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はい。 実は私、ロ〇コンなんです

「ところでルシアよ、先程の光は何だったのだ?」


「ラピア様が発動した何かを防いだアレですか?」


「そうだ。 妾の隣に立つ以上、非常に大事なことなのでな」




 あの光を見なければ、誰かと共に生きようなんて考えもしなかった。


 悪魔が光に惹かれるなど、誰かに知られたら笑われそうな話ではあるが。




「妾の固有能力『ネーディスクリミネシオ』は射程内にいる全ての生物から生命力を奪う、オンオフは可能だが無差別だ」


「わかりました、それで私の『聖なる加護』が反応したんんですね!」


「この固有能力により妾は魔王からも疎まれ……いや待て、今なんと言った?」


「『聖なる加護』です」




 待て、待て待て待て。




「それは、歴代聖女の固有能力だったと記憶しているが……」


「はい、私が今代の聖女なので」


「本物!?」




 確かにそれなら妾の固有能力を防ぐことができるのも、魔界の瘴気を受けても平然としていることも納得できる。


 だがなぜこの場にいるのかがわからぬ。


 落ち着け、真偽判定の魔法はルシアの言葉を「真」とした。


 例え聖女であっても結果に細工はできぬ、ならば共に生きるという言葉は信じられるハズだ。




「なぜ聖女であるそなたが勇者の下を離れ妾と添い遂げると宣言したか、問うてもよいか?」


「はい。 実は私、ロ〇コンなんです」


「ろ〇こん、なんだそれは?」


「人によっては実年齢も幼くないといけない人もいますけど、私は何百歳でも問題ないので!」




 知らぬ言葉だ、人間特有のモノだろうか。


 しかも質問の答えになっておらぬ……。




「だから魔王討伐後に聖女として勇者様と結婚しなければならないのが嫌で嫌で!」


「そうか。 ろ〇こんとやらはわからぬが、勇者と結ばれるのが嫌なのか」


「勇者様というか男の時点で嫌です!」




 どうやら、妾の知らぬ間に人間は新たな可能性の扉を開いたらしい。


 個人ではなく男全般との恋愛を拒否する女がいるとは。




「だから愛らしい少女の姿をしていると噂のラピア様を訪ねたんです」


「確かに妾の姿は悪魔の中でも人間に近いものだが、それでいいのか?」


「はい、ラピア様は私の思い描く理想の少女そのものです!」


「そんなにこの外見が気に入ったのか」


「しかも種族は悪魔ですから例え何百年経っても愛らしい少女のまま、素晴らしいです!」




 理想、か。


 妾の固有能力が通じない相手が生涯を共にしたいと言う。


 これも何かの巡り合わせか。




「どうされたんですか?」


「なんでもない、好意を向けられるのも悪くないと思っただけだ」


「そんな、それじゃあまるで今まで好意を向けられたことが無いみたいじゃないですか」


「その通りだよ。 もう数えるのも億劫になる程長い間、命のやり取りをした者としか言葉を交わしていなかったのでな」


「でしたら、これからは私が『好き』を一杯伝えますね!」




 やわらかい感触の包まれる。


 何事かと思ったら、ルシアに抱きしめられていた。




「心地よいな。 ルシアの好意も、こうして誰かに優しく抱かれることも」




 家が没落する前、遠い昔に思いを馳せる。


 孤独というのは悪魔にとっても辛いものなのだと、思い知った。




「しかし、本来なら敵対していたハズの者に抱擁されるとは」


「ラピア様は私の敵なんですか?」


「いや、そういえば妾は魔王軍に所属しておらんから元々勇者や聖女と敵対する理由は無いな」


「ならいいじゃないですか、ラブラブでも」


「ラブラブか、そうだな」




 以前は魔王と勇者など勝手に潰し合えと考えていたのだから、確かに今更だ。




「だが『聖女の加護』が妾のような者を打ち倒すためにあるのは事実であるぞ」


「いいえ、私ににとってはラピア様のお側にいるための能力です」


「モノは言いようだな」




 だが、悪くない。


 元々何のためにある能力だろうと、それでルシアと一緒にいられるのなら。


 それで十分だろう。




「隣にいるのだぞ、ルシア」


「お側にいます、ずっと」

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