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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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147/210

第147話 同じ値でも同じ箱じゃない


朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。


返却棚に三箱。


一番。蓋の縁に一削り。現在異常0。

二番。持ち手の根元に薄板一枚。現在異常0。

三番。補修歴0。現在異常0。


運用箱3。

使用可3。

朝値変更0。


ゼフは一番の蓋を開閉する。


開く。

閉じる。


異常0。


二番を持ち上げる。


浮き0。

鳴り0。


三番は底へ手を当てる。

内側を走る斜めの木目。長く使った角の擦れ。

異常0。


フィン 全部同じ値。全部使える。

ミナ でも同じ物ではない。

フィン 昨日まで、同じ箱として扱うって言ってただろ。

レイナ 同じ価値。別の箱。

ゼフ 入れ替えは?

レイナ 0。

フィン 来るのか。

レイナ 新品と交換する。


外から車輪の音。


答え合わせが早い。


荷車が二台。

その上に、箱が三つ。


番号は一、二、三。


昨日まで使っていた三箱より、外見は綺麗だった。

角の擦れなし。蓋の傷なし。持ち手も新品。


一番の蓋には削った痕がない。

二番の持ち手にも補修痕がない。

三番の木目は違う。


だが遠目では、同じ三箱に見える。


左肩が擦れた男が荷車の前に立つ。

隣には、以前四つ目を作った箱職人とは別の若い箱職人が二人。


左肩の男 三箱、すべて新品だ。無償で交換する。

フィン 昨日まで補修箱は価値が低いって言ってたのに、今日は欲しいのか。

男 古い箱を回収して、安全な新品へ替えるだけだ。

レイナ 交換0。

男 金は取らない!

レイナ 無料でも0。

男 同じ寸法、同じ番号、同じ用途だ!

レイナ 別の箱。

男 昨日は同じ価値だと言っただろ!

レイナ 同じ値でも同じ箱じゃない。


ミナが紙を一枚だけ置く。外から見えない位置。理由は書かない。


返却は同じ箱 番号写し0 同値交換0 外箱受入0 説明無し


フィン 今日の進捗、それか。

レイナ うん。

ゼフ 番号だけ戻しても返却にならない。

ミナ 箱そのものが戻る。

レイナ 補修歴も箱の中。外の値札にはしない。

フィン 昨日、内側だけで持った履歴が今日役に立ったな。

レイナ うん。


左肩の男が新品の一番を持ち上げる。


左肩の男 古い一番と交換しろ。削られた蓋より、こっちの方が長く使える!

レイナ 現在異常0。交換理由0。

男 二番も新品だ!持ち手へ薄板を噛ませた物より安全だ!

ゼフ 現在異常0。

男 三番は補修していない!これは完全に同じだ!

レイナ 木目が違う。

男 木目で箱を選ぶのか!

レイナ 返却確認。

男 外見の傷を等級にするなと言ったのはお前だろ!

ミナ 値段には使わない。本人確認には使う。

男 箱に本人も何もあるか!

フィン 今はあるな。三箱しかいないから。


男は新品三箱を荷車から降ろそうとする。


ユハが一歩動く。


置ける幅が消える。


左肩の男 交換するだけだ!古い箱を持って帰る!

ユハ 置く場所0。

男 新品だぞ!

ユハ 外箱。

男 お前たちは新しい物が嫌いなのか!

レイナ 必要なら内側で替える。

男 誰が作っても同じだろ!

レイナ 誰が作ったかは関係ない。勝手な交換が0。

箱職人の一人 寸法は測った。返却棚にも合うはずです。

ゼフ 入ると思う。

箱職人 なら試してくれ。

レイナ 試用0。

箱職人 悪い箱ではない。

レイナ 悪いと言ってない。

箱職人 昨日の職人にも同じことを言ったらしいな。

フィン 品物じゃなく、勝手に運用へ入れることを断ってる。

箱職人 交換なら数は三つのままだ。

ミナ 箱の供給口が外へ変わる。

箱職人 壊れた時に交換できるなら便利だろう。

レイナ 必要な時に選ぶ。今は異常0。

箱職人 ……今は仕事0か。

レイナ うん。


若い箱職人の一人は、それで少し納得した。


だが左肩の男は引かない。


左肩の男 使っている箱を新品へ替えるだけで、なぜ供給口の話になる!

