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★星々の彼方への旅   作者: よしなが としひこ
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第6章

エルゴ協会のホームページを読み終わった後

ユキコのタブレットに両親から連絡が入った。

「ねえ、最近連絡がないからどうしてるのか心配になったわよ。」

「以前から申請してた地球への帰還問題の

話なんだけどね、エルゴ協会が

ステーション3の事業から撤退することに決まったらしくて、

2週間後にはコロニーに転属になるから、

あなたもステーション3から配属されて移されるわよ。」

「ねえ、ちゃんと話を聞いてるの?」

「分かったは考えておくわ。」

顔を洗って朝食を済ませたまではよかったのだが、

この先どうしようかと思っていたら。

部屋のチャイムが鳴った。

現れたのはエルゴ協会のエージェントらしく左胸に

L5というマークがついた紺の制服を着た金髪で

背の高い男がドアの外に立っているのが

モニターで確認できた。

ユキコはそれを見てすかさず

玄関まで案内しその男を部屋に入れた。


「こんにちは、初めまして私はエルゴ協会の者ですが、

このたび、ユキコさんから連絡があり、あなたにどうしても

伝えたい話があったので参りました。

それほどお時間はかかりませんが

よろしいでしょうか?」

横に立っていた彼女が頷いた。

「わざわざすみません。

副司令官が直接ここまで来るとは思いませんでしたわ。」


「副司令官?ってエルゴ協会は軍隊まで保有してたのですか?」

「違うわよ。まずは、立ち話もなんだから今のソファで皆んな

一緒に座りましょう。」


3人は居間のテーブルに腰かけると副司令官は続きを

話はじめた。


「失礼とは思いましたがあなたのことは全部調べさせて貰いました。」

「まずは、あなたが、きっと長年疑問を抱いていたことについて

説明させていただくと。私は人類とほぼ外見は同じですが

太陽系の外の惑星から移住してきたものです。」


ここにいるユキコさんの父親もそうですが、

あなた方でいう第二次世界大戦が終結してから、私たちは

あなた方を私たちの兄弟として迎え入れようと努力してきましたが、」


「影の政府の妨害によってことごとく真相は公にはできませんでした。」

「一部のUFOマニアといわれる人々の荒唐無稽な話など、

誰も信じませんでしたから」


「そうしてあなたがたの時間でいう21世紀になって、月面での基地の制作や

コロニー建設。火星による移住計画は人類の技術ではまだ無理でしたが、」


「我々のサポートにより現段階までこぎ着けました。」


「ですが、こうして人間に近い外見を保っている我々の仲間は

私を含めてごく一部なのです。」


「我々の仲間は宇宙での長期に渡る滞在で姿形は変貌してしまいました。」


「人類に関与したことは我々の祖先の望みでしたが、

あなたがたの影の政府の妨害工作によって

月面のアルキメデス火口付近の宇宙船建造施設の一部は破壊されたのです。


「我々はあなたがたと交戦するつもりはないのですが、

これ以上は月に滞在し続けることは危険だと判断しました。」


「あなたとユキコさんとの会話は傍受していましたから、

危険なアルキメデス宇宙港周辺地域に近寄る

ことの危険性を伝えるつもりできました。」


「どうか我々にこれ以上鑑賞するのはやめてもらいたいのです。」


初対面とはいえ、副司令官といわれる男の話に異議を申し立てる立場などない

民間人の私は、彼の要求を聞き入れるしか選択肢はなかった。


「承知いたしました。」


「お話はよくわかりましたが、

あなたがたは具体的にはいつ頃ここを離れられるんでしょうか」


そういうと、ユキコと副司令官はお互いに眼で合図したかと思うと。

「約2時間後です。」


「2、、、2時間ですか、たったの2時間。」


「そうです。これは私たちがずいぶん以前から決めていたことです。」


「地球の影の政府が攻撃してきたら、我々は戦わずに逃げるのです」


「それは、どうしてですか!」


「あなた方の高度な技術があれば、

人類の影の政府の攻撃を防げるじゃないですか。」


副司令官は首を横に振った。


「この問題に関しては長年の間、人類とは平行線だったから

我々人類は宇宙では野蛮人の域をでないのよ。」


「もう話すだけムダなことなの。」


「私達にはまだ早すぎたんだと思うわ」


「まだ、人類は自分たちが野蛮な猿であることを認識できていないのよ。」


ユキコはまるで副司令官と同じ考えであるかのように

冷たい視線を私に投げかけた。





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