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★星々の彼方への旅   作者: よしなが としひこ
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第7話

「短い間だったけど、楽しかったわ。」

ユキコと副司令官は椅子から立ち上がると、玄関の方へと移動した。

その時私は、ユキコも彼らと一緒に太陽系を離れていく予感がした。

トシコと私は恋人ではなかったし、将来を約束していたわけではないが、

唐突な別れに私は戸惑った。


「両親が2週間以内にここに戻ってくるみたいだから、あなたに

そのあいだ部屋の管理は任せるわね。」

「エルゴ協会には推薦状を送っておいたから、後は近くの病院で

DNA検査を受けておいたほうがいいわよ。」



その時、月の裏側においては銀河連邦より飛来した葉巻型母船が2隻

と護衛艦12隻が月の裏側に集結していた。

私の想像をはるかに超えた高度な文明を持つ彼らの行動を

無力な民間の目撃者でしかない私は、刻々と迫る

彼らの太陽系脱出劇を見ることすらできないのであった。


「私は玄関で、留守番は私に任せてください。」

「そのかわり2時間後に迫った太陽系を脱出する船を

見送りにいってもかまいませんか。

「それならスペースポート2に停泊中の船だから、

見ることは可能ですよ。」

と副司令官は言った。


ユキコは急な別れを寂しく感じたのか表情はさえなかった。

護衛のガードマンが6人、マンションの入り口で待ち構えていた。

スペースポートまでの距離は歩いても近い距離だったが、

護衛の車2台に挟まれた、真ん中の車に二人は乗り込み、

私は手を振って見送った。車が走り出した後に、

私は彼女を愛していたことに気づき、

スペースポートまで夢中になって走った。

シリンダー状に伸びている構造のこのコロニー内で、

私は一直線に走り続けた。

彼女に別れの言葉を口にするぐらいなら、

このままマンションに戻りたい気持ちもあったが、

太陽系の外から飛来した船を

この先2度と見れないような気がした私は、

スペースポート2の文字がはっきり見える場所までたどり着いた。

普段はきっと立ち入り禁止なのではと思われる区域に、

多くの人々が噂を聞いてこの巨大な船が旅立つを

見届けようとしているように見えた。

スペースポートの向い側に並ぶビルの屋上に

たくさんの人々が集まっている。

エレベーターは混雑しているようだったので、

非常階段で屋上まであがった。


まるで巨大タンカーの2倍以上はあるのではないかと

思えるぐらいの船だった。

この葉巻型の宇宙船は以前にも目撃したことがあるように思えた。

そばで見ると足が震えるほどの感動をもたらした。

「私もこの船に乗りたい!」


副司令官のあの人間とは思えない未知のオーラに圧倒されて、

何も言えなかったが、ユキコも乗ってるあの船に乗りたいという

衝動が湧き起った。」


「いったいどうすれば・・・・そうだ、ユキコのタブレットに連絡しよう!」


「タブレットの電源を入れトシコに最後の通信を試みたが、つながらない。


きっと電波が遮断されているのだろう。」


「ううう、なんてこった。」


「こうなったら下に降りて貨物室からでも、排気口からでも、

はってでも乗り込みたい。

非常階段から降りて一階にたどり着き。

宇宙船の貨物室と思われる2か所のハッチが

開いていて最後の積み込みを終えようとしていた。

警備員の監視の隙間をみて入ろうとしたが阻止された。


もう時計を見るとあれから1時間は過ぎているだろう、

残された時間はもうわずかだった。制服を着た関係者なら

運搬の為に乗り込めるのだろうが、私には無理だと思った。


制服、制服は何処かで制服は手に入らないのか、そうだ!

トシコの父親はあのマンションの持ち主だから、

クローゼットにエルゴ協会の制服があるかもしれない。


見たところ警備員はエルゴ協会の制服にはノーマーク

のようだ。車でマンションまで行けば何とか間に合うだろう。

スペースポートの駐車場で鍵が付いたままの車を盗んで

マンションまで戻ると。急いでトシコの家の中のクローゼットを

に父親の制服がないかどうか探した。


「あった。」


「まさかと思ったがエルゴ協会の制服があった!」


少しサイズが合わなかったが、充分にこれで行けると思った。

急いでエレベーターから降りる。


車に乗り込みスペースポートの駐車場までたどり着いた。


車から降りた時。どよめきのような悲鳴のような音が響き渡っていた。


ま、まさか!

奇声を上げる人々をかき分けながら前に進んだ。

でも目の前にある巨大な黒い船はもう動きだしていたのだ!


「も、もう、だめ、」

「もうだめ、もうだめ、もう・・・・・」


動き出した船を見送る人々のなかで、

私は後悔という言葉の悲しさで、泣くこともできず。

声も出せずにたたずんだ。


やがて見送る人々も徐々に立ち去り。

警備員に注意されて起き上がった私は、

マンションまで歩いた。前を見ているようでも、前を見ず。

音が聞こえてるようで聞こえていなかった。


その時タブレットの端末に着信があり、

点滅していることにすら気づいてなかった。


気が付くとユキコのマンションの前まで戻っていた。

14階の部屋に辿りつき。鍵を開けると電気がついたままだった。

さっき、あわててたから電気を切り忘れていたのだ。

靴を脱ごうとしたら。ユキコが履いていた靴が横にあった。


部屋に入るとテーブルの椅子にユキコが座っていた。

「おかえり!遅かったわね。」

タブレットに電話しても出ないから、私がいなくなった

ショックで何処かに置き忘れてるんだと思ってたわよ。」


「私ね、地球には未練なんてないんだけどね、

宇宙人の男と将来一緒になる

気はないしね、育ててくれた両親にお別れも

言わないような親不孝な女でもないしさ。」

「それでね、副司令官にごめんなさい!

あなたとは一緒に行けない。と言って船から降りたのよ。」

それだけだからね。」

「誰かさんは、5歳児の子供みたいに

泣いてたってことはないわよね?」



 



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