いつまでも、ずっとずっと。
そして、しばらくの時が過ぎて。
「まさか、本当に復興できてしまうとはな」
「仲間がいっぱい増えましたね、しかも皆女の子だなんて!」
「世界とは広いものだな、『ネーディスクリミネシオ』をどうにかしてしまう者がこんなにいたとは」
1人でいた頃は思いもしなんだ。
「お屋敷も奇麗になりましたし」
「奇麗にしたというか、一度取り壊して建て直したのではないか」
「前のお屋敷の方が良かったんですか?」
「まさか、1人でおったあの屋敷に未練などないよ」
今は今いる者達との関係がある、『家』もその今にふさわしいカタチにしなければな。
「ルシアよ、感謝しておるぞ」
「なんですか、改まって」
「ルシアがいたからあの古い屋敷から出て、皆に出会えた。 そなたがいなければずっと変わらぬ時を過ごしていたであろう、この新しい屋敷はその象徴といえよう」
「私は、私の心に正直な選択をしただけですよ?」
「それでもだ、妾はルシアがいたからこそ一歩を踏み出せたのだからな」
なにもかも諦めていた日々に光が差した。
例え悪魔であろうと孤独は耐え難いもので、時には光にすがってしまうのだと知った。
「どうしたんですか、今日のラピア様はなんだか素直ですね」
「普段から正直に愛情表現をしているつもりなのだがな、だがあえて言うのであれば2人きりだからであろう」
最近は騒がしくてこのような機会はまるでなかったのでな。
「じゃあラピア様、こっちに来てください」
ルシアの手招きに応じて側に移動する。
すると膝の上に頭を乗せる形で寝かされた。
「どうですか?」
「普段からルシアを見上げる形にはなっておるが、これはまた違う感じがするな」
「そうではなくて、膝枕の感想を訊きたかったんですけど」
「そうであったか、すまぬ。 だが心地よいぞ」
「なら良かったです」
ずっとこうしていたいくらいだ、そんな風に思ってしまう。
手を伸ばし、ルシアの頬に触れる。
「これでもう、ルシアを失わなくて済むのだな」
「はい、私達の一番の目的である『人間のままの不老不死化』は達成できたんですから」
だからそれを機に旅の中で出会った新たな仲間達と共に魔界に戻り、屋敷を再建した。
そのオマケではあるが、アーディンブルグ家の再興も成った。
それにより発生した問題もあるが、今は見ないフリをしておいてもよかろう。
「こうしていると、ラピア様は本当に子供みたいですね」
「何を言う、妾とルシアは親子ではなかろう」
「そういう意味じゃなくて、可愛いってことです」
「なら良い」
これがルシアの望む姿なのだから、お子様扱いは甘んじて受け入れる。
人間界ではずっとお子様のフリをしていたから慣れてしまったともいえる。
「しかし困りましたね、ラピア様が次の魔王筆頭候補になってしまうなんて」
「頭が痛い問題だ、ただ人間界で活動している邪魔な魔族を始末していただけだというのに」
聖女であるルシアと旅をする以上、他の魔族との敵対は避けられない。
それが仕方ないことだとわかってはいるが、な。
「ルシアとこうしている間だけは考えぬようにしていたのだがな、嫌なことを思い出させおって」
「ご、ごめんなさい……」
「よい、この膝枕とやらを続けてもう一度忘れさせてくれればな」
今くらい、面倒なことを忘れてルシアだけを感じていてもよかろう。
「はいはい、今日のラピア様は甘えたさんですね」
「ようやく切望した日が来たのだ、喜びを表しておるのだよ」
もっと言えば、今まで我慢してきた分の反動かもしれぬな。
「そうですね、ラピア様が望むのであればずっとこうしていましょうか」
「ずっとこうしていたものだな、時間という制約はもう無いのだから」
「じゃあ、前からこうしていたいという願望があったんですか?」
「そうだな。 目的を達成した後のことは深く考えておらなんだが、妾はずっとこうして静かに暮らしたかったのかもしれん」
人間界を旅する日々も悪くはなかったが、それだってルシアがいてこそだ。
む、むむ……?
「どうかしたんですか、何か考え込んでる顔ですよ?」
「いや、思い返してみれば別にこれまでが悪いわけではなかったと思ってな。 今まではあくまで目的に向かう過程でしかないと思っていたが」
「実は楽しかったんですよね」
「そうかもしれん、ルシアと一緒ならどこでも良かったのかもしれぬ」
「ラピア様……」
ルシアの顔が降りてくる。
妾も頭を持ち上げて近づける。
そして……。
「お嬢様ルシア様、皆が呼んでいるでありますよ!」
「「!?」」
触れる直前で、止まった。
「これウリユ、ここには勝手に入るでない!」
「しかし、何度呼んでも返事が無かったでありますので」
「む……」
もしかしてこれは、我々が悪いのか?
「2人の世界に入っていたでありますね、仲睦まじいのは目出度いことでありますが」
「悪かった、今度からはちゃんと結界を展開しておくことにしよう」
「そういうことじゃないであります」
やれやれ、今日はここまでか。
「では、ゆくぞルシアよ」
「はいっ!」
長い間ずっと1人だった。
そこにルシアが押しかけて、孤独ではなくなった。
共に過ごす内に、悪魔である妾が人間を愛するようになった。
しかし一緒いられる時間は短いから、長い時を生きられる術を探して。
だからこそ今がある。
もう離れることに怯える必要はない。
これからは隣にいよう。
いつまでも、ずっとずっと。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
最終話で一気に時間が飛んでしまい、肩透かしを食った方もいるかもしれません。
言い訳にはなりますが、本作は当初からこの形で終わることが決まっていました。
なので自分の身からしたら計画通りに完結させることができたことになります。
この終わり方に納得できましたら、ブクマ、評価、感想、レビューをよろしくお願いします。
改めまして、ありがとうございました!




