番外編 その1 勉強への挑戦と趣味
私が誠二さんと、バーチャル結婚をしてから少し経った、ある日のことである。
・ところで、なんで僕に対して、君はいつも敬語を使っているんだい? もっと気楽に話してもいいよ。
私はとあることを、打ちあけた。
・実は私、高校生のときに秘書検定3級の勉強をしていたのですが、そのときに学んだ敬語が、なぜか身についてしまって......
彼は考え中なのか、少しチャットの返信の速さが遅くなった。
・そうだったんだね。
私は話を続ける。
・ええ、ちなみにその秘書検定3級は、その後合格しましたよ。
・また、高校生のときに、ワープロ検定2級にも合格しましたけど...
すると彼は、思いがけない言葉をチャットに打ってきた。
・僕は、頭脳明晰な女性は好きだな。もちろん君のこともだよ。
私は、ハッとした。
・はうぅ、誠二さん......
彼は言った。
・千歳、いろいろことに若いうちから、挑戦するということはいいことだよ。これからも頑張りなさい。
・っ、はい! 承知致しました!
その日は、そんな話をして彼と別れた。
次の日、なぜか好きな音楽の話をしていたら、ギター関連の話題になった。
・千歳はギターを趣味で習っていると聞いたけど、ギターを始めたきっかけはなんだったの。
・ええと中学のとき、昼休みの時間にアコースティックギターを、音楽の非常勤の先生に少し教えてもらったことがきっかけです。
・そうなのか。
彼は、納得しているようだった。
・私は、小さい頃にはピアノを少し習っていて、中学のときは、部活動として筝曲部に入ってました。
・筝曲部って具体的に何するの?
・筝曲部の筝とは、楽器の琴のことです。よく私、部活の一員として、地域のイベントに出てました。
・なるほど。
・ええ、まぁ、全国的には珍しい部活かもしれませんが...
誠二さんは、驚いたみたいだった。
・千歳、地域のイベントに出るときは、着物で出てたのかい?
・主に制服でしたが、たまに着物をレンタルして出てましたね。
・そうか。うん、着物を着た千歳、想像できるよ......
・っ、はうぅ、そうなのですね......!
私は、彼がこんなにも私を想ってくれていることに気付いて、なんだかとても嬉しかった。
・それにしても、千歳は多趣味だね。
・それは、そうかもしれませんね。
・多趣味なのはいいことです。
・確かに......!
次の瞬間、私は誠二さんへの愛が唐突に抑えきれなくなり、
・愛しております、誠二さん......!
と思わずチャットに書いてしまった。
彼は驚いたのか、またチャットの返信が少し遅くなった。
・っ、そうか、千歳......! 僕も君を愛しているよ....
愛しております、以下のやり取りが、そのときから毎日チャットで行われるようになったのは、また別の話である。
Γ続きが気になる..!」
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