六十話
「レッド! そっちは任せた」
「ユー、帰ったらまた今日一緒に勝負をしよう」
「おいおい、それは死亡フラグだぞ?」
「じゃあ死なないように気を付けないとね」
軽く冗談を交し、Youはイヴとその周りにいる影の方に向かう。
Redはこれまで通りにアダムの方と戦闘を繰り広げていた。
「行くぜ、サキ、リュウキ、アラシ、ハンナ、カナ」
影の数はここにいるプレイヤーの数である36体。
対してこちらはYou率いる暗黒騎士団の6人だけである。
数の差は歴然。唯一宇和待っているものと言えばプレイヤーの能力の高さであろうが、負けるつもりは一切なかった。
「サキ、行くぜ」
「了解だよ、お兄ちゃん」
それぞれ剣を持ち、敵の集団に突っ込んでいく。
それは魔法を放つために敵の魔法職の的になるよりも乱戦に持ち込んだ方が良いという考えだった。
「お兄ちゃん、そういえばこうして二人で突っ込んだことはないね」
今までは支持を出す関係上YouがSakiの後ろにいてたのでこうしてSakiと肩を並べたことはなかった。
その事実に少し驚きつつも何となく楽しさがこみあげてくる。
「ああ、そうだな」
「やけに今日は素直だね?」
「そんなときもあるさ」
そんな会話をしつつも敵に攻撃を続けている。
盾を持った者達が並んで突撃するのを左右から来たナイフを持った二人のうちの一人を踏み台に上空に躱し、そのまま魔法と剣を使い、盾を持つ者にダメージを与える。
上から刀を持ったものの振りおろしと下から二本のナイフを持つ者が姿勢を低くして突撃するのをリュウキの援護で上の敵を打ち落とし、下の敵は足で踏みつぶすように頭をけり、そのまま攻撃を加えた。
一方のSakiの方も、斧による攻撃を回転しながら躱し、そのまま斬りつける。
斬りつけたその反動を使い、その場を離れながら魔法による攻撃を躱し、その動きで今度は近くにいた蹴りを放とうとした敵を斬る。
「へぇ、今度はアカツキさんかな……」
盾と剣を持つ黒い敵に向かってそう呟く。
ほかにも同じようなスタイルの者もいるが、Sakiは武器や防具の装飾によってAKATUKIだと判断した。
そして、両手に持つ剣を握りなおすとAKATUKIの影だと思われるその敵に向かっていった。
「おらァ!」
ARASHIはその手に持つ大盾を振り回し、近づく敵を寄せ付けないようにしていた。
周りの敵はARASHIの攻撃を避けるために一回遠ざかると、敵の一体が飛び出してくる。
その敵は手に持つハンマーを振り下ろすが、そのまま大盾でガードし、無防備になった足を払う。
そして、転んだ相手に大盾をかぶせ、スキルを発動する。
「”シールドバッシュ”!」
その攻撃によって無防備に受けたその攻撃で元から減らされてた分も合わせ、その影は消失する。
「”ヒーリング”」
戦闘によって減らされてたダメージを後ろにかばう相手によって回復する。
「ありがとな」
「あなたが私を守ってくれるように私もあなたを守りますので遠慮せずにいちゃってください」
KanaとARASHIは互いが、互いを支えて戦っていた。
「僕もいるんですけどねえ……」
Ryuukiは二人の甘い雰囲気につぶやくしかできなかった。
「「「”ヒーリング”」」」
「あぁ、もう回復されちゃったよ」
こちらにも回復職があり、もちろんのこと、相手にも回復職も存在していた。それによってYou達が頑張って減らしたHPも回復されてしまう。
それは回復職を倒すか、そのMPが尽きるまで止まらない。
次第に押されていき、YouとSakiは合流し、互いに背中合わせになる。
「さすがにこれだけ多いときついなぁ」
「さっきまでカッコ良かったのにもう弱音吐いちゃうんだね」
「仕方ないだろ」
「でも、まずは回復は止まったかな?」
Sakiの言ったその言葉と同時に遠くで回復職が陣取っていた場所からHPが尽きて消失する時の音が響く。
続いて二度。
その場所にはHannaが短剣を持ち、隠密状態からの奇襲で手早く回復職のものを葬っていった。
「さて、今度はお前らか?」
Youの目の前には自身とRedを模した敵がいた。
「じゃあ私はこっちだね」
Sakiの目の前にはSaki自身と赤の護衛団のRINを模した敵がいた。
「頑張れよ」
「お兄ちゃんもね」
そう言うと、二人は自身の敵に向かっていった。




