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心配

夜が更け、ダイヤを粉々にしたような満天の星空が輝いている

僕は一週間もお邪魔していた医務室から寮に戻っていく。

折角鍛えた筋肉は衰えてしまったようで、ふらつきながら歩いていく。

医務室で実地演習の事は粗方聞いたが…あまり実感がない。

むしろ自分が本当に倒したのかすら怪しく感じてしまう。

…そして、記憶がごっそり抜け落ちてるという事実

万能と呼ばれる魔法でもっても、頭の中まで回復させることは出来ない。

(自然に思い出すのを待つしかないのか…)

嫌な考え方を吐き出す為にため息をつく


「ため息ばかりじゃ幸せが逃げちゃうよ。」


後ろを振り返るとシャルが居た。

幻想的な夜の雰囲気を包む中庭に佇む彼女は、穏やかに笑っていた。

「良かった。元気そうだね。」

「うん。体は元気。」

僕の返事に彼女は首を傾げる。

「…記憶が無いんだ。」

風が彼女の長い髪を揺らし、彼女の顔を隠す

「いつかは思い出すと思うし、自分が魔法を使えた瞬間を覚えてないのが残念なくらいで平気だよ」

「…そう。」

彼女の目に写る僕は鏡の中で見る嘘めいた笑顔をしていた。

「もう行かないと…おやすみ。」

それから逃れる為に僕は彼女から離れる。

「………ね」

微かに聞こえた言葉は風に飛ばされ何処かにいった。



***


久し振りの寮に戻って僕は固まっている。

「お帰りー。遅かったね。」

同室のエミリオが居るのは当たり前だが

「お邪魔してます」

なぜ彼女…アーカイルさんが居るのだろうか…

「マリーから起きたって聞いたので…ごめんなさい。」

「あ、あぁ…驚いただけ。大丈夫。」

「二人ともごめんね。ちょっと人に会ってくるから。出掛けてくるね」

「「…え?」」

「じゃ、ごゆっくり。」


バタン


「…二人っきりですね。」

…そうですね。



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