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岩見優司のリア充(?)な日常  作者: 霧島こう
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第七十五話 罰ゲームとアルコール

第七十五話 罰ゲームとアルコール


 食事が済むと、俺たちは別荘に置いてあったトランプを始めた。何のゲームをするかで、ちょっとした議論になったが、ババ抜きからすることで落ち着いた。


「私、結構顔に出ちゃうから、ババ抜きって得意じゃないのよね」


 陽菜はそう言っているが、早智や妹会長よりは、ポーカーフェイスが上手いだろうと、密かに確信していた。


 実際に始めてみると、予想通り、早智と妹会長の二人はすぐに顔に出してくるので、二人の手札にババがあるかどうかが丸わかりだった。逆に分からないのは、皇一と夏凛だった。二人とも、常時悪巧みをしているような人間なので、自然と感情を隠すのが上手くなったのだろうと、勝手に結論付けた。陽菜は自信で心配していたほど、考えていることが表情に出なかった。交際を長く続けていく場合、望ましいことではない気もする。


「……何か盛り上がらないな~」


 自身のゲーム下手には触れずに、妹会長と早智はぼやいた。そりゃあ、あれだけ表情に出れば、負け続けるのはもはや運命だ。実際、二人で交互にビリを担当しているのだから、横から見ていても、面白くなさそうだった。


「罰ゲームとか入れてみない?」


 どうにか面白くしようと提案してきたのが、それか。今までの戦績だと、お前と妹会長が被り続けることになるから、より一層つまらなくなるというのに。


「罰ゲームってどんなのだ?」


「負けたやつが服を一枚ずつ脱いでいくって言うのはどうかしら?」


 言い出しっぺの早智は、皇一を見ながら、息を荒くしている。


 恐らくわざと負けて裸になり、皇一を誘惑するつもりなのだろう。そんな面倒くさいことをせずとも、入浴中に間違ったふりをして、突入すればいいだろうに。


「それ、いいな……」


 夏凛も赤らんだ顔で、俺を見つめている。お前もかい!


 お子様(本当は高一だけど)がいる中で、そんないかがわしい罰ゲームをするわけにはいかない! すぐに陽菜から代案が出された。


「もっと平和な罰ゲームにしようよ! 負けた人はジュース一気飲みって言うのはどう?」


 よく酒を一気飲みして病院に担ぎ込まれるニュースを耳にするが、ジュースくらいなら問題あるまい。


 早智と夏凛は不服そうだったが、皇一を巻き込んで俺が反対派に回って、強引に承諾させた。妹会長は常に姉の言うことに従っているので、最初からジュース一気飲み案に賛成していた。


 こうして、罰ゲーム付きの状態で、ババ抜きは再開された。クーラーをつけていなかったせいか(備え付けられているので、使おうと思えば使える)、ジュースは何杯でも飲めた。罰ゲームの内容も、そんなに重いものではないので、わざと負けるやつも出てきて、そこそこ盛り上がった。


 だが、さすがにトランプばかりやっていると、飽きがくる。すると、皇一がリビングからテレビゲーム一式を持ってきた。


「テレビゲームまで揃っているなんて、この別荘は何でもアリだな」


 食料さえあれば、何日でも籠城できそうな設備だ。すぐさま、ババ抜きを止めて、格闘ゲームに興じた。


 そして、しばらくゲームをみんなで楽しんでいたが、ふとした疑問が頭をよぎった。


「……これ、何も山奥まで来る必要はなかったんじゃないのか?」


 カレー作りにトランプ、テレビゲーム、都内の俺の部屋でも問題なく出来ることばかりだ。


「確かにね。でも、都内と違って、ここは静かだ。虫の鳴き声くらいしか聞こえない」


 言われてみればその通りだ。ここは場所のためか、人一人通りがからないところで、車の音も全く聞こえてこない。


 皇一の言う通り、こういうのもたまにはアリかもしれない。


「あれ? 陽菜、顔が赤くないか?」


 今気付いたが、陽菜の顔が妙に赤らんでいた。風邪を引いたのかと思って近づいてみると、目がとろんとしていて虚ろな表情だった。風邪と言うより、酔っているようだ。


「何で酔っているんだ? 酒の類は飲んでいないはずなのに……」


 そこまで言ったところで、ハッとして皇一を見た。皇一はイタズラがばれた子供のように、おどけた顔をしていた。やっぱりお前の仕業か……。


「ごめんごめん、用意したドリンクの中にアルコールを含んだものが混じっていたみたいだ。スタッフ共々、うっかりしていたよ」


 うっかり? 謝る皇一を見ながら、俺はすぐに嘘を見抜いた。


「わざと置きっぱなしにしたんだろ。しかも、間違いやすいように、ジュース類の近くに置くことも忘れずに」


「あははあ! 君には何でもお見通しだな!」


 俺が追及すると、すぐに嘘を自供した。皇一は俺の推理力を褒めていたが、皇一の胡散臭い説明を少しでも疑えば見抜くのは難しくない。


「くくく……、美咲さん酔っ払っちゃったのか。ジュースを飲んだだけなのに、だらしない……」


 そう言う夏凛の顔も赤らんでいる。酔っているのは明らかだ。


「なあ……」


 夏凛は徐に自身の胸元を強調するように、両手で寄せ上げた。夏凛の胸元は、陽菜と同じくらい膨らんでいる。


「実は着痩せするタイプなんだ。どうだ? 凄いだろ」


 自慢げに迫ってくる夏凛に、俺は曖昧な笑みを返した。彼女、酔っ払うと、服を脱ぎ出すタイプらしい。一人の男として喜ぶ状況なのかもしれないが、彼女同伴なので、すぐに自室で寝るように促した。


