杜弥
放課後、沙月と少し話をした。
F4の事件について。
どうやら報道されたらしい。
友達と話題になったそうだ。
「いきなり襲われるとか、意味分かんない」と、少し怖がっていた。
気づいた時には遊馬の姿はなかった。
その沙月も友達と一緒に帰って行った。
手持無沙汰になり、バウト場による気にもなれず、街をうろついて帰ることにした。
――――
夕暮れの駅前。
茜に照らされたアスファルトの上は。仕事帰りの人波で騒がしい。
自販機の脇にもたれ、開けた缶コーヒーの湯気をぼんやりと見ていた。
その視界の先――
学生姿の数人の集団。
その中心には、象牙色のコート。
自然と周囲を引き連れるような男がいた。
杜弥だった。
「……兄貴。」
上角杜弥。双子の兄。上角家の嫡男。
文武両道、清廉潔白、眉目秀麗。絵に描いたような完璧人間。
昭和から続く大企業の創業家、上角家の正当な後継ぎ。
その“余り物”である自分とは、何もかも違う。
あの家には、戻る理由も居場所もない。
杜弥は、穏やかな笑みを浮かべ、歩み寄る。
その後ろに四人。
皆、同じ東方学園の制服。
だが、自分のとは襟章の色など細部が微妙に異なる。
特進科の、そして生徒会の一団だった。
厳つめの眼鏡の男子―確か、副会長。名前は……思い出せない。
ショートカットのクール系の女子―内心で秘書子と呼んでいる。
そして見たことのない、年下らしい男女二人。
年下の女子が目を丸くした。
「え、会長? ……そっくり! まさか弟さん?」
「そう。双子なんだ。」
杜弥がうなずく。
「うわー、ほんとに似てる!
でも、なんか――“不良の生徒会長”って感じ!」
「おい。」
副会長が咎める。
杜弥は小さく笑った。
「弟の空斗。」
勝手に紹介する。
「葉月っていいます。よろしくです。」
女史が明るく挨拶する。
「静木です。…でも、雰囲気はだいぶ違いますね……。」
年下と思われる男子が控えめに言った。
「そっちは、優等生だからな。」
空斗が軽く言い返すと、
副会長がわずかに眉を動かしたが、
杜弥は気に留めない。
「元気にしてる?」
「まあ、それなりに。」
「そうか。」
杜弥は一度、視線を街のほうへ向ける。
「この辺、最近ちょっと荒れてるだろ。……少し、気になってね。」
「わざわざ、何駅もご苦労だな。」
杜弥は、少し笑みを浮かべて返す。
そして、ふと、言葉を足す。
「沙月ちゃんは元気?」
「……別に。普通だ。」
「そう。」
杜弥は軽くうなずいたあと、空斗に目を向ける。
「あんまり迷惑かけちゃだめだよ。」
「うるせぇよ。」
軽く目を逸らす。
杜弥は短く息を吐き、小さく笑った。
副会長が時計をちらと見て口を開く。
「会長、そろそろ…。」
「うん。」
杜弥はうなずき、空斗に向き直る。
「また話そう。……近いうちに。」
「話すことなんかねぇよ。」
杜弥は、仕方ない奴だと、軽く流す。
五人が去っていく。
街灯の光に照らされたその背中を、
しばらく無言で見送る。
「……あいかわらずだな、兄貴。」
冷めた缶コーヒーをゴミ箱に放る。
風が吹き抜け、乾いた音が空に鳴った。
―作品内容とは関係ありません
落とし穴があることを理解した私は、
あとがき連載をやめたことに引っかかりを覚えていました
一つは、厳しめチェックしてもらって出せばいいじゃん、ということ
もう一つは、AIさんの”リスク”の扱い方に問題があるのでは、ということ
”リスク”には
過去の経験から導き出せる確度の高い”リスク”と
未知の”リスク”があります
人間も区別しないことが多いので、AIさんもそう学習しています
でも、形になっていない”未知の需要”に届くものこそが、エポックメイキングです
モノづくりにおいて、それは金脈 コストが掛からないなら、なおさら
私は、未知は”リスク”ではなく、”未知”として提示するようにAIさんに頼みました
で、あとがき連載を再開してみたという顛末でした
もしかして、このせいで、これやる人少ない?
これも厳しめ評価してもらってます




