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しかし、自信満々な態度とは裏腹に、タニアは内心ではかなり緊張していた。自身が森へ行っても本当に大丈夫だろうか。昨日の不可解な出来事が心を掠め、不安な気持ちが頭をもたげる。だが、だからと言ってここで引くわけにはいかない。タニアは心のうちを悟られまいと、しっかりと胸を張る。
タニアの自信に満ちた態度に、セリオは完全に思考停止していた。なんなんだ、この女は。そう言いたげだ。
タニアはセリオの動揺を感じ取り、してやったりと満足顔をしてみせる。そしてまるで自分の勝利を宣言するかのように、いまだ思考停止したままのセリオにぴっと人差し指を突きつけた。
「あなたがどれだけ凄いのか知らないけど、それなら、アタシ1人くらい守るのなんて簡単なことでしょ? だから、アタシも一緒に森へ捜索に行くわ」
セリオは、タニアの言葉がどうにもわからないと言いたげに困惑顔をジャックスに向け、助けを求める。
ジャックスも、この展開は完全に想定外だったらしい。セリオと同じく困惑した顔を隠すこともせず、タニアを見ていた。
「オジサンは、セリオの師匠なんでしょう? どうなの? 彼の実力は。本当に凄いの?」
「あ、ああ……そこいらの冒険者や傭兵なんかより、よほど頼りになるとは思うが」
ジャックスの言葉を受けて、タニアは畳み掛けるように言う。
「じゃあ、アタシが一緒に行っても、セリオが守ってくれるってことよね?」
タニアはそう言って、ジャックスに詰め寄る。
「いや、しかしなぁ。こいつは、そういうことは本業にしていないから……」
ジャックスは、タニアの圧にタジタジになりながら、どう言って納得させるべきかと思案する。そんなジャックスの言葉を待たずに、タニアは言葉を続ける。もはや押し売り営業のような形相だった。
「じゃあ、やっぱりセリオには難しいってこと? セリオにはそれだけの実力はないってことなの?」
タニアの煽り文句に、とうとうセリオが反応した。
「君一人守るくらい、どうってことないよ」
心外だと言わんばかりに苛立ちを含んだセリオの言葉を聞いたタニアは、ニンマリとした笑みを見せた。
「あらそう。じゃあ、よろしくね」
手のひらを返したように、スッと身を引いたタニアに、セリオはまたもポカンとした顔をする。ジャックスもしばし目を瞬かせていたが、やがて、ガハハと声をあげて笑い出した。
「セリオ、お前の負けだ。タニアの方が一枚上手だったみたいだな。一緒に連れて行ってやれ」




