五十一話
英雄との試合が終わり、アナウンスが鳴り響く
『試合が終わりましたのでステータスをリセットします。また、すべての試合が終わり次第2回戦を開始いたします。一回戦すべての試合終了が確認されました。これより二回戦に映ります』
職業スキルにより10分の1になっていたステータスがリセットされ、戦闘中に使った能力の上昇や、職業スキルの2時間の使用不可や、HP、MPにスタミナもが試合開始前の状態にリセットされる
そして、1回戦が終了したのが最後だったのか、2回戦の開始がすぐに知らされる
そして次のステージは闘技場のような場所だった
「次の相手はあんたか?」
「ゼロさんってことはアラシは負けたのか……」
Youの記憶が正しければゼロの対戦相手は自分のギルドのARASHIだったはずだ
彼が目の前にいないのなら負けたということだ
「奴もなかなかの強者だった。……まぁ、俺にはかなわなかったがな」
「ゼロさん、いつにもなくハイテンションだな」
Zeroとは中々の付き合いがあり、テンションが上がると厨二病が悪化していく.。そして、あとで冷静になった時に後悔するのだが……
試合開始のカウントがゼロになる
「”疾風縮地”」
そうZeroが言うと、いつの間にか目の前にいた
元の名前は瞬動。一歩分高速で動けるスキルだ
近距離線を苦手とする魔法系職業の天敵ともいえるスキルだ。本来なら――
Youは剣を持ち、剣の熟練度により近接戦闘系のスキルもいくつも使え、戦士系職業が降るようなSTRやVITにもステータスを割り振っている
つまり、近距離戦もできるのだ
しかし、YUUとの戦いみたいに最初に魔法で攻撃できないのは痛い
Youは突き出されるナイフを受け流し、下級魔法を牽制に放つ
しかし、牽制に放った魔法を僅かな動きでかわすと再びナイフで胴体に攻撃を仕掛けてきた
一回、一回の攻撃はそこまで力が入っておらず、いなすのも簡単だがその分早く体制を立て直してくる
ここで一つYouの弱点が浮き上がる
Youは剣を一つ持ち、反対側には指輪を装備している。それはつまり防御手段がほかの戦士職より少ないということだ
大抵ほかの戦士職は両手に合計二個の武器か、片手に盾を持ったり大型の武器の場合は攻撃を受けてもカウンターでそれ以上のダメージを相手に与えることができる
しかしYouは指輪は魔法系の武器であり、近接戦闘に役に立たず、全てにステータスを割り振っているから相手が与える攻撃よりも大きいダメージを出すことも難しい
あえて言うならYUUと闘った時にも使った武器、スキル、魔法の3つの重ねわざだが消耗が激しいので何度もできる手ではない
このまま戦ってても少しずつ削られていくだけだろう
ならどうするか、ガードを必要最低限に、相手より多く攻撃し相手より多く削り取る
AGIには負けて動作の面では相手の方が上だが、魔法は腕を相手に向けるだけで武器で攻撃するよりも多くの攻撃がしやすい。結果互角の戦いに持ちこめている
しかし互角ではだめだ。相手は近接系、つまり戦闘にスタミナは必須。よってVITにもステータスを割り振っているはずだ
そうなるともともとのHPがこちらよりも高いだろうし、先にこちらがダメージを受けているこちらが不利だ
仕方ない――
「【救世主】」
大きく挽回する手がないYouは職業スキルを発動する
「きたか、ならば俺も【厨二病】」
それに応じるようにZeroも職業スキルを発動する
これで10分以内にけりをつけねばならない。もっともお互いに攻撃重視で戦っているので先ほどよりHPの減りは早いのだが
「”ライト・ライトソード””レフト・ダークパルサー”」
そう唱えると、右手に装備したナイフがどこかの映画で見たような光剣に変わり、左手のナイフが黒い杖に変わる
「”火の灯””黒炎”」
Zeroの隣に火の玉と黒い玉が出る
名前は違うが、火系統の下級魔法のファイアーボールと闇系統の下級魔法のダークボールであった
あわててYouはその二つに同じ魔法をぶつける
威力はこちらの方が上なのか、あっさりと相手の魔法を吹き飛ばす
「”斬首””レフト・ダークロスト”」
スキルの加わった光剣が迫り、黒い杖が元のナイフに戻る
「”首狩””五月雨””大蛇””白雨””時雨””」
その後もスキルの連続使用により、袈裟切り、横、縦、突き、逆袈裟など様々な場所から斬撃が来る
「楽しくなってきたねぇ」
その後も黒い杖に戻したりしながら攻撃を続け、Youの方が多くのHPを削られていく
やがて――
「あっ……スタミナ使いすぎた……武器を変えるスタミナもねぇや……」
武器は右手の光剣と左手の黒い杖となり、武器を変えようとした所でそう言った
Zeroの放ったその言葉により、Youの表情が焦りから、ドSの顔に変わる
「ちょっとタンマ。30秒でいいから待って――」
「”魔法剣””アタックアップ””インパクトアタック”」
そのYouの切り札でもある三重掛けのスキルにより、本来使い慣れていない光剣が弾き飛ばされ、必死に杖で防御しようとするもそのままHPを削り取った




