表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カチコミ・イレブン 〜北野高校女子サッカー部、全国制覇への盃〜  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/44

第19話「修羅場に備えろ!任侠トレーニング」

県大会を制し、北野高校女子サッカー部――通称「北野一家」は、次なる舞台・全国大会へ歩を進めた。

 だが竜司にとって、その準備に普通の練習など必要なかった。


 「いいかお前ら。全国は街のチンピラの集まりやない。極道が揃う修羅場だ。そこに殴り込むんやから、鍛え方も本物にしなきゃいけねぇ」


 場所は竜司の畑。農機具、巨大な水タンク、軽トラまで揃った“任侠式トレーニング場”だった。

 舞たちは呆れ半分、不安半分で竜司の号令を待つ。



軽トラ引き走


 「まずはこれだ!」

 竜司が指差したのは、畑に停められた年季の入った軽トラックだった。ロープを前に括りつけて、全員が順番に引っ張る。


 「全国仕様に体仕上げるぞ!軽トラ引ける奴なら全国の相手にも余裕だ!」

 竜司の怒号が飛ぶ。


 先陣を切った舞が、必死にロープを握りしめる。地面に爪を立てるような形で一歩一歩進むが、軽トラはビクともしない。

 「ぐっ……! これが……全国レベル……!」

 舞は倒れ込みながらも必死に前へ。最後には仲間たちの声援で数メートル動かし、涙と汗にまみれた顔で笑った。



害虫セービング


 次はゴールキーパー・美咲の番。畑に集まるカラスを追い払いながら、竜司は叫んだ。

 「美咲! あいつらを全部シュートやと思え!」


 カラスが急降下し、モグラが土を跳ね飛ばす。さらにはイノシシまで乱入してきた。

 「監督! カラスは反則っすよ!」

 「全国じゃ審判なんざ甘くねぇ。全部止めろや!」


 美咲は全身を投げ出して飛び込み、見事にイノシシをブロック。畑の観客――農家のおじさんたちから大歓声が上がった。



水タンク&相撲


 「次は上半身だ!」

 竜司が取り出したのは、消毒用の三百リットルタンク。水でパンパンに満たされている。


 心愛と紗季が挑戦するが、二人がかりでもほとんど持ち上がらない。

 「監督、これサッカーの練習っすか?」

 「筋肉は裏切らん。全国で通じるんは筋と覚悟だ!」


 その後、梨花が一人でタンクを抱え上げ、周囲がどよめく。さらに竜司との相撲勝負にも挑み、土まみれになりながらも膝をつかせかけた。

 「誰が相手でも仁王立ちだ!全国だろうが、通さねぇ!」

 梨花の叫びに仲間たちは震えた。



盃リレー


 最後のメニューは「盃リレー」。実際は水の入ったバケツを徳利と呼び、リレー形式で運ぶものだった。


 「一滴でもこぼしたら筋通せねぇ奴扱いだ! 腕立てスクワット百回だぞ!」

 紗季は顔をしかめた。

 「これ……サッカー関係あるの?」

 竜司は煙草を咥えたまま吐き捨てる。

 「盃守れねぇ奴は全国で裏切られるんだ!」


 その言葉に全員が黙り込み、真剣な表情で徳利リレーを繋いだ。



敵の影


 練習が一段落した頃、舞がスマホで全国の組み合わせを確認した。

 「監督……初戦の相手、修羅原高校です」


 竜司の眉がピクリと動く。

 「修羅原……噂には聞いてるがあそこは筋金入りの連中だな」


 舞は続けた。

 「主力のセンターバック、鬼嶋葵。『男子並みのフィジカル』『FWを潰す怪物』って噂されてます」


 その言葉に梨花の瞳が燃え上がる。

 「上等だ。全国の仁王立ちが誰か、証明してやる」



締め


 夕暮れの畑。竜司は全員を見渡し、静かに煙を吐いた。

 「力こそ正義? 笑わせんな。筋と覚悟がある奴らが最後に立つんだ。お前ら、北野一家の名を全国に刻むぞ!」


 部員たちは声を合わせた。

 「オオオオッ!」


 畑に拳を突き上げるシルエットが並び、全国編の幕が切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