五十六話
「約1000万回だ。つまり3秒に一度あるってことだ。君はこの事実をどう思う?」
それは現代の110番の数である
普通に考えれば3秒に1度日本のどこかで事件が起きるか、起きようとしているということである
「まぁ、そんな頻度で犯罪や事故が起きてたらそのうち日本人は滅ぶな……。つまりはその分はいたずらとか最近聞くタクシー代わりに警察を呼ぶとかいう感じか?」
「その通りだ。事故なども多いが一番は無言電話や、警察をタクシーかなんかと勘違いしている馬鹿が多いってわけだ。ところでこの世界での110番の数は?」
「まぁ、当たり前に0だな」
そもそも警察なんて言う組織は存在していない
つまりは110番も存在していないということである
だからこその当たり前、0である
「そうだな。存在してないから0である。ならばそれで困ったことはあるか?」
Youは自分の記憶をさかのぼる
今まで喧嘩や騒ぎになったようなことはあったがすべてが自分たちで解決してきた
一度だけあったPK事件のときでさえだ
「まぁ、完全にないとは言えないかもしれないが全て自分達で解決してきた。殺人事件の罪も自分たちで裁いたし、そのPK事件の犯人は君のギルドに閉じ込められてるんだったな」
Zen、ROKI、GGの三人は今現在も暗黒騎士団のギルドホームに閉じ込められてるし、ステータスも上がり、レベルの低いその三人が同時でも相手ができるようになったRyuukiやKanaなどが時々精神に異常がないか確認している以外は一切の娯楽や食べ物すらもない状態で閉じ込めてるままである
「命のやり取りがすぐそばに存在するから命の重さも知っているし、生きるので精いっぱいだからこそ娯楽目的の犯罪もない。警察が必要ないとは言わないが日本人は警察に頼りすぎた」
「――だからこそこの世界の方がいいってか?」
「いや、そうではない。それだけならばここにいるものが伝えればいいし、そうでなくとも命のやり取りがそばにありすぎるより警察に頼りすぎていた方がいいともいえる。――命は何にも代えられないものだからな」
命は何にも代えられないもの、そう言ったクロワサの表情はどこか悲しそうだった
おそらくはどこでかしらないが誰かの死を経験している。
それを理解したYouは複雑な表情を浮かべる
You自身は死などというのは高齢で亡くなった祖母と祖父だけであるが、親しい者を亡くしたものは知っている
Hannaは先ほど話題に出ていたPK事件で親友を一人殺されていた
「いや、そんな表情はしないでくれ。別にその話がしたいわけではないからな。つまりは人間は事件に対応する能力はあるし、命の大事さも学んだ。そして適度の娯楽もあり生きていくのには困らない」
「それだけなら子供のいいわけだって笑うがな」
「これはこれは手厳しいな。だがもちろんそれだけではない。君は帰った後のことは考えてるか?」
それは痛い質問であった
このまま戻っても一年以上向こうの世界には触れていないので学校や会社、さらには友人などの対人関係についても問題が起きるだろう
そもそも生と死の境界で戦ってきてすぐに向こうになじめる可能性も低かった
「大人は大半の人が会社を首になるな、学生は留年か退学だ。それにこのゲームで誰かを亡くしたものはその親や兄弟、友人になんて説明する? ゲーム中に亡くなりました? そんなセリフを言えるのか?」
それは心からの叫びであった
誰しもが心のどこかにあり、ずっと目を背けていたことであった
「犯罪も大して起ない世界を捨て風当たりの強い世間に戻るのか? 憐れみや同情、珍獣かなんかを見るような耐えながら生きるか? 残念ながら私はそれに耐えられそうにない」
どんなに言いつくろったところで現実は変わらない
向こうに戻ればつらい現実が待っているのだ
そしてその現実を突きつけられてまともな神経を保てるのはどれぐらいいるだろうか?
鬱病や病んでしまったりする人はそれぐらいいるだろうか?
数人? 1割? 3割? 半数を超える? 下手したらほとんどかもしれない
少なくともYouは胸張ってまともでいれるという自信はなかった
「そっか、あんたの意見は分かった。だが俺は攻略を続けさせてもらう。ここで閉じこもって暮らすには向こうにいろいろ残しすぎた。それに――」
Youは後ろを見ていつの間にか集まってる知り合いの者たち、このゲームに閉じ込められて長い付き合いになった赤の護衛団にいつの間にかその隣にいたItuki達生産色の人たち、暗黒騎士団のギルドメンバー
そして、最後にSakiを見る
「大事な友達や仲間、それに妹をこの殺伐とした世界から救ってやりたいからな。自分勝手だが悪いとは思っても行動をやめる気はない。俺はすべてを救う聖人ではなく自分勝手な人間だからな」
そう言い放って再びクロワサを見る
その真剣な表情にクロワサは空を仰ぎ見る
「さまざまな反論を言い返す言葉は考えてたがそれは想定外だわ。反論は一切出てこねぇ――だがそれじゃあ俺も悪いとは思っても行動をやめることはないぜ?」
「別にかまわないさ。だって俺はお前を説得するのではなく、話をしに来ただけだからな」
そういって立ち上がりギルドメンバーと合流するとそのままどこかえ消えて行った
そして一人残されたクロワサは――
「ハッハッハッァ!」
大きな声で笑っていた
「あんな若者もいんのか、世界に失望するのは早かったかもな。いやぁ、攻略組のトップの奴らは俺ら弱い奴の気持ちを考えねぇ野郎ばっかかと思ったがあんな奴もいるんだな」
ひとしきり笑うと自分が集めた反攻略組の方を見ると
「自分で集めといてなんだが俺はこの組織を抜けさせてもらうわ、ちっと現実に楽しみができちまった」
そういってその場を去る
「【救世主】か……。そう言われる理由がわかった気がするぜ」
その顔はすっかり年甲斐もなく笑っていた
パソコン一部キー使用不可
本体は動くのでキーボードを買えば何とかなると信じて……
ですのでキーボードを買うとして、忙しい時期なので次の更新は通常通りにできるかわからない
なるべく買えなかったときは姉にパソコンを借りるなどして何とかするのでよろしくお願い
よく使うあるキーが使えないので文章が変になってる……
あと12月中にこの小説の中規模修正をするのでよろしくお願いする




