六十四話
Youの胸に抱き着いていたイヴが顔を上げる。
「ねぇ、私はこれから一人じゃない?」
「大丈夫だ。さみしくなればうちに来ればいいさ。なんたってうちには無駄に容量のあるパソコンがあるからな」
「ほんと?」
「あぁ」
そしてそっとイヴの頭をなでる。
イヴは気持ちよさそうに微笑んだ。
いつの間にか”救世主”の効果が切れ、ステータスが下がったが決着はついたのだし問題ないだろう。
「ユーさんって素直になれるんですね」
その様子を見ていたRyuukiが思わずつぶやく。
Ryuuki以外のメンバーも思わず同じ気持ちだと言わんばかりに頷いてしまった。
「お兄ちゃんって子供には素直になるんだよねぇ。私たちにも素直になれば……って、それじゃあいじれなくなってつまらないか」
相変わらずのドS発言にあきれた様子を見せながら、Youはイヴに向き直る。
「イヴ、デスゲームを解除できるか? 大丈夫。これからは一人ぼっちじゃないさ」
「うん!」
イヴはそうやってうなずくと虚空に何やら表示させると操作していく。
「ちょっと時間がかかるけどちゃんと元に戻せるよ」
そう言ってイヴは元の作業に戻った。
「さて、あいつらもそろそろ終わるころだろう」
Youの言葉を聴き、暗黒騎士団のメンバーはアダムと闘うRed達を見る。
ちょうどRedもこちらに気付いたようであり、Redもこっちを向く。
「さすがはユーだ。まさか倒すことなく敵さえ救ってみせるとはね」
普通なら問題ないはずだった。
隙と言っても一秒にも満たない僅かな隙。
アダムもAIを持ち、プログラム以外の行動もできる。
つまりはその隙を狙い最速の攻撃を他の攻撃を無視してRedに浴びせる。
まともにくらってしまったRedは何回も地面を跳ね、倒れてたRedをアダムが追撃をしようとする。
自身に攻撃を引き付けようとしたり、何とか攻撃を止めようと必死に頑張るが、アダムはその攻撃を無視して剣を振り下ろす。
誰もがRedの死を疑わなかった。
先ほどのまともに受けた攻撃や、これまでの戦いによるHPの減少などによってその一撃に耐えれるようなHPが残っていなかったのだ。
そう、Red本人でさえ死を覚悟した。
しかし、剣がRedを襲うことはなかった。
剣はRedに届く前に止まっていた。
一人の人影に刺さった状態で。
Youは大きく肩から胸のあたりまでを切り裂かれた。
防御力が10分の1になっている状態ではボスの攻撃に耐えられずにHPが全損する。
イヴのデスゲームの解除はまだ完了していない。
つまりはHPの消失はYouの死を意味していた
「お兄ちゃん!?」
「雄介!?」
SakiとRedの叫び声が聞こえる。
イヴは大きく目を見開き、Ryuukiなどは口すら開いている。
Sakiは慌ててYouの下に駆け出し、イヴはYouが消える前にデスゲームを解除しようと必死に操作を続ける。
しかし作業はまだまだ残っており、Youが消える前に作業が終わるとは到底叶わないだろう。
ARASHIは怒りをアダムにぶつけるために走り出し、Kanaは無駄と分かっていても回復魔法を唱えようとしていた。
Ryuukiはどうしていいかわからずに固まり、Hannaは再び仲間を失う恐怖に動けないで頭を抱えてうずくまる。
Zeroも、RINも、AKATUKIも、Wsも、Sakuraも、Vanも、YUUも、Kanatuguも、Rekiも、Renaも、HUUも、MIRUも、Daisuも、YUIも、SESIRIAも、Misuzuも、RUUも、ERIも、Myuuも、Mumyも、MAREIvuも、BlackCatも、GAIRUも、DONも、Edgarも、JUNも、Siruhyも、ABCKも、666でさえもこの状況をどうにかしようと一生懸命だった。
しかし、誰の行動も実を結ばないのは明らかだった。
Red何がどういう状況なのか全く理解できないでいた。
どうして自信を襲うはずの刃がYouを襲っているのか……。
Redは今までにない状況に、最も大事な人をなくす恐怖に、思考を止めていた。
そして再び思考を開始させるきっかけを与えたのは他ならぬYouだった。
「たく、変な顔してんじゃねぇよ。完二、後のことは頼んだぜ」
今回はへまをしたが、やるときはやるやつだとYouは知っている。
Youの一番のライバルであり、最も信頼できる者。
だからこそすべてを託して逝ける。
そうしてYouというデータはこの世界から消え去った
バレンタイン?
何ですかそれは?
そんななにかもわからないイベントの為に閑話なんてやりませんよ。
最後にリア充爆発しろとでも言っときますかね




