休日 1日目−1
休日の初日だというのに、チェフはフミャに再び、膝枕をされていた。もちろん、顔が血で真っ赤だった。しかし、僅かに酸化して、茶色くなってきていた。その顔は、まるで南国の住人のようだった。
「チェフぅ……。朝だよぉ……」
フミャの呼びかけには、応じなかった。それだけ熟睡しているのだ。
「お腹……空いた……。昨日から……何も……食べて……なかったにゃ……」
急に猫語になったフミャだが、空腹であまり気になってはいなかった。すると、フミャがいきなり立ち上がった。膝枕をしていたので、チェフは後頭部を床に打ち付けてしまった。
『ゴフッ……』
再度、チェフが鈍い声を出した。しかし、フミャはそれに反応しなかった。
そのまま、数分ほど部屋を彷徨い、急に四足歩行を始めた。しかし、着物のままなので、裾を踏んでしまい、転んでしまう。
だが、すぐに体制を戻すと目線を低くし、辺りを見回した。まるで猫の様に。 元々は猫なので、これが普通なのだが人間の姿なので見るからにおかしい。
そのおかしな体制は餌や獲物を探している様な感じであった。まるで猫の本能が戻ったかの様だった。
その時、扉からノックする音がした。
(コンコン)
〈失礼いたします。〉
フミャは扉の反対側に逃げ込み、身を構えていた。