14/48
10章 夜の独白
1. 悟の独白
中沢悟は、暗い天井を見つめながらベッドに横たわっていた。
大学を辞めてから、時間が止まったような日々を送っていた。親には言えず、友人にも会わず、ただアパートの布団にくるまって過ごすだけ。
「俺は何のために生きているんだろう」
問いを繰り返しても答えは出ず、ただ無為な時間だけが過ぎた。
けれど、この施設で翔子や光輝、塩谷夫妻と話すとき、自分の存在が薄っぺらいながらも「受け入れられている」と感じた。
――死ぬ前に、少しだけ人間らしくなれるのかもしれない。
そんな考えが、悟の胸にかすかな温もりを残した。




