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水族館編 回想

いつもより短めです。



待ち合わせを日曜日から月曜日に変更しました。

 


 文化祭のあった週の月曜日、待ち合わせ場所の駅に来ていた。

 月曜日と言っても祝日ではなく世間はいつも通りの平日で、うちの学校が振替休日で休みになっただけだ。

 もちろん、四宮くんと二人で行くわけも無く、陽夜と井上くんも一緒だ。

 集合の三十分前だからかまだ四宮くんも井上くんも来ていなかった。

「葵、今日は誘ってくれてありがとう」

 少し着飾った陽夜が言う。

「旦那様からの許可も頂けたので安心して楽しめますね」

 そう言うと陽夜は溜め息をついた。

「葵」

「何でしょうか、お嬢様」

「今、井上くんも四宮くんも居ないからって敬語じゃダメだよ。葵が緊張すると敬語になるのは知っているけど」

「申しわ——」

 そこまで言ってハッとし、言い直す。

「そうだね、陽夜」

「正解。折角メイド服じゃなくてよそいきの服を着てるんだから、ね!」

 優しい笑顔になり、グッと親指を立てた。

 それを見て旦那様とのやりとりを思い出した。




 文化祭の打ち上げ後、旦那様の書斎に向かった。

「失礼致します、四宮です」

「四宮さんか、入って良いよ」

「失礼します」

 そう言い中に入ると旦那様が迎えてくれた。

「四宮さん、どうぞ座って」

 いえ、ここで。と言おうとしてハッとする。

 旦那様の「座って」は「座りなさい」という命令なのだと。

「ありがとうございます」

 腰をかけると自分の部屋の椅子とは違い、腰掛けやすく、座面もふわふわで何時間でも座って居られるようだった。

「四宮さんがここに来るなんて珍しいね。どうかした?」

「本日、水族館のチケットが手に入りまして──」

「敬語でなくて良いよ。ここには四宮さんと私しかいない」

 そう言われて見ると鈴木さんも蒼井さんも居なかった。

「自分のけじめなので、このままでいることを、お許しください」

「分かった」

「陽夜お嬢様はあまり水族館に行かれたことが無いのでは、と思いまして、良かったら陽夜お嬢様にご一緒させていただけますでしょうか」

 そう言い旦那様の顔色を伺うと少し口元が緩んでいるように見えた。

「ああ、是非行っておいで。息抜きに……とはいかないだろうけど、楽しんでくると良いよ。給料は出すから陽夜の護衛もよろしく」

「かしこまりました」

「信頼していないわけではないが、いつものように護衛は手配しておく。本当に何かあった時以外は関わらないように言うのでそのつもりで」

「お手を煩わせてしまい申し訳ありません」

 護衛が密かに着くのはいつものことだが、わざわざ強調するくらいなので気をつけろということだろうか。

「あと、今日のメイド喫茶での対応は見事だった。流石と言えば良いのかな」

「もったいないお言葉です。ありがとうございます」

「いやいや、本当のことだから。四宮さんはここでのメイド服と文化祭で使ったものの、どちらが動きやすかったかい?」

「こちらの方が慣れておりますので」

 確かに学校で使ったメイド服の方がスカート丈が短く、動きやすかったが、本職のメイドとしてこちらの服を選びたい。

「そうかい。向こうが良ければ向こうを使っても良いと思ったんだけどね」

「お気遣いいただきありがとうございます」

「それと……」

 言いづらそうに少し躊躇ってから言った。

「前に話したことなんだけどね。考えてくれた?」

「はい……私は────────────」

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回からが「水族館編」となっています。

どこまで水族館編が続くかは分かりませんがしばらくは続く予定です。

もしかしたら、すぐに終わってしまう可能性もあります。

また次回も読んでいただけると光栄です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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