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Episode40 ゾディアック

 日曜日。


 昨日はたまにはということで外出して、そしたら星川とデートすることになったり、と色々あったが今日は超能力の訓練だ。


 アジトの戦闘訓練室に行ってみっちり鍛えるぞ。


 そう、昨日までは思っていた。


 思っていたのだが……。


 本当に唐突に昨日の代表者ミーティングで聞いた会話が頭によぎって、それが気になりだしたのだ。


『チッ、言うようになったな。2代目の癖によ!』


『初代も2代目も関係ありませんよ。今は同じ立場です』


 そう、昨日の5番隊長と一ノ瀬隊長の喧嘩中の一部の会話である。


 初代、2代目っていうのは何なのか。


 最初は気になっても、一ノ瀬隊長本人には聞きづらいしで気にしないようにしていた。


 しかし、戸塚なら何か知っているんじゃないかと、ふと思ったのだ。


 そこで俺は早速寮の戸塚の部屋に朝早くからやってきた。


 ドンドンドン!


 半ば殴りつけるような勢いで扉を乱雑に叩く。


 しかし数秒待っても反応は無い。


 ドンドンドン!


 再びノックとは言えないノックをする。


 すると……。


「うるせぇよ!」


 キィィ、と音がして扉が開いたと思えば、戸塚に開口一番怒鳴りつけられる。


「悪い悪い」


 悪いのは俺なので謝っておいた。


 ただし本心とは限らない。


「その反応。絶対悪いと思ってねぇな」


 バレてら。


「んで、何の用だよ」


「あぁ、ちょっと聞きたいことがあってな。上がっていいか?」


「いいわきゃねぇだろ。まだこちとら朝飯も食ってねぇんだ」


「それはお前が悪い。ってことでおじゃましまーす」


「おいぃぃぃ」


 戸塚がいきなり大声を出すが気にしない。


 俺は戸塚を押しのけて部屋に上がりこんだ。


「はぁ……。なんか今日は立場が逆転してるな」


 戸塚は諦めたように溜息をつくと、扉を閉めて部屋に戻る。


 いつもお前が問題児行動取ってることは認めるのね。


 俺がソファに座り込むと、戸塚がどこからか菓子パンを持ってくる。


 そのまま俺の隣に座り込んだ。


「いや、隣座んなよ。キモいわ」


「じゃあどこに座れと⁉」


「床とか」


「酷すぎだろ! ここ俺の部屋なんだが⁉」


「そうだっけ?」


「そうだよ!」


 いやぁ、こうも元気に突っ込んでくれるとどんどんボケたくなるよね。


「まあそんな冗談はいいからさっさと本題に入っていいか?」


「俺のセリフなんだが……。で、なんだよ?」


 戸塚が不意に真剣な顔になる。


 おっと、そうだった。


 流れでしょうもない茶番を繰り広げてしまったが、そんなくだらないことをするためにこんなところに来たわけじゃない。


「実は気になることがあってな……。お前なら知っているかもしれないと思って聞きに来た」


「気になること?」


「あぁ、実は――」


 そして俺は昨日代表者ミーティングに参加したときのことを説明した。


 すると……。


「お前……そんなことも知らないでゾディアック入ったのかよ?」


 戸塚が呆れたように言ってくる。


「え、そんな有名な話なのか?」


「あー、いや、一般人からすると確かにそう簡単に知ることは出来ないか。調べれば多少は出てくるだろうが」


「なんだよ」


「悪い悪い。んじゃあ教えてやるよ」


 やっぱり戸塚は知っていたか。


 そう言って戸塚は話始めた。


「そもそもこの組織の名前である『ゾディアック』には意味がある」


 意味なんてあったのか。


 ただ中二病っぽくてカッコいいだけだと思っていたが。


「どんな意味なんだ?」


「あぁ、ゾディアックとはそもそも黄道帯という意味がある。黄道帯には黄金十二星座に蛇使い座を加えた、計13の星座がある。この13という数字、どこかで覚えが無いか?」


 13?


 忌み数とか?


「はぁ、その顔じゃあ全く分かって無さそうだな」


 戸塚の何度目かのため息。


 イラッ。


「じゃあ何なんだよ」


 俺は語気を強めて言う。


「部隊数だよ部隊数」


 ああ!


 戸塚に言われて初めて思い出す。


 そういえばゾディアックの部隊数は13だったな。


 でも……。


「それとこれがどう関係あるんだよ?」


「あぁ、実はこの組織は元々13人の超能力者が寄り集まって出来たんだ。たまたま13だったからそれにちなんでゾディアックと名付けた訳だな」


「あーね。その初代の13人が13の部隊長をやっているってことか」


「そうそう」


 つまり一ノ瀬隊長は初期メンバーなんだな。


 結構若そうだけど。


「おいおい、勝手に分かった気になるなよ。話はもう少しあるぜ?」


「そうなの?」


「あぁ。お前一ノ瀬隊長のこと、初期メンバーなんだなーとか思っただろ?」


 くっ……。


 めっちゃ図星。


 エスパーかよ。


「やっぱりな。ここからが本題だぞ?」


「おう……」


「まず一つ言うと、あの人は初期メンバーじゃない。しかし隊長なのは間違いない」


 うーん、どういうことだ?


「よくわからん。隊長を務めてるのは初期メンバーなんだろ?」


「違うな。そもそも第6部隊の隊長を務めた初期メンバーは死んでいる。それの代わりとして入れ替わりに隊長の地位に着いたのが一ノ瀬さんってわけだな」


 なるほど……。


 考えてみれば頭が変わることくらいよくあることか。


 こんな世界だ。


 死んだり国に捕まったりなんてよくあることだろうしな。


「なるほど、別に不思議なことじゃないな」


「いや、実際はそんな簡単な話ではないが……まぁ別に特に重要なことではないしそう思って大丈夫だ」


 ん?


 俺は少し、戸塚のこの言い方が少し気になったが、特に追及はしなかった。


「でもこれで分かったんじゃないか? お前の最初の質問の答えがさ」


 どういうことだ?


 あ……!


「一ノ瀬隊長は第6部隊の初代隊長が死んで空いた穴に入ったから、『2代目』なんて呼ばれてたのか。しっかしそんなんで差別する何て5番隊隊長は随分と性根が腐ってるようだ」


 俺は軽く陰口をたたく。


「ま、そう単純な話でも無いんだけどな」


 そうつぶやいた戸塚は随分と遠い目をしていた。

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