店長、クレーム対応で異世界を沈静化する。
――同日、午前3時02分。
Midnight Mart 王都支店。
ツナマヨ教の信徒たちは満足そうに帰路につき、
店内はようやく平穏を取り戻していた。
……はずだった。
ガラッ。
裏口が、勝手に開いた。
ユウト 「え、
今日はもう
裏口イベント終わったよね!?」
現れたのは、
全身鎧の騎士団長。
後ろには、王城関係者らしき集団。
騎士団長 「ここが……
“ツナマヨによって
王都の秩序を揺るがした場所”か」
ユウト 「言い方ァ!!」
アリシア王女 「待て!
これは不可抗力で――」
騎士団長 「王女殿下、
すでに苦情が来ております」
ユウト 「苦情!?」
騎士団長 「“ツナマヨを買えなかった”
“並ばされた”
“信仰心を試された”など……」
ユウト 「全部お客の感想じゃん!!」
そのとき。
レジ裏から、
むくりと起き上がる影。
店長 「……クレーム……?」
ユウト 「店長!
起きてください!
今、国レベルのやつです!」
店長は目をこすり、
鎧の集団を一瞥。
「……あー……」
一同、緊張。
店長 「……すみません……」
ユウト 「!?」
店長 「……混雑で……
ご不便……
おかけしました……」
騎士団長 「……は?」
店長 「……次回……
発注……
増やします……」
沈黙。
騎士団長の表情が、
みるみる変わる。
「……誠意ある対応……」
後ろの役人 「書類不要ですね……」
アリシア王女 「え、
それで済むの?」
老人 「“謝罪”は
最強の魔法じゃ……」
ユウト 「異世界でも
それ通用するんだ!?」
騎士団長は深く一礼。
「では、
本件は
解決といたします」
一行、退場。
自動ドアが閉まる。
シーン。
ユウト 「……店長」
店長 「……?」
ユウト 「今、
国のクレーム処理
終わらせましたよね?」
店長 「……いつも……
こんな感じ……」
再び、即・爆睡。
スゥ……。
リゼリア 「……働かぬ者ほど
世界を救う……」
アリシア王女 「王国の相談窓口を
移転したい……」
ユウトは天井を見つめる。
「……もう
この店、
何なんだよ……」
蛍光灯が、
いつも通りに唸る。
Midnight Mart 王都支店――
世界の厄介ごとは、
クレーム対応で片付くらしい。




