七十話
「おう、お疲れさん」
ゲームからログアウトした男に別の男が話しかけてくる。
「クロワサさん」
「おいおい、その呼び方はゲームの中だけにしてくれ、リアルじゃ黒沢警視だろ」
黒沢はもともと警察に勤めており、休みのうちにゲームをやろうとしたFWOで事件に巻き込まれたのだった。
その後、実際に事件を体験し、40代の若さで警視を務めてた黒沢とを当時の事件解決の責任者であった森永の二人を頂点にAI・VR技術犯罪対策課が設立された。
今日の所は県警察の視察である。
その墓所には黒沢が誘った男がいることもあって直接視察に来たわけだった。
「警察にはなじめたか?」
「どうだろうな? 俺が馴染めたって思っててもほかの奴が言えずにいるだけかもしれないしな」
黒沢は苦笑する。
目の前の男が相変わらずひねくれていたからだ。
「只今戻りました」
男と黒沢が話してると入口の方から新たな人物が現れる。
「あっ黒沢警視、お勤めご苦労様です」
「堅苦しいのは別にいらねぇんだよ。それよりおめぇら用事あんだろ? あまり人を待たすもんじゃねぇし、早くいってやれ」
「ありがとうございます。警視殿」
「んじゃ、お先に失礼します」
後から来たものは悪もでも礼儀正しく、元から居た男はどこかフレンドリーに言った。
「完二、ちゃんと奴らを押さえられたか?」
二人は完二の車に乗り、目的の場所に向かっていた。
「当り前だよ、君がちゃんと中で押さえててくれたからね」
「ってことは俺が捕えた方に方に入れて員だな?」
「それはだめだよ。あくまでも共同戦線となったんだからお互いに同じポイントだよ」
二人は仕事の成果を競っていた。
それは犯人を捕らえた数であり、不謹慎と思えるかもしれないが二人のモチベーションはライバル視する相手と競うことにより二人の確保人数はかなりの数にのぼる。
「イヴ、お前はどう思うんだ?」
「二人で協力してたので完二お兄ちゃんが正しいと思います」
二人しかいないはずの車の中でもう一人の声が聞こえた。
その声は男の持つ携帯から聞こえる。
声の正体はイヴ。
FWOのすべてを管理するものであり、デスゲームを起こした犯人だった。
今ではネットに接続できないのを条件に男と一緒にいる。
もともと莫大なデータなため、特別仕様の男のパソコンじゃないとデータが収まりきらないが、テレビ電話に似た機能を使い携帯から会話に参加していた。
「さて、そろそろ皆さんが集まってるころじゃないですか?」
「うん、そうだね」
予定時刻よりは十分早いがみんな楽しみにしているようなので早く来ているだろう。
「イヴ、ちょっと遅れるって伝えてくれないか? 完二、車を止めてパトカーを呼んでくれ」
男は完二が車を止めたと同時に降り、走っていく。
それを追いかけるように車を出た。
「おいおい、そこの男とまれや」
黒いジャケットを着た男に向かってそう言う。
男は振り返ると同時に飛びかかってきた。
その手にはナイフが握られており、近くに車が止めてあって中学生ぐらいの女の子の後ろにいたことから脅して誘拐でもしようと思っていたのだろう。
誘拐犯が振るったナイフは何もとらえることができなかった。
男のけりが誘拐犯の足に当たり、体勢を崩すとともにナイフを奪い去る。
そしてすぐに腕を捻りあげ、動けなくする。
「相手が悪かったな、お前を誘拐未遂の現行犯逮捕とする」
そこで遅れてきた完二が来た。
そして完二の持つ手錠により男を拘束する。
「どうして人のピンチにすぐに気づけるのかなぁ?」
「お前らが鈍いだけだろ」
「まったく君は素直じゃないねぇ。それでこそ僕のライバルだよ」
「らしくねぇな」
完二は苦笑する。
いつもの雄介だと。
男、つまりは雄介が立ち上がろうとしたところで懐から一枚の紙が落ちる。
そこにはこう書かれていた――
『武智雄介、明智完二主催≪FantasyWorldOnline≫攻略記念パーティー』
――と。
「雄介、早くしないと遅れるよ」
「っち、仕方ねぇな。行くぜ王道勇者様」
「了解だよ。僕らの救世主殿」
これにてFWOは完結となります。
今までありがとうございました。
今日また後書きを追加する予定なのでよろしければご覧ください。
また、既に次回作の予定があるので近いうちに投稿できると思います。




