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店長、存在しているのに出勤していない。

――その日の夕方。

Midnight Mart 王都支店。

ユウトはレジで、静かに震えていた。

ユウト

「……おかしい……」

レジ前の出勤確認端末を見つめる。

【本日の出勤状況】

・ユウト 出勤中

・リゼリア 出勤中

・アリシア王女 臨時出勤中

・店長 未出勤

ユウト

「……え?」

視線を上げる。

レジ横の椅子。

――いる。

爆睡中の店長が。

スゥ……スゥ……。

ユウト

「いるのに!?

 未出勤!?

 どういう状態!?」

リゼリアが端末を覗く。

リゼリア

「存在は確認できますが……

 “労働”が感知されていません」

ユウト

「それ

 言い方かっこよくしただけで

 何もしてないって意味ですよね!?」

アリシア王女

「なるほど……

 “在るが、務めていない”……」

老人

「概念的存在じゃな……」

ユウト

「人を

 概念にしないでください!!」

そのとき。

ガラッ。

王城の監査官が入ってくる。

監査官

「王国より、

 労働実態の確認に来た」

全員、硬直。

監査官は店内を見回し、

店長を見る。

監査官

「……こちらの方は?」

ユウト

「店長です」

監査官

「出勤していますか?」

ユウト

「……してない

 ことになってます」

監査官

「……?」

店長、寝返り。

店長

「……あー……

 今日……

 休みだったっけ……」

ユウト

「知らないです!!

 本人が一番知らないの

 怖いです!!」

監査官は沈黙し、

端末を閉じた。

監査官

「……確認しました」

ユウト

「何を!?」

監査官

「“管理不能”と」

ユウト

「分類が雑!!」

監査官は深く頷く。

監査官

「王国の管轄外です」

そう言い残し、去っていく。

ユウト

「え、

 逃げた!?」

リゼリア

「……王国が

 判断を放棄する存在……」

アリシア王女

「父上にも

 紹介しない方が良さそうだ……」

店長は目を開け、ぼそり。

店長

「……ユウトくん……」

ユウト

「はい……」

店長

「……タイムカード……

 押しといて……」

ユウト

「最後まで

 人任せ!!」

店長は再び眠りに落ちる。

スゥ……。

ユウト

「……この店、

 店長が一番

 自由なの

 納得いかない……」

蛍光灯が明滅する。

Midnight Mart 王都支店――

今日も、

働いているのかいないのか

よくわからない誰かを中心に、

世界は回っていた。

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