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水族館編 ペンギンの像

また一件、ブックマークが増えていました。

とても嬉しいです。

本当にありがとうございます。

 

 陽夜に始めに連れてこられたのは、イワシ等の小魚の水槽だった。個々で泳ぐのではなく、群れで泳ぐ様子はとても圧巻で目を離せず、多くの時間を費やした。

 その他にもマグロやカニ、色とりどりの魚がいたりとそれらを見ているうちにいつのまにかショーの時間が近づいていた。

「陽夜、そろそろ合流しようか」

「そうだね!」



 待ち合わせはペンギンの像のところになった。

 そのペンギンの像は水族館内の中心近くにあり、ちょうど良さそうということでなった。

 先に着いたのは私たちだった。

「ここだね」

「二人はまだみたいだから端の方で待っていようか」

「うん!……それにしてもこのペンギン、可愛い」

「そうだね、後でペンギンも見に行こうか」

「見たい!カワウソもいるんだよね」

「いるよ」

「そこも行きたいな〜」

 陽夜が楽しそうに話しているところを見ると誘って良かったと思う。

「こんにちは」

 話しかけられた気がして顔をあげると、そこには知らない男の人が三人いた。大学生くらいだろうか。とても若く、それに少しチャラくみえる見える。無視でいいだろうか。

「「………………」」

「無視しないでよ、二人とも可愛いね」

「一緒に遊ばない?」

「今日は二人で来たの?」

 しつこい。そもそもナンパでしつこくない人はいないだろうが。

「連れと待ち合わせをしておりますので」

「良いじゃん、みんなで遊ぼうよ」

「連れは待たせておけば良いんだよ」

「連れって女の子でしょ、俺らも一緒に待つよ」

 はっきりと断れば引いてくれるだろうか。 きっと引かないだろうが、断るしかない。

「お断り致します。ですので、他の方を見つけてください」

「俺らは君たちがいいんだけど」

「君がダメでもそっちの子は?」

 陽夜は......と言いそうになりハッとする。名前がバレてしまってはもとも子もない。

「この子は人見知りなので」

 折角陽夜にここまで黙っててもらっているのに、今、話してしまっては努力が無駄になってしまう。

 そもそも陽夜の声を聞いたら、もう諦めてくれないだろう。

「二人とも名前は?」

「何て言うの?」

「遊ぼうよ」

 あまりにもしつこいので軽く蹴りを入れたくなった。向こうが手出してくればすぐにでもするのに。

「良いじゃん、一緒に来てよ」

 腕を掴まれ、ぞっとする。もちろん、すぐに絞め技をかけてあげた。

「痛っ...」

 ついイラついて、必要以上に力を入れてしまった。

 痛い以外の感覚はないだろうから大丈夫だろう。 

「やめてください、そろそろ他の人のところへでも行ってください」

 そう言いかけていた技をやめる。

「すごく痛かったんだけど、怪我したかも」

「柳、大丈夫か?」

「一緒に来てくれたらこのことは見逃してあげるよ」

 いい加減にやめてほしい。早く二人とも来ないかな。

「すみません、俺らの連れが何か?」

 軽く息切れしているのは走ってきてくれたのだろうか。

 二人は私たちと三人組の間に入ってくれた。

「男連れだったのかよ」

「二人とも行くぞ」

 そう言い立ち去って行く。



 あの三人組が見えなくなり少し肩の力が抜けた。

「二人とも、助けてくれてありがとう」

「村雨さんから連絡をもらったからね」

「陽夜、そうなの?」

 尋ねるとコクリと頷き言った。

「緊急事態かなっと思って……あんなに早く来てくれるとは思わなかったけど、ありがとう」

「二人とも、助けてくれて本当にありがとう」

 そう言い頭を下げる。今回は断りきれなかったのでとても助かった。

「大したことはしてないけど」

「困っていたら助けないとね」

 四宮くんはそうやって人を助けていくのだろう。

 私も体育館倉庫では助けてもらった。あの時の私にとっては、光であり颯爽と登場するヒーローにも見えた。

 四宮くんの場合は助けに入る()()の方が正しいのかもしれない。

 井上くんも「大したことない」と言っているが、駆けつけてくれた時は肩で息をしていた。運動神経の良い二人でも息が上がるほど、急いで来てくれたのだろう。

「カッコ良かった、ありがとう」

 胸の前で手を重ね、微笑む姿は天使……女神と言っても過言ではないと感じてしまうほどだった。

 通りすがりの人も立ち止まり、陽夜に注目していた。普段から言われ慣れている二人も少し、戸惑っているようだった。

「えっ……ありがとう」

「む、村雨さん!?……えっと、その、ありがとう……」

 二言目の特に戸惑っているのが井上くんだ。

 流石の井上くんも陽夜には弱かったようだ。美男美女でお似合いだが、陽夜は蒼井くんの方が良いのだろう。

 井上くんなら陽夜を任せられる気がする。四宮くんでも良いと思うけどね。

「そろそろ場所を移動しようか。イルカショーを見に行くんだったよね」

「ショーの場所は……ここに近いみたいだ」

 井上くんはパンフレットを開き、先導してくれた。

 館内のマップは昨日までに頭に全て入れたのは言わない方が良いだろう。

 陽夜に何かあったときのために覚えたのであって、回るときのためではない。朝、陽夜から借りたパンフレットでもう一度確認したので間違えて覚えていることはなさそうだ。



 少し歩くと、ショーの場所に着いた。入り組んだ場所では無かったため、迷わず来れたようだった。井上くんのおかげでもあるが。

「じゃあ、井上と葵さんと村雨さんは席取りしててくれるかな」

「四宮は?」

「昼食買ってくるよ。二人だけにするのは心配だから、井上、よろしく」

「分かった」

 井上くんがそう返事をすると四宮くんは買いに行ってしまった。わざわざ心配をかけてしまい申し訳ないが、ここに来る前に買うので良かったのではないか。

 きっと四宮くんは、お店が混んでいると思い、席取りのために先にこちらに来たのだろう。



 陽夜は水族館にあまり来たことがないからと言い誘ったが、私も両親が亡くなる前に来たのが最後だ。

 なのでいつもよりも少しテンションが高めだ。陽夜のためにまわりへの警戒は怠らないけど。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回は久しぶりに蒼井さんが出てきました。(文章内にですが)

葵(女)が陽夜の笑顔を「天使」「女神」と言っているのは、多少のフィルターがかかっています。

それでも陽夜の笑顔は、フィルター無しの人が見ても可愛いと思う笑顔です。

次回はイルカショーです。

また読んでいただけたら光栄です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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