


 ゾウレンジャーとジャイアンザウルスと団結するよしふみ。

 

 それに比べてとうせん坊はひとりぼっち。

 これからこの三者と戦うことになっている。

 当然だ。

 彼には支持し付き従う者も、酷使する奴隷もいなのだから。


 不利を承知で挑んだとうせん坊。

 勇敢なのか無謀なのかわからん男である。

 

 はたして、勝敗はいかに!?

 次回に続く!!



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