帰路
帰路に就こうと控え室から出て、土門がいないことに気づく。
先に帰ったのか、外で待っているのか。
とりあえず、扉を開け、地下から階段を上がる。
夜気が、熱の籠った体を冷ます。
そして、地上に出るところで、見知った人影に気づいた。
(神谷のオッサン…。)
薬の件がよぎり、懐の賞金が妙に気になった。
(今は会いたくねぇな…。)
確か裏口があったはずだ、そっちから出てみるか。
***
裏口を出て、地下道を通る。
そして、地下駐車場に入る。
案内板によれば、ここを抜けるルートが最短で外に出られる。
他は少し歩くようだ。
車はまばらで、人気は全くなかった。
自分の足音だけが空間に響く。
そして、駐車場の半ばほどに差しかかっただろう時、
前後から複数の足音が響いた。
予感――体が臨戦モードに切り替わる。
行く手を阻むように現れる、目出し帽をかぶった二人の男。
片方は、手に鉄パイプを持っていた。
その姿を確認し次第、男目掛けて、走り出す。
誰が何を狙っているのか、確認するまでもない。
口上など、言う暇は与えない。
先手必勝。
その鳩尾に飛び蹴りを打ち込み、吹っ飛ばす。
着地と同時に、掌底でもう一人の顎を打ち上げ、蟀谷を横殴りにする。
男は昏倒し、蹴り飛ばした方に目を向ける。
蹲り苦しんでいる頭を、サッカーボールキックで蹴り抜いた。
鉄パイプを拾いつつ振り向くと、後ろにも二人。
片方はメリケンサックを手に嵌めていた。
そちらに鉄パイプを投げつけ、追うように走る。
焦って躱す男の腹に横蹴り打ち込む。
くの字に折れた後頭部に上から鉄槌を打ち下ろす。
ガツッ!
そのまま倒れ動かなくなる。
残り一人。
こいつ等はアホだ。
覆面が、視界が狭まることが、格闘でどれだけ不利が分かっていない。
ビビッて怯んでいる残りの一人に近づく。
拳のフェイント、からの金的。
それだけで、最後の一人は片付いた。




