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婚約破棄された令嬢ですが、“記録を書き換える力”で全部ひっくり返します  作者: 夜空ミリア


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第32話 責任の重さ

 ――関係の確定だ。


 その一行は、静かに現実へと変わっていく。


「……っ」


 最初に崩れたのは、私の足元だった。


 力が抜ける。


 膝が、わずかに揺れる。


「お嬢様!」


 ルークの声。


 だが、支えられる前に踏みとどまる。


「……問題ありません」


 短く答える。


 だが。


 問題がないわけではない。


 明確に。


 体が重い。


 呼吸が浅い。


 そして。


 “意識が引かれる”。


「……これが」


 私は小さく呟く。


「責任ですか」


 黒服の男が、ゆっくりと近づく。


 その目は、いつもよりわずかに真剣だ。


「接続の代償だろうな」


「ええ」


 私は頷く。


 理解している。


 今回の接続は。


 通常ではない。


 相手は未記録存在。


 しかも。


 “向こう側”と繋がっている。


 それを。


 こちら側に固定した。


 当然だ。


 代償がないはずがない。


「……お嬢様」


 ルークが、低く言う。


「離してください」


 その言葉。


 それが意味するもの。


「接続を、ですか」


「はい」


 一拍。


「このままでは、引きずられます」


 正しい判断だ。


 極めて。


 合理的に。


 だが。


「いいえ」


 私は首を振る。


「切りません」


「お嬢様!」


「ここで切れば」


 一拍。


「完全に奪われます」


 沈黙。


 ルークは理解している。


 だからこそ、言葉が続かない。


「……」


 私は手帳を開く。


 文字が、増えている。


【対象 ノクス】

【関係 接続】

【責任者 私】

【負荷 継続】


「……」


 私は何も言わない。


 だが。


 分かる。


 これは。


 持続型だ。


 一度で終わるものではない。


「……重い?」


 ノクスが、隣で言う。


 その声は、少しだけ変わっていた。


 曖昧さが減っている。


 より、人に近い。


「ええ」


 私は答える。


 正直に。


「かなり」


 ノクスが、少しだけ考えるようにする。


 そして。


「……分ける」


 一言。


「何をですか」


「負荷」


 その言葉。


 それだけで。


 私は理解する。


「……」


 私は、わずかに目を細める。


 それは。


 提案だ。


 そして。


 関係の変化。


「……できるのですか」


「……分からない」


 ノクスは、正直に答える。


「でも」


 一拍。


「やる」


 その一言。


 それだけで。


 十分だった。


「……」


 私は何も言わない。


 だが。


 わずかに、ペンを持ち直す。


 そして。


 書く。


【対象 ノクス】

【関係 共有】


 インクが、静かに染みる。


 その瞬間。


 空気が、変わる。


 重さが。


 分散する。


「……っ」


 私は息を吐く。


 軽くなる。


 完全ではない。


 だが。


 確実に。


「……なるほど」


 黒服の男が、興味深そうに言う。


「責任の分割か」


「ええ」


 私は答える。


「一方的ではない関係です」


 それが。


 今回の接続の本質。


「……」


 ルークが、ゆっくりと剣から手を離す。


 完全ではない。


 だが。


 状況は安定した。


「……これで」


 私は言う。


「維持は可能です」


 ただし。


 問題は残る。


「……お嬢様」


 ルークが言う。


「まだ、終わっていません」


「ええ」


 私は頷く。


 当然だ。


 そして。


 そのとき。


 空気が、揺れる。


 再び。


 だが。


 先ほどとは違う。


 圧ではない。


 もっと、静かな。


「……」


 私は視線を上げる。


 廊下の奥。


 そこに。


 “何か”がいる。


 だが。


 先ほどの管理者ではない。


 違う。


 性質が。


「……増えましたね」


 黒服の男が、楽しそうに言う。


 だが、その目は鋭い。


「ええ」


 私は答える。


 そして。


 理解する。


 これは。


 新しい段階だ。


 関係を確定させたことで。


 “見えるもの”が増えた。


「……ノクス」


 私は呼ぶ。


「これは」


「……来てる」


 短く。


 だが。


 はっきりと。


「違う」


 一拍。


「管理者じゃない」


 その言葉。


 それだけで。


 背筋が冷える。


「……なら」


 私は言う。


 静かに。


「何ですか」


 ノクスは、少しだけ間を置く。


 そして。


 答える。


「……もっと上」


 その瞬間。


 空気が、止まる。


 完全に。


「……なるほど」


 私は、小さく呟く。


 そして。


 確信する。


 これは。


 終わりではない。


 むしろ。


 ――始まりだ。

接続は、終わりではありませんでした。


むしろ――関係が確定したことで、

見えるものが増えた。


そして、その先には“上”がいる。


もしここまで楽しんでいただけたなら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は、“管理者より上”との接触です。

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