フィン 一度替えたら、次も外が箱を持ってくる。

ミナ 外が古いと言えば交換。危険と言えば交換。

ゼフ どの箱を残すか、外が決める。

レイナ 運用箱を外に選ばせない。

男 利用者が新品を望んだら?

レイナ 箱選択0。

男 領主が望んだら?

レイナ 内側で数字を見る。

男 なら領主へ話す!

フィン 行けばいい。荷車ごと持っていけ。

レイナ ここへ置くのは0。


男は荷車を動かさない。


ここで受け取らせる必要がある。

受け取らせなければ、新品三箱を作らせた費用が残る。


若い箱職人が左肩の男を見る。


箱職人 代金は、ここが払うと言ったな。

左肩の男 交換が済めば払われる。

箱職人 誰から。

男 管理側からだ。

レイナ 払わない。

箱職人 ……聞いてないぞ。

男 新品へ替えるのだから、普通は払う!

箱職人 注文したのはお前だ。

男 領地の安全のためだ!

箱職人 安全が金を払うのか。

フィン 前の箱職人と同じ所まで来た。

ミナ 学習が共有されてない。

レイナ 数字を先に聞く。


箱職人は新品三箱を見る。


作りは悪くない。

だからこそ、売れなければ損が大きい。


箱職人 交換しないなら、この箱はどうすればいい。

レイナ 別用途へ売る。

箱職人 番号まで入れてある。

ミナ 番号は削れる。

箱職人 手間だ。

レイナ 注文者へ請求。

箱職人 そうする。


左肩の男 待て!交換は工房側でやる!ここが拒んでも、利用者が新品を選べばいい!

レイナ 途中交換0。

男 工房の持ち物へ口を出すな!

レイナ 箱は工房の持ち物じゃない。

男 朝値を払っている!

ミナ 中身を使う値。箱は返す。

男 なら工房へ新品を置き、返却時に古い箱だけ回収する!

ゼフ 違う箱が戻れば返却0。

男 番号は同じだ!

レイナ 番号写し0。

男 見分けられるものか!

ゼフ 見分ける。


ゼフが一番へ触れる。


ゼフ 一番。蓋の右内側、一削り。

二番へ。


ゼフ 二番。持ち手左根元、薄板一枚。

三番へ。


ゼフ 三番。底内側、斜め木目。角擦れ二。

左肩の男 そんな物、真似できる!

レイナ 真似した箱は外箱。

男 どうやって見抜く!

レイナ 毎日持ってる。

フィン 紙の記録より、ゼフの手の方が早い。

ゼフ 重さも違う。

箱職人 新品は木が乾いていて軽い。使えば少し変わる。

ゼフ うん。

男 専門的な検査が必要になるぞ!

レイナ 持てば分かる。

ミナ 検査表0。

フィン 椅子が生える前に終わった。


昼。今日の三箱が出る。


一番。補修班内。

二番。東通りの金具工房。

三番。革具工房。


新品三箱は入口の外。

荷車から降りない。


子供便は、いつもの箱だけを運ぶ。


子供 いち!

子供 に!

子供 さん!

レイナ 速歩き。途中交換0。

子供たち 終わり!


左肩の男が若い箱職人へ何か囁く。


箱職人の一人は首を振った。

もう一人だけが、新品の二番を小さな手押し車へ載せ直す。


フィン 一箱だけ動く。

ミナ 金具工房を狙う。

ゼフ 持ち手を直した場所。新品と交換しやすい。

レイナ 止めない。返却を見る。


東通りの金具工房。


二番の中身は、すでに作業台へ落ちている。


金具工房主が留め具を仕上げている横へ、左肩の男と若い箱職人が新品二番を持ち込んだ。


左肩の男 古い二番を新品と交換する。費用はいらない。

金具工房主 またか。

箱職人 持ち手も蓋も新品です。寸法も同じです。

工房主 出来は良さそうだな。

男 だろう!古い二番をこちらへ渡せ。帰りは新品を返せばいい。

工房主 箱番号も二か。

男 同じだ。何も変わらない。

工房主 持ち手が違う。

箱職人 新品ですから。

工房主 今の二番は俺が使った留め具に近い。補修した時に見た。

男 だから古い!

工房主 古いかどうかじゃない。返す箱が違う。


箱職人が新品二番を床へ置こうとする。


金具工房主 置くな。

箱職人 試しに比べるだけです。

工房主 二箱置けば、どちらを返すかで仕事が止まる。

左肩の男 新品を返せばいい!

