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猫にこんばんは  作者: 犬鳴 椛子
第7章 休日にこんばんは 3
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休日3日目 お泊り会 事情聴取編(前篇)

 フミャを寝かせた3人は防音部屋へと移動し、ミストへの事情聴取を始めた。


『それじゃぁ、あんたについてを改めて、教えてもらおうかしら?』

⦅お、教えるって言っても、他に何を言えって言うんだ……⦆

〔え~っとですね? フミャさんとの関係ですよね?〕

『それもだけど、そのサルスって人物と会社の詳細をしっかりと聞かせてもらおうか?』


 チェフがテーブルに手を突き、顔を近づけて、問い詰めようと試みるのだった。


⦅悪いけど、会社について、これ以上言うは事なんて何もないよ? きみたちの言う「フミャ」についてなら教えてあげてもいいが……あと、顔が近いから離れてくれないか……?⦆

『さっきはすんなりと吐いたのに、ここではお口が硬いのね?』


 はぁっ……とため息をついて、ミストはチェフを睨み、ゆっくりと問い返した。


⦅きみは……「俺の会社はこんなブラックな事をしています」とか、あっさり言えるか? 言えるわけがないだろう? 儲ける為に必要な手段なのだからな?⦆

『………』


 ミストは睨みつけながら、チェフへ問い掛けた。秘書として働くチェフはその一言に言葉が出なかった。

 チェフ自信もブラックな企業にいるという自覚がどこかであったからだろう。少し悔しそうな顔をするチェフ。それを見て、空気を変えようと勢いで鈴音が話に割り込んだ。


〔あ、あのぉ……とりあえず、皆さんお疲れですからぁ……少しだけ一息しませんか……?〕


 重たい空気を和らげようと気を遣い、勇気を出して、割って入ったのだった。


『鈴音……そうね、ありがとう。話はまた後って事にしましょ?』

⦅俺もその方が助かるな……みつの事で正直、頭がいっぱいでな……⦆

〔であれば、お手製のカフェオレを入れてきますから、少々お待ちくださいね?〕

『うん、お願いね』

⦅俺も楽しみにしてるよ⦆

〔はいっ!〕


 鈴音は扉を開き、笑顔で部屋を出て行った。2人もその笑顔に少し安心感をもらっていたのだった。


『さて、一時休戦って所かしらね……? まぁ、落ち着いてから、しっかりと聞かせてもらうわ』

⦅あぁ、そうさせてもらおうか。フミャ……だったかな……? 彼女とは何時いつ出逢ったんだ?⦆


 ミストは無意識にフミャの事についてを聞いてしまった。うっかりとはいえ、どうしても聞きたかった様だ。ずっと、彼女の事を気に掛けていた事が見るだけでもよく分かる。


『いいわ、教えてあげる。フミャと出逢ったのは数日前の事よ。たままたその場を通りかかった時に空から悲鳴が聞こえたわけ……』

⦅なるほど、それがきみの言う「フミャ」って事か……⦆


 ミストは頷いて、話を聞く。


『そうよ。人語は話せないし、この世界の事も知らないみたいだったから、最初は戸惑ったわ』

⦅それはそうだ……この世界に来て、焦らないやつがいないからな……⦆

『ま、まぁね……でも、猫って事には気付かなかったから、余計に焦ったわよ……』

⦅お疲れだったね、何にせよ……フミャの面倒を見てくれていた事には感謝する⦆


 ミストは頭を下げて、礼を言った。


『頭を下げなくたっていいって……とりあえず、頭上げて? ねっ……?』

⦅あ、あぁ……すまんな……彼女には感謝してもし切れない恩があるが……どうやら、もう1つ恩があるようだな……これはでかいモノになりそうだな……ハハハッ……⦆


 微笑みつつも苦笑をするミストにチェフもつい微笑みの表情が出る。


 その時、扉をノックする音がした。


『んっ……? 鈴音か? 両手でも塞がってるのかな?』

⦅そうかもな……歌姫さんの為に開けてやろう⦆


 ミストは立ち上がり、扉を開いた。そこにはお盆を両手で持った鈴音が立っていた。


〔お待たせしました♪ お手製のカフェオレですよ♪〕

『あら、ありがとう。相変わらず、美味しそうねぇ』

〔うふふ♪ ありがとうございます♪ 腕によりをかけて作っちゃいました!〕

⦅これが……カフェオレか……初めて見るな……⦆


 物珍しそうに見つめるミストを見て、クスリと笑う2人。


〔ぜひ、一口召し上がってください♪ ぬるめに用意してますので♪〕

⦅えっ……あぁ、すまない。いただくよ……⦆

〔はいっ、これはチェフさんの分ですよ♪〕


 コトッとカフェオレが入ったカップをテーブルに置いた。


『ありがとう。いつも助かるわ。いただきます』

〔召し上がれ♪ わたしも一息っと……んくっ〕


 3人で温かいカフェオレを飲むと、さっきまでのトゲトゲした空気が一転して、泡のようにマルマルとした穏やかな空気になった。実はカフェオレに癒しの元が入っているという事は鈴音以外に誰も知らない。


『ふはぁ……鈴音の飲み物は何時いつ飲んでも美味しいわねぇ~』

⦅こんな美味い飲み物があるなんて……初めて知ったな……⦆

〔うふふ~♪ 褒めても、これ以上は何も出ませんよ~? 企業秘密ですので♪〕


 アイドル兼BARで働く凄腕マスターには2人とも頭が上がらなかった。むしろ、この世界で勝てるモノがいるのなら、是非観てみたいと思うチェフであった。


⦅はははっ、御見それした。見かけに騙されたはいかんなこれは⦆


 ミストは笑いながらも、鈴音に敬意を払う。


『当然でしょ? うちの自慢のマスターだもの! 鈴音に作らせたら、右に出るモノは誰もいないわよ!』

〔そ、そんな、大袈裟おおげさですよぉ~〕

⦅いや、これはほんとに美味い。ぜひ、我が使いになってもらいたいくらいだ⦆

〔そ、そこまでベタ褒めされましてもぉ~……わたしは、ここから出る事はありませんからね? うふふっ♪〕


 美味しいと言われ慣れている鈴音もベタ褒めされる事に恥ずかしさを感じた様だった。それだけの腕前があると2人は実感していたのだ。

 そんな穏やかな会話から突然、重たい空気へと一転した。再び、重たくはなったが、先ほどよりはトゲトゲしくはない。鈴音のカフェオレ効果であろうか。


『んじゃ、まぁ……先にフミャとの関係についてを教えてもらおうかしらねぇ?』

⦅あぁ、構わない。この際だから、フミャ……との関係を全て話してやるよ。あと、話をする時は「フミャ」じゃなくて……「みつ」でいいか? そっちの方が話しやすいからな……⦆

『そうね……ミストの分かりやすい方でいいわ』

⦅ありがとう、あと……俺の本当の名前は「ミスト」じゃなくて、「ルーン」だからな……? そっちもついでに言っておくぞ……⦆


 ミスト(ルーン)は怖い顔で睨み付けた。


『わ、わかったわよ……! ルーン……話しを聞かせて……?』

⦅あぁ……あれは………………⦆


 ミスト(ルーン)はフミャとの過去と真実の物語を語り始めた。

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