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シンソウ・ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。  作者: クワトロばなな
第一部 メレンヘア学園の編入生

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第二部 第2話 白馬の騎士は鋼鉄の美女、そして動き出す世界の天秤

どう見ても健全な全年齢対象のファンタジー小説には不適切極まりないビジュアルの触手魔法生物を前に、スピカは絶叫した。


「「「絶対に嫌ですーーーーー!!!!!」」」


スピカの猛烈な拒絶に対しても、魔法生物飼育委員長のサムは一切ひるまない。


「スピカ君! いもづる姫への魔力提供は、委員の誰かがやらなければいけないんだよ」


「僕はこの中で魔力量が桁違いのアークプリーストである君が一番適していると考える」


「それに……民主的な多数決でも決定しているんだよ!」


「数の暴力です!」


「民主主義の悪用です!」


スピカが必死に猛反対するも、サムは真顔で畳みかける。


「もし……僕たちが彼女(触手魔法生物)への魔力提供を怠ったら、どうなると思うかい?」


「ど、どうなるんですか……!?」


スピカが問い返すと、サムは切なさそうにポツリと呟いた。


「いもづる姫は……ただの普通のさつまいもに戻ってしまうんだ」


「そんなもん!! 普通の植物に戻しましょう!!」


「なんなら天ぷらにして今晩のおかずにしましょう!!」


スピカが猛烈に進言するも、サムは首を激しく振った。


「ダメだ! 貴重な魔法生物を僕の代で絶やすわけにはいかない! 」


「それに……僕はあの美しき『いもづる姫』が、獲物を捕食する尊い姿が見たいんだ!!」


「獲物って誰ですか!!」


「っていうかあんた、凄まじい本音が出ちゃってます!!」


「ただの変態のそれです!!」


スピカが激烈なツッコミを叩き込むも、サムと男子委員たちがジリジリと距離を詰めてきた。


「さぁ観念したまえ、スピカ君!」


「「君が魔力を提供するしかないのだよ!!」」


「「さぁ!!」」


「「さぁ!!」」


「……ぜ、絶対に嫌……! だ、誰か助けて……!!」


スピカが追い詰められ、万事休すかと思われたその時――まさに白馬の騎士が現れた!


ドンッ!!


「ぐはぁっ!?」


委員長のサムが背後から容赦なく押され、半地下の触手地獄へと突き落とされた!


不意に落下し、目を白黒させるサム。


その姿を、残酷な魔法生物が見逃すはずもなかった。


蠢く蔓(つる)が一斉に伸び、サムは『いもづる姫』の触手によって瞬く間に絡め取られていった。


「あぁぁ……いもづる姫様ぁぁーーー……ッ!!」


サムの歓喜混じりの断末魔が温室に響き渡る。


――なお、ここから先の描写は健全な全年齢対象小説の規約に接触するため、全面的に割愛させていただきます。

◇

サムを突き落とした白馬の騎士の正体――それは、漆黒のロングヘアを風になびかせる美女。


メレンヘア学園生徒会会計のベガ・ドウィンだった。


学園『四天王美女』の一人であり、言い寄る男子生徒をことごとく撃沈してきた「鋼鉄のアークプリースト兼薬剤師」である。


ベガはチラリとサムを見下ろした後、スピカに向かって言った。


「スピカ庶務、生徒会役員の緊急招集よ。……生徒会室へ行くわよ」


九死に一生を得たスピカは、胸を撫で下ろして深々と頭を下げた。


「あ、ありがとうございます、ベガさん! 絶体絶命でした……!」


「私は別に、あなたを助けたわけではないわ」


ベガは素気なく答えた。


スピカはふと気になって尋ねてみた。


「あの物騒な魔法植物……なんで学園は飼育しているんですか?」


「葉、根、蔓……すべてが貴重な魔法薬の原料になるのよ」


「私も薬材提供の代わりに、一度魔力提供をしたことがあるわ。……終わった後、なぜか男子生徒の見学者が大勢集まっていたけれどね」


(((えっ……あの植物に『穴という穴』から……!?)))


スピカは顔を青くし、冷や汗を流しながら返した。


「四天王美女様とあろうお方が……色々と不適切だったのではないでしょうか……?」


「気にしないわ」


ベガはクールに言い捨てたのだった。

◇

スピカたちが生徒会室へ到着すると、他の役員たちはすでに各自の席に着いていた。


(あっ……私だけ運動着………!)


恥ずかしさに小さくなりながら着席したスピカを確認し、シリウスが静かに口を開いた。


「みんな、揃ったようだね。……知っている者もいると思うが、今度『リンデア王国』のゾウムハーバーにて『国際学園サミット』が開催される」


静まり返る生徒会室。

シリウスは言葉を重ねる。


「このサミットには、エキティカ七カ国の王子や王女、そして将来それぞれの国を担うであろう有望な若手たちが一堂に会する……」


「……あのロメーダ帝国の現皇帝、レグルスも参加する予定だ」


「エキティカ七カ国の先人たちが、世界平和を担う若者たちのために開いた催しではあるが……今回はロメーダ帝国のレグルスが参加することにより、会議が激しく荒れることが予想される」


ベガが静かに言葉を挟んだ。


「……噂の『賢者の書』についてですか?」


「そうだ」


シリウスが深々と頷く。


「この議題に関する我が国の方針を、ここで話し合おうと思う」


(((けんじゃのしょ……ってなんだっけーーー……??)))


一人だけ話についていけず、ポカンと口を開ける運動着姿のスピカであった。


※『賢者の書』――ロメーダ帝国が管理する、世界エキティカで起こる災いや奇跡を予言するとされる絶対的な指針。

本来であれば全世界にその内容を公表すべき代物だが、ロメーダ帝国がその一部を秘匿しているという噂があり、世界各国を強い疑心暗鬼に陥らせていた。

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