6 「人間万事塞翁が馬」だなと思った、お薬の話
こんにちは。黑星★です。
最近全然活動をしておらず、エッセイの更新も滞っておりすみませんでした。
何故かというと……まあ、言い訳なんですが。
3月の半ばにまた4日間入院してしまいまして。
細かいことは省略しますが、持病のひとつ、メニエール病に起因する目眩です。
目眩と言っても、皆さんが想像するようなくらくらするようなものとは違って、頭を誰かに両手で掴まれて、ぐわーっとシェイクされている感覚に似ています。
こうなると起き上がるどころか、体の角度を少し変えるのさえ辛くなります。入院して点滴治療を受けることになりました。
お陰で今はすっかり症状も落ち着いているのですが。
なにぶん目眩の発生は自律神経の乱れも大きく影響するので、自律神経が乱れがちな季節である春×更年期が始まった今の時期というダブルパンチでは、またいつ同じような状況になるかもしれないと戦々恐々の事態でございまして。
「うん、これはもっと健康を意識しないとだめだな」
と一念発起しました。食事の見直しや一日8000歩以上歩くことを目標にし、早寝早起きを心がけ……と人が変わったように健康的な生活を送っているのですが。
いかんせん、執筆にかける時間が激減してしまったという訳です。
このままでは本当に筆を折りそうなので、気楽に日常エッセイを書くことにしました。
……と言っても、実はこれからお話しする内容は、結構前からエッセイにしようと思っていたことではあるのですが。
前述のメニエール病の治療薬についてのお話です。
★
メニエール病の治療薬に、イソソルビドシロップがあります。
シロップと名がつく通り液体の薬になりますが、これが、実に、実に! 実に!! まっずい。
ものすごく苦いんです。その苦味を消すためなのか、元々甘み成分があるのかは不明ですが、人工甘味料の甘みも強く入っています。そしてその甘みの間から主張しまくる苦さ。
強烈で濃厚な甘さと苦さが舌を刺してくるので、飲んだあともイヤ~な後味が残ります。原液そのままで飲むのはかなり辛く、多めの水で割って飲む事が殆どです。
そしてこの薬、結構お高いのです。
ジェネリック医薬品で保険が効いても、患者の負担額は一回100円ぐらいするんじゃなかったかな。
お値段が高く、処方される人もそれほど多くない為かと思うのですが、どこの調剤薬局に行っても一ヶ月分丸々を一度に出してもらえることはありません。
「うちには全く置いていません」
「うちには◯日分しか無いので、残りは取り寄せです」
帰ってくる回答はこのどちらか。
この薬を毎月処方してもらってる薬局でさえ、そう言われます。
毎月いつも処方してるのだから、それに合わせて在庫を置いておけばいいと思うじゃないですか?
けれどこのお薬、多分薬局側では在庫を抱えたくないのでは、と推測しています。
実はこの薬局で一度、全量を一気に出してくれた(頼んでもいないのに!)ことがあったのですが、飲んでみたら普段でもヒドイ味が、臭みがあり更にヒドイ味になっていて色も黄色に変色していました。
パッケージをよく見ると、貰ったばかりなのに消費期限があと2ヶ月くらいしか残っていない古いものばかり(普段は1年以上消費期限があります)……。
薬局に連絡し調べてもらったところ、イソソルビドシロップは保管期間が長かったり、保管状態が良くないと味や色が変質してしまうとのこと(効果には影響ないそうです)。
そして、この薬局、ドラッグストアチェーンの調剤コーナーだったのですが、系列の他店でずっと保管して期限ギリギリになってたイソソルビドを私のところに回したらしいです……。
この時点で「この薬局はあまり良くないから他に行こう」と思えば良かったのですが、家から200メートルも無いくらいの最寄りだったのと、私は日常の大したことのない不運(不良品とか、並んでて私の前で売り切れとか)をちょいちょい引くことがあるので「運が悪いなぁ、まぁいっか」と、そのままそこを利用し続けました。
そうしたらまたも「運が悪いな」と思うことに出会ったのです。
ある日のこと。いつものように一ヶ月分の薬の処方箋を、その薬局に出しました。
「黑星様、イソソルビドは10日分しか在庫がありませんので、残りは後日お渡しになります。お会計は全部の代金を今頂きまして、残りのお薬が入荷したらご連絡しますね」
「はい、わかりました」
いつも通りの会話、いつも通りのお会計を済ませて、10日分の薬を持ち帰りました。
いつもなら薬は大体翌日の夕方に入荷します。この日は水曜日でしたので、木曜日の夕方になるかなぁと思っていました。
そして、予想通り木曜の夕方、仕事が終わって携帯を確認すると留守番電話に「お薬が入荷しましたので取りに来てください」と16時過ぎにメッセージが入っていました。
なお、留守番電話を確認した時点で17時半すぎ。
調剤薬局が閉まるのは18時半。
通勤には約50分かかるため、かなりギリギリです。しかし間に合わないと困ります。
金曜日は私の仕事が忙しいので行けそうにありません。そして土日は薬局が休業のため、また月曜日の仕事終わりに急いで帰らないといけません。
私は駅まで走り、電車に乗り、最寄り駅からはまた走ってなんとかギリギリの時間に薬局に飛び込みました。
「あっ、黑星様、すいませーん。さっきの電話ですけどぉ、あれ間違いでした!」
「……はい?」
「在庫、今日届かなかったんですよ。だから、明日また取りに来てくれます?」
店員さんが悪びれもせずに予想外なことを言うので私はびっくりしました。
「(呆然)……あっ、はいっ、わかりました」
あんまりびっくりしたので、素直に応えてしまいトボトボと家に帰ったのですが、あとからふつふつと納得いかない思いが湧いてきました。
こちらは必死に走ってきたのに……というのは私の勝手ですが、それを抜きにしても酷くありませんか?