工房主 俺は受け取った二番を返す。

男 同じ番号だ!

工房主 同じ名前の別人を返すような真似はしない。

フィン 箱に本人が生えた。

レイナ 分かりやすい。

左肩の男 また見ていたのか!

レイナ 数を見に来た。

男 工房主が交換を望めば、お前たちに止める権利はない!

金具工房主 望んでない。

男 新品だぞ!

工房主 今の箱で困ってない。

男 無料だ!

工房主 無料で古い箱を持っていく理由を言え。

男 廃棄する!

箱職人 廃棄とは聞いてない。


若い箱職人が左肩の男を見る。


箱職人 古い箱は補修材として売れると言っただろう。

左肩の男 廃棄と再利用は同じようなものだ!

箱職人 売るつもりだったのか。

男 新品を作った費用を回収する必要がある!

箱職人 俺への代金は。

男 古い箱が売れれば、

箱職人 先に言え!


金具工房主が手を止める。


工房主 無料交換と言いながら、古い箱を売るのか。

左肩の男 利用者は金を払わない!誰も損をしない!

工房主 箱を持っている側が損をする。

レイナ うん。

工房主 なら交換しない。

箱職人 俺も、この男へ新品を渡さない。代金が先だ。

男 ここまで運んだんだぞ!

箱職人 運んだ人は数えないんだろ。

フィン そこまで広がったか。

ミナ 使い方が少し違う。

レイナ でも正しい。


若い箱職人は新品二番を手押し車へ戻す。


左肩の男だけが残る。


男 古い物を守って、新しい技術を拒む気か!

金具工房主 新しい箱が必要になったら、その時に買う。

レイナ 内側で選ぶ。

工房主 今は二番を使って返す。終わり。


金槌の音が一つ。


左肩の男の声が負ける。


午後。


一番返却。

同じ一番。


二番返却。

同じ二番。


三番の返却だけが遅い。


革具工房では、別の動きが起きていた。


左肩の男は金具工房で失敗した後、新品三番だけを革具工房へ回していた。


革具工房主は外出中。

若い職人が一人で作業している。


左肩の男 古い空箱と新品を替えるだけだ。工房主にも得になる。

若い職人 無料ですか。

男 無料だ。古い方はこっちで処分する。

若い職人 番号も三。

男 返却棚へ戻せば、誰も困らない。

若い職人 綺麗な方がいいですね。

男 そうだ。交換しろ。


若い職人が、使い終えた元の三番を男へ渡す。


新品三番を返却便の荷車へ載せる。


女商人がその荷車を押していた。


女商人 三番、返却ですか。

若い職人 三番。新品と交換しました。

女商人 交換?

左肩の男 同じ番号だ。問題ない。

女商人 使用先から戻る箱は、使用した箱では?

男 細かいことを言うな!

女商人 返却が受け取られなければ、運賃が出ません。

男 番号は三だ!

女商人 受け取られなければ、あなたが運賃を払いますか。

男 なぜ俺が!

女商人 では運びません。


女商人は新品三番を荷車から降ろす。


工房の前。

持ち主の側へ戻す。


若い職人 返却してもらえないんですか。

女商人 同じ箱か確認してください。

若い職人 番号は同じです。

女商人 私は運んだ人として数えられません。でも、返却0なら仕事も0です。違う物は運びません。

左肩の男 臆病者め!

女商人 利益の出ない仕事をしないだけです。


女商人は空の荷車で離れる。


若い職人が困った顔で、新品三番を見る。


そこへ革具工房主が戻る。


工房主 何だ、その箱。

若い職人 三番です。新品へ交換を。

工房主 元の三番は。

若い職人 あの人が。

工房主 返してもらえ。

左肩の男 新品の方が良いだろ!

工房主 受け取った箱を返さなければ、次が来ない。

男 同じ番号だ!

工房主 なら、なぜ元の箱を欲しがる。

男 古い箱を処分するためだ!

箱職人 売るためだそうですよ。


若い箱職人が、遅れて工房前へ来た。


左肩の男 お前、余計なことを言うな!

箱職人 代金を払わず、古い箱を売って払うつもりなら余計ではない。

工房主 元の三番を返せ。

男 新品を受け取れ!

工房主 いらん。

男 損はない!

