襲撃2
紀藤がにやけた顔で近づく。
距離が、じわじわと削られていく。
「どうだ、オレの拳の味は?」
指輪を嵌めた拳を強調してきた。
ムカつく顔を殴りたくなる。
――だが、拳の距離で戦ってはいけない。
回し蹴り。
即座の前蹴りで、ステップインを止める
だが、紀藤はうねるように懐へ入り込む。
なら、
今度はこちらから距離を潰す。
紀藤の襟を掴み引き寄せる。
膝蹴りを刺すように腹にぶち込む。
「グゥッ」
呻く紀藤の首を振って、バランスを崩し、
横からもう一発。
紀藤は両腕でガードする。
ドゴッ。
紀藤の反撃。
鈍い衝撃が、内臓に突き刺さった。
…ボディブロー。
―――ッ。
アッパーの風が頬を掠める。
頬を切り裂きそうな、その威力に戦慄が走る。
仰け反ったままの勢いで距離を取った。
再び蹴りで牽制し、ステップインを止める。
距離ができる。
再び、間合いの図り合い。
相変わらず、紀藤の顔はニヤついてる。
―――。
ステップインしてサイドキックを放つ。
紀藤は、余裕そうに、軽く下がる。
そのまま蹴り足を踏み込みにし、低い体制で、その顔面に殴り掛かる。
紀藤がわずかに目を見開く。
下がる紀藤に追いすがり、ガードさせる。
勢いのまま無理やり押し込む。
紀藤の手が肩を掴み、指が食い込む。
構わず突進し、紀藤の背を駐車していた車にぶつける。
その反動で縺れ合い、足が絡み、同時に倒れ込む。
ッ!
即座に上を取る。
ガードの隙間から、紀藤の顔面に拳を数発叩き込む。
「グゥッ」
紀藤に腰を蹴られ、強引に押し飛ばされる。
逃れるように、距離を取る紀藤。
先に態勢を立てなおし、距離を詰める。
紀藤が立ち上がるその瞬間、狙いをつけて蹴りを放つ。
ゴツッ
靴裏が、指輪で固めた拳を蹴り弾く。
紀藤の顔が苦痛に歪んだ。
数歩後退して距離を取り、震える指を抑えて固まった。
折れたのかもしれない。
紀藤は指輪を外すとそれを放り捨てた。
金属が床に転がり、乾いた音が駐車場に響いた。




