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シンソウ・ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。  作者: クワトロばなな
第一部 メレンヘア学園の編入生

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第一部 第1話 メレンヘア学園の編入生

賢者の書に新たな項が加えられたらしい――。

世界エキティカを震撼させるニュースが駆け巡った。


賢者の書。それは覇権国家ロメーダ帝国が管理する、世界エキティカで発生する奇跡や災害、あらゆる災いを予言してきた絶対的な指標である。


世界エキティカの人々はこれまで、その恩恵を受けてきた。賢者の書の予言を共有することで国境を越えてひとつとなり、数多の危機を乗り越えてきたのだ。


しかし、その新たな項目をロメーダ帝国が公表せず、隠蔽しているという。世界はにわかに疑心暗鬼に陥った。


帝国の隠蔽する賢者の書の新たな項――その秘密を抱えた一人の若者が、ロメーダの国境を越えてミルキーウェールズ王国の領内へと足を踏み入れた。


まだあどけなさの残る容姿は、中肉中背でごく普通の、どこにでもいそうな若者だ。

しかし、胸に秘めた「世界を揺るがす秘密」に、若者はただひたすらに陶酔していた。


『ミルキーウェールズに聖女が出現する!』


若者は高ぶる思いを抱きながら、ミルキーウェールズ王国の首都メレンヘア、その城下町の灯りの中へと消えていった。

 * * *

それから数ヶ月後。

ミルキーウェールズ王国内の貴族や有力者の子息が集う、メレンヘア学園。


荘厳な装飾が施された廊下を、一人の偉丈夫が歩いていた。


彼は「生徒会室」と書かれた重厚な扉を叩く。この男の名はルスカ・ルマンディ。


「鋼鉄のプライド」と称され、聖騎士(パラディン)の修練を積む、メレンヘア学園の生徒会副会長だ。


「失礼します」

「どうぞ……」

入室を許可したのは、豪華な椅子に深く腰掛けた容姿端麗な青年だった。柔らかなブロンドの隙間から覗く、アクアマリンの瞳。この国の第一王子であり、若くして魔法剣士の称号を持つ生徒会長、シリウス・ランスターである。


「シリウス会長、本日新しい編入生が来るとのことです」


ルスカが重厚な声で告げると、


「そうだったかな」


シリウスは窓の外を眺めたまま、興味なさそうに応じた。


そして、生徒会室の隅に落ちる影へと声をかける。


「カノープス君。君はたしか、編入生と同じ学年だったね」


「はい」


影からの短い返答に、シリウスは続ける。


「どんな人物か、様子を観察してもらえると助かるよ。何か変わったことがあれば報告してほしい」


「かしこまりました」


そう応じると、影は気配を完全に消し去った。

 * * *

メレンヘア学園、校長室。

小柄でふくよかな初老の紳士が、目の前に立つ少女に声をかける。


「初めまして。私がこの学校の校長、ドン・ウィリーだ。君がスピカ・マセット君だね」


「はい、ウィリー校長。お会いできて光栄です」


セミブロンドの髪に、ターコイズの瞳。透き通るような白い肌。


メレンヘア学園の編入生、スピカ・マセットの波乱に満ちた学園生活が、今まさに幕を開けた。

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