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倉庫の交戦3
視線を落とす。
目に入るのは、血に濡れて光る二本の短刀。
先端から赤が滴り、コンクリートの床に点を描く。
「下がってろ。」
遊馬が短く言い放ち、踏み込む。
滑るように巨漢に迫り、刃が閃いた。
首筋を断ち切る死角からの一閃。
だが、紅い線が走るのみで、男は倒れない。
筋肉が裂けたはずの部分から血が滲むだけで、動きは鈍らなかった。
「……化け物め。」
吐き捨てるように呟くと同時に、
巨漢の腕が唸りを上げて振るわれた。
遊馬は紙一重で身をひねり、その勢いを利用して後方へ跳ぶ。
靴裏がコンクリートを滑り、背後の棚にぶつかる。
「……埒が明かんな。」
その声とともに、握った刃が、淡く赤く光って見えた。
微かに空気の震えが聞こえた気がする。
(なんだ?)
「グァァァッ!」
男は遊馬を睨み、咆哮を響かせる。
再度腕を振り上げ、遊馬に踏み込む。
遊馬に逃げ場はなかった。
その命を引き裂こうと剛腕が振り下ろされる。
(――まずい!)
ガシュッ――!!
金属を裂くような音。
血飛沫とともに、巨漢の右腕が肘のあたりから吹き飛んだ。
塊が鈍い音を立てて転がり、赤黒い筋を残す。
(な、にが……起きた……?)
息を飲む。
埃舞う中、血濡れた刃が西日を赤く反射していた。




