五十五話
「そろそろ帰るか」
メニュー画面に表示される時刻を見てYouが言った
第五層の探索も一日で探す範囲としては十分に多い量だと言える
また、掲示板に上げる情報もZeroが担当してくれるというのでその分多くの探索ができていた
この後にZeroの書いた内容を見て書かれてない内容を付け足す必要はあるがそれでも短縮には違いない
「うーん、疲れたよ。お風呂入りたい!」
Sakiが体を伸ばしながら言う
それに「そうだな」と返し、一同はギルドホームに戻ろうとする
街では騒然としていた
中央広場には大量の人物が板を掲げて何かを叫んでいる
さらに中央の人を囲むようにまた沢山の人が居た
その中にRINと赤の護衛団を見つけ、声をかける
「どうなってんだ?」
「あっリュウキの所のマスターさん! なんかあそこの集団がゲームクリアに反対だって言ってるのよ」
RINの説明を聞きながらその集団を見ると、掲げてる板を見るとそこには『ゲームクリア反対』『現実という名のノルマだらけの牢獄に戻るのか!?』『この世界よ永遠に!』などと書かれていた
また、周りを囲んでいる集団の中にも少しずつ賛同者も出て、集団が大きくなり始める
「ちょっと拙いな……少し話をしてくるか」
そう言ってYouは前に出る
中央の集団と周りを囲む集団のちょうど中央あたりの所で止まり、口を開く
「この中のリーダーは誰だ? 話をしようじゃないか」
そう言うと剣を地に刺し、その場に胡坐を組んで座る
その声にこたえるように中央の集団の中からも一人前に出てきた
そしてその男はYouの正面に同じように座る
「俺は攻略組の《暗黒騎士団》ギルドマスターのユーだ」
「攻略反対派のクロワサだ。話し合いに乗ってくれて感謝する」
「とりあえず確認程度に俺たちは現実に帰りたい。だから攻略をしている。お前たちはずっとここにいたい。だからこのような行動をしている。大雑把にだがこんな感じでいいか?」
「あぁ、そのように簡単にまとめられると何か言い返したくなるが、おおむね間違いない。だが、ここも現実であることには変わりないので向こうのことを現実と呼ばないでもらいたい」
「了解した。ならば現実ではなくあんたが言ったように向こうとでも言おう」
二人の話し合いが始まりその場が静かになる
「クロワサ、あんたが言いたいことは分かる。多分ここにいるほぼすべての人が帰りたくないという気持ちを持っていると思う」
「なら、このような――」
「――だが、同時にここにいるすべてのものが帰りたいとも思っているはずだ。クロワサ、声からして30代から40代ってところか? なら別に矛盾しているとか言わないだろう?」
「声だけで年齢を当てるか……。確かに私は38だ。別に相反する気持ちは持っていて当たり前だからお前の意見に反対する気はない。確かに私も帰りたいとは思っているだろう。だが、それ以上に向こうに帰りたくないとも思っている」
二人の年の若いアバターは、片方は見た目通りの10代、もう片方は大人として経験を積んだ30代
KUROWASAの見た目と違う年齢とは違う年齢に驚く声も漏れる
「君は若そうだからいい年下大人がこんなことしてるんじゃねぇよとか思ったりしてるかもしれないが、いい年した大人だからこそ帰りたくない事情もあるのだよ。君は私の職業をはなんだと思う?
「普通のサラリーマンか?」
「サラリーマンと言えばそうかもしれないが、性格には警察だよ」
その言葉に周りは衝撃を受ける
Youも少なからず衝撃を受けていた
「なんで警察がこんなことやってるんだよ!?」
「そうだ、警察ならこんな事件をささっと取り締まれ」
外を囲んでいた集団からヤジが飛ぶ
閉じ込められて時間が経ってなお――いや、時間が経ったこそたまっている不満がある
それを解決すべき存在が足を引っ張ろうとしている事実に不満が溢れだしたのだった
「静かにしろッ!!」
多数のヤジが飛び交う中一つの声が飛ぶ
どのヤジよりも大きな声で叫んだYouに注目が集中する
「警察なら取り締まれ? 別に仕事でここにいるわけじゃねぇだろ。俺はまだ学生だ。だったらこの中で受験勉強をやらなきゃいけないのか? たとえばプログラマーがいたとしよう。この世界からログアウト不能というこのバグを修正しろとでも言うつもりか? もし、医者が居たらここに死にそうな人が居る。ならば治療しろとでもいうのか? ゲームクリエーターは? 自衛隊は? 教師は? 極論かもしれないがつまりはそういうことなんだよ。このゲームに巻き込まれた一被害者にすぎないこのおっさんに警察なら何かをやれってそういうことなんだよ。それを言ってるお前らはこのゲームで何か仕事を生かして何かやろうと努力をしてるのか? そういうやつら以外ヤジを言う資格はない!」
Youに対して何かを言おうとするが何も口に出てこない
口ごもる集団を見てクロワサに先を促す
「先ほど私のために周りを怒ってくれたことに礼を言おう」
「俺が思ったことを言っただけだ。何も礼を言われることをした覚えはない」
「ならば、そういうことにしておこう。君を信頼できる対等な相手としてこれから本心をさらけ出そう。まず私が戻りたくない理由だが、110番が年に何回あるか知ってるかね?」
一回間を開け、再び口を開く
「約1000万回だ。つまり3秒に1度あるってことだ。君はこの事実をど思う?」
また遅れてしまった……
申し訳ありません
これからもこのようなことを繰り返すかもしれませんがその日のうちには更新するつもりなのでこれからもよろしくお願いいたします