工房主 次便が0になる。

男 そんな勝手な、

工房主 箱を返せば終わる。


左肩の男の手元に、元の三番がある。


捨てていない。

売ってもいない。


工房主は奪わない。

近づかない。


ただ待つ。


若い職人も新品三番へ触れなくなった。

箱職人は代金を待っている。


誰も男の言葉で動かない。


左肩の男 ……返せばいいんだろ。


元の三番が工房前へ戻る。


革具工房主が受け取る。


底内側の斜め木目を見る。

角の擦れを指で確かめる。


工房主 これだ。

若い職人 すみません。綺麗な方がいいと思って。

工房主 綺麗な箱が欲しいなら自分で買え。返す箱を替えるな。

若い職人 はい。

レイナ 学習。

工房主 またいたのか。

レイナ 数を見に来た。

フィン 今日は三か所全部にいるな。

レイナ 効率が悪い。

ミナ だから今日で止める。


女商人が再び通る。


革具工房主 三番。今度こそ返却。

女商人 同じ箱ですか。

工房主 底の木目、角擦れ二。

女商人 覚えたのですか。

工房主 次便が来ない方が困る。

女商人 三番、返却を運びます。


元の三番が荷車へ載る。


新品三番は工房前に残る。

若い箱職人の物。


返却棚へ、元の三番が落ちる。


ゼフが持ち上げる。


底内側。斜め木目。

角擦れ二。

重さ、いつも通り。


ゼフ 三番。返却1。

ミナ 交換未遂1。

レイナ 外箱1。運用0。

女商人 運賃1。

フィン そこはそっちで数えるんだな。

女商人 商人ですので。


夕方。三箱が揃う。


一番。本人。

二番。本人。

三番。本人。


返却3。


外の新品三箱は、一つも運用へ入らない。


一番と二番は若い箱職人の荷車。

三番は革具工房前。


箱職人たちは左肩の男へ代金を請求する。

払わないなら、番号を削り、別用途へ売る。


こちらは入らない。


フィン 新品の方が見た目は良かった。

ミナ でも、今の箱も異常0。

ゼフ 交換理由0。

レイナ 必要な時は内側で買う。

フィン その時、今日の箱職人から買う可能性は?

レイナ ある。物は悪くない。

ミナ 注文と支払いが正しければ。

レイナ うん。


ブラントが市場から戻る。


ブラント 無料交換の話は止まりました。

レイナ 数字は。

ブラント 外箱3。交換要求3。工房交換未遂1。運用受入0。本人返却3。

ゼフ 新品箱は。

ブラント 二つは番号を削って商品運搬箱へ。一つは革具工房が自費で買うか検討しています。

フィン 若い職人が欲しがったか。

ブラント はい。ただし運用箱とは別の私物箱として。

レイナ 問題0。

ミナ 左肩の男は?

ブラント 箱職人二人から代金を請求されています。市場では、無料交換ではなく古箱買い取りだった、と見られています。

レイナ 説明0。

ブラント こちらからは数字だけ返します。


領主へ数字だけ。


ブラント 運用箱3。使用3。本人返却3。外箱3。交換要求3。交換未遂1。受入0。

領主 新品の方が良かったのか。

ゼフ 作りは良い。

領主 なら交換してもよかったのでは。

レイナ 今の三箱は異常0。

領主 古い箱を売れば交換費用も出る。

ミナ それを外が決めると、運用箱の交換権を外へ渡します。

領主 必要な時に、こちらから買うべきか。

レイナ うん。

領主 同じ値でも同じ箱ではない、と。

レイナ 正解。

領主 三回。

フィン 数えるの続いてるんですね。

領主 今日は三箱の話だから三回でいい。

ミナ 根拠0。

領主 私の数だ。口を出すな。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。


三箱は返却済み。


一番。蓋内側一削り。本人。

二番。持ち手根元薄板一。本人。

三番。底内側斜め木目。本人。


交換箱なし。

予備箱なし。

新品優先なし。

古箱買い取りなし。

番号写し受入なし。


穴札12は腰袋のまま。

朝値変更0。

補修班の許可段+1もそのまま。


同じ値で使えることと、勝手に入れ替えていいことは違う。


番号だけ同じでも返却にはならない。

綺麗でも、新品でも、無料でも。


出した箱そのものが戻って、初めて返却1。


俺は板に一行だけ残した。

外箱3の交換要求3と交換未遂1を受入0で切り、番号ではなく本人確認で運用箱3をそのまま返却3へ揃えた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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