店長、タイムカードを押していない。
――翌日・深夜。
Midnight Mart 王都支店。
レジ横に設置された新しい機械。
《勤怠管理システム》
ユウト
「……ついに導入された……
文明が……」
リゼリア
「時間を
拘束する魔導具……」
アリシア王女
「王国でも
貴族が嫌う装置だ……」
ユウト
「リアルなこと言わないでください!」
ユウトはカードをかざす。
ピッ。
《出勤を確認しました》
ユウト
「よし……」
リゼリア
ピッ。
アリシア
ピッ。
全員、無事出勤。
――数分後。
ガラッ。
店長
「……あー……
おはよ……」
ユウト
「店長!
先にタイムカードお願いします!」
店長
「……ん……」
店長は機械を見る。
店長
「……これ……
俺も……
やるの……?」
ユウト
「全人類やります!!」
店長、カードを探す。
ポケット。
カバン。
缶コーヒー。
店長
「……ない……」
ユウト
「ない!?
カードない!?」
店長
「……そもそも……
もらってない……」
リゼリア
「……存在が
登録されていない……」
アリシア王女
「名簿に
載らぬ王……!」
ユウト
「王じゃない!
雇われです!!」
ユウト
「じゃあ今日は
どうするんですか!?」
店長
「……まあ……」
店長はレジ裏の椅子に座る。
店長
「……もう……
いるし……」
ユウト
「概念で出勤するな!!」
《ピンポーン》
勤怠システム
《未登録の存在を検知しました》
全員
「!?」
《処理できません》
ユウト
「機械が負けた!?」
リゼリア
「……文明の限界……」
アリシア王女
「この者……
制度を超越している……」
店長
「……じゃ……
コーヒー
補充しとくね……」
ユウト
「勝手に労働始めた!!」
蛍光灯が、静かに光る。
Midnight Mart 王都支店――
今日もまた、
店長だけが
“出勤していないのに働いている”。




