50/53
強欲1
***
指が痛む。
ジリジリと熱を持ち、焦げ付くような痛みが指を苛む。
指を見つめる。
咄嗟に指輪を抜いた指は変色し、酷く腫れ上がってきていた。
確実に折れている。
こんな状態じゃあ…。
…勝てない。
…負ける。
……オレが、負ける?
ありえねぇ。
全て、手に入れてきたんだ。
金も、女も、力も。
なのに? こいつに?
許せねぇ…。
許せねぇ!許せねぇ!許せるわけがねぇ!!
全部!
全部!!
全部、俺のモノだろうが―――――ッ!!!!
光が捩じれた。
音は遠のき、”何か”が壊れた。
***
紀藤の、
折れた指の、それを抑えた腕の、
震えが全身に広がっていく。
蹲り、呻き声をあげる。
異様で、人が発するとは思えない音に変わる。
肌は血の気が失せ、土気色に。
筋肉が、蠕動し、肥大化する。
肩は隆起し、二の腕が、僧帽筋が膨張していく。
…同じだ。
港のアレと。
理性を失った相貌。
その瞳が、濁った熱を帯びてこちらを睨んだ。




