強欲4
筋肉が肥大化した紀藤にも、土門はガタイでは負けていない。
だが、スピードが違う。
土門も一瞬の踏み込みは速いが、
紀藤は軽量級並みの速さで動き続ける。
その速度で、その質量で、拳が土門を襲い続ける。
劣勢。
だが、土門の眼は死んでいない。
紀藤の右フック。
その視点となる肩を土門の縦拳が貫く。
紀藤のフックは截たれ、一瞬体が開く。
ダァン!!
震脚と共に土門の体が内に入り込んだ。
靠。
肩口からの体当たり。
衝撃が突き抜け紀藤がよろける。
確実にダメージは徹っている。
その顔面を土門の両足が襲った。
ドロップキック。
土門の巨体、その重量が乗った靴底が紀藤の体を吹き飛ばす。
後方の柱に激突する紀藤。
凄まじい激突音。
柱をずり落ちるようにダウンした。
流石にダメージは重いはずだ。
だが、まだ鈍いながらも動きはやめない。
柱を背にして、よろよろと立ち上がろうとしている。
その眼が、手近のこっちを睨みつけた。
襲い来る、その出鼻。
紀藤の喉を目掛けて、思いっきり足を蹴り上げた。
ドグッ!
肉を潰したような感触。
仰け反った上体、そこに――――。
ダァン!!
震脚と共に土門の掌打が打ち込まれた。
鳩尾。一瞬、奔る閃光。
衝撃が紀藤の身体を貫き、背後の柱に再度、激突させた。
震脚、打撃、激突音。
轟音が重なり共鳴となって駐車場に響く。
逃げ場を失った衝撃の全てがダメージとなって紀藤を襲った。
ドサリ、と重い音を立てて紀藤の体が完全に沈黙した。