「みんな、酒に弱いんだね」


「元凶のくせに白々しい」


 皇一に毒づきつつも、他にも酔っ払っている奴がいないか確認した。妹会長は鼾をかきながら、ぐっすりと寝ていた。


「それで? どうして俺たちは平気なんだ?」


 昔、母さんが飲んでいた生ビールをこっそり飲んだことがあるので、酒の味は知っているが、さっき飲んだジュースからはそんな味はしなかった。


「用意していたのは、アルコール度数の低いカクテルばかりだからね。一杯飲んだくらいじゃわからないさ」


 いくら度数が低くても、一気飲みを繰り返せば、弱い人間は酔いが回ってきてしまう訳か。つまり、陽菜と夏凛は酒には対して強くないと言うことか。


「ネタバレするとね。カクテルで慣らした後で、徐々に度数の高い酒に切り替えていく予定だったんだけどね。こんなに早く結果が出るとは予想外だったよ」


 楽しそうに笑う皇一を陽菜の彼氏としてたしなめておいた。自分の彼女をおもちゃみたいに扱われるのはあまり気分のいいものではない。


「そんなカリカリしないで、これを飲んで落ち着きなよ」


 そう言って差し出されたのが、度数の高い酒であることは容易に想像がついた。当然、丁重に断った。全く、油断も隙もありゃしない。


 頭を抱えていると、全く赤くなっていない早智が、大根役者丸出しのふらついた足取りでこちらに…、というより、皇一に近づいてきた。


「あららら……。私も酔っ払っちゃったみたい……。無性に抱きつきたくなってきた……」


「嘘をつけ!」


 明らかに素面のくせに酔っ払ったふりをして、皇一に抱きつこうとしている早智の頭をひっぱたいた。


「いった~い! 余計なことをしないでよ、優司!」


 早智に悪態をつかれたが、お前の悪巧みなどどうせ皇一にはばれているのだ。どの道、失敗していたよ。


「せめて、陽菜たちをベッドまで連れて行かないと。こんなところで寝たら、風邪を引いてしまう……」


「大丈夫かい? 僕が言うのもなんだけど、君も相当酒がまわっているようじゃないか」


「なめるな。このくらい平気だよ……」


 表面的には素面だったつもりだが、知らない内に酔っていたらしい。いつの間にか寝入っていた。




 翌朝、ズキズキと痛む頭を抑えながら、騒然としている部屋をそうじした。


「頭が痛いよ……」


 陽菜が頭を押さえてしきりに唸っていた。夏凛も同じらしく、さっきから水をコップに注いで一気飲みを繰り返している。


 リビングには、誰かのバッグの中身まで散乱していた。酔った勢いで中身をぶちまけたらしい。誰か知らないが、酔っ払ったら人に突っかかる酒乱タイプだと思われる。


 眠い目をこすりながら、荷物を拾い上げていると、真っ白い物体を掴んでいた。不審に思って確認すると、いかにも、子供が履いていそうな可愛いイチゴがプリントされたパンツだった。今回のメンバーで該当しそうなのは一人しかいない。すぐさま、持ち主の姉に謝罪した(本人に言うと、どんな目に遭うか分からなかったため)。


「悪い。妹のパンツを手に取ってしまった。すぐに返すから、勘弁」


 だが、陽菜は赤面しながら、ごにょごにょと消え入りそうな声で答えた。


「それ……、私のパンツ」


「……」


 陽菜にイチゴパンツの趣味があったとは。いや、今はそんなことを言っている場合ではない。急いで赤面している陽菜に物を渡すと、記憶から抹消しようとなるべく考えないようにした。もちろん、失敗した。


前回のあとがきの続き


R15……映画鑑賞の際にその映画を見ることができる年齢制限の枠、およびその規定の一つ。いじめ描写や放送禁止用語、暴力シーンや直接的な性描写が多いと対象になる。  ……ということらしいです。


映画なら映倫が審査して妥当かどうか判断してくれますが、「小説家になろう」では、自分の判断で書くしかなさそうですね。表現には気を付けているつもりですが、時々今回のように多少Hな話になる場合もあります。手探りの部分もありますので、「これ、R15に違反しているんじゃないか?」と思われた際は、すぐさま対応しますので、お手数ですが、お教えください。

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