間違いに気がついた時点でもう一回電話をしてくれれば、こちらは走らずに済んだのに。なぜ電話もしなかったのでしょう。
携帯には最初の「入荷しました」以外の着信履歴はありませんでしたし、私が薬局にたどり着いた時にはヒマそうにしていたのに。
それでドラッグストアに電話して「こちらは明日取りに行くのは無理だから、郵送するか、または家のマンションのポストにでも入れてほしい」と伝えました(前述の通り、薬局から家までは200メートルもありませんし、私の住所は把握されています)。
……が。
「あ、調剤コーナーはもう閉まってるんですけど、多分無理ですねぇ」
「じゃあ明日、調剤コーナーから折り返し電話ください」
そう伝えたのに。折り返しの電話は結局一度も来ませんでした。
翌週薬を取りに行くと、くだんの店員さんは奥の調剤コーナーに引っ込んで、私の対応を新人社員さんにお任せ。新人さんは、薬についたメモを読んで私にペコペコ謝ってました。その人のせいじゃないのに。
最後まで舐められた対応だな、と感じました。
★
これは流石に「運が悪いなぁ、まあいっか」では済ませられませんでした。
頭にきたので、もう二度とそこの薬局は利用していません。
今は家からちょっと離れた薬局を利用しています。こちらは19時まで営業しているので、仕事帰りに寄ることも出来ますし。
ところが、これが意外な転換点だったのです。
「あー、この薬、在庫が二週間分しかないんですよ」
翌月、新しい薬局で処方箋を出すと、薬剤師さんから予想通りの言葉が返ってきました。
「あ、大丈夫です。ある分だけいただいて、残りは取り寄せで」
「ありがとうございます。……この薬、マズイですよねぇ」
本当にマズそうな顔で言われて苦笑いします。その苦笑いには別の思いもありました。この人もフレンドリーな店員さんだけれども、前の薬局みたいに舐められた対応にならないかな……という懸念が。
しかしフレンドリーな薬剤師さんはきっちり仕事をしてくれたのです。処方された薬のパッケージを見て、私はあれっと思いました。イソバイドと書いてあります。
(※容量が違うのは、単にイソバイドの40mlの在庫がないからです。なので1本+もう一本を開封し10mlずつ計って飲んでいました。)
「あれ、イソソルビドじゃないんですね?」
「ああ、イソソルビドですよ。商品名はイソバイドですけど」
言われて初めて、そういえば耳鼻科の先生が薬の名前を「イソバイド」と呼んでいたことを思い出します。薬剤師さんは私のお薬手帳を見て言いました。
「今まではジェネリックを使ってたんですねぇ。すいません、うちではイソバイドしか置いてないんですよ」
このイソバイド(イソソルビドシロップ)、先発医薬品なので、当然今までのジェネリックよりお値段が高いのです。出された領収書の金額も明らかに高くなってました。多分一回あたり10円~20円高いかと思います。
ここで、過去の私なら「ううっ、この金額なら、ジェネリックを出してくれる薬局に行こうかなぁ」と思ったでしょうが。先月に酷い目に遭ったので、もうこの薬局を利用しよう! という気になっていましたのでそのまま帰りました。
そして家に帰り、その夜に食後の薬を飲んでびっくり。
マズイ……けど、前の薬よりマズくない!!!
「えっ、先発医薬品とジェネリック医薬品で味が違うなんてことあるの!?」
なんとイソバイド、酸味があるのです。多分酸味料を追加してあるのでしょうが、それが薬の苦みとイヤな甘みを少し緩和してくれています。
ちょっと大げさに言うと、ものすごくマズイ薬から、美味しくないから飲みたくはないグレープフルーツ風味(果汁ゼロパーセント人工甘味料ドリンク)くらいにトーンダウンしていると言ってもいいです。
この薬は食後に飲むものですが、ジェネリックのほうはヒドイ後味なので、更にその後に何か飲んだり食べたりしないと耐えられないぐらいでした。イソバイドは3倍~4倍に水で薄めると、美味しくないけどそこまで後味がヒドくないので、何も食べなくてもなんとかなります。
食後に余計なひとくちを食べなくても良くなったのはダイエットでも健康面でもとても大きいです。それを考えたら、一回あたり10円~20円高くなっても全く問題ないかと。
それまでの私は「先発医薬品とジェネリックは効果は同じ」と謳われていたのを信じていたので、なんとなく成分も中身も同じだと思い込んでいたのです。
まさか味が(ということは、中に配合されているものもおそらく)違う、なんて考えもしませんでした。
でも、前の薬局でひどい対応を受けなければ、今頃もずっとあの薬局を利用し続け、マズいジェネリック医薬品と知らずに飲み続けていたんだろうなぁ……と複雑な気持ちでいます。
あの対応にあたったのは運が悪かったですが、「人間万事塞翁が馬」とはまさにこのことだなと。
そしてイソバイドのほうを「マズイですよねぇ」と言っていた薬剤師さん、ジェネリックのほうはもっとマズい味だと知らないんだろうなぁ……と、もうひとつ複雑な気持ちになりました。




