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打ち上げ V 洗い物

また一件、ブックマークが増えていました!

とても嬉しいです。

ありがとうございます。

 

「王様の人は挙手」

 あれからしばらくして再びゲームが始まっていた。

 すると、偶然を疑いたくなるような出来事が起こっていた。

「じゃあ二十番が三十番をお姫様抱っこする」

「男子が三十で女子が二十だったらキツくない?」

「じゃあそこは各自の判断に任せる〜」

「二十は私です」

 そう言い挙手する。

 二十番と言われた時にまたか、と思わず思ってしまった。

 私が言うとすかさず女子が挙手をする。

「うちは三十」

「また葵さん?」

「さっきからずっとだね、すごい人気」

「偶然も過ぎると言いますか……本当に偶然か疑いたくなりますよね」

 みんなの輪から外れて三十番の女子が来るのを待つ。

 三十番の子は少し恥ずかしそうに輪の外に出てきた。

 私はというと既に慣れて恥ずかしいという思いも無くなってきた。

 クラスメイトをお姫様抱っこすること三回、あ〜んと食べさせること二回、ツーショットを撮り、クラスラインに送られること二回、そろそろ他の人の為に抜けようかなと考えていた。

「私、重いと思うので……他の人に─」

「大丈夫ですよ。割と力はある方なので」

 そう言い右肘を曲げ、拳を軽く握ってその子に見せる。

 そもそも、今日だけで三回したお姫様抱っこの中で、男子のことも一回したので少しくらいふくよかな女子でも軽々とすることが出来ると思う。

 まあその子は小柄な子なので別に何とも思わないと思う。



 実際、何も起こらずすぐに終わった。

 思い出したくもないが、その後のターンで私を狙ったであろう、語尾に「ぴょん」を付けるという命令が出された。

 運良く私は当たらず男子が言わされてたのは気の毒だったが、それが最後のターンになり、クラスの人たちの良い思い出にはなったことだろう。

 王様も男子が当たり「お前じゃない!!!」と叫んでいたのは印象的だった。



「今日はもうお開きということで。最後に『メイド喫茶』のMVPだった陽夜ちゃんに賞品です!!」

「ありがとう。開けても良いかな?」

「もちろん」

 陽夜が綺麗に包装された賞品を開けていくと、淡い色のレターセットが出てきた。

「レターセット?」

「そう!可愛いでしょ、予算が足りなくてこれしか買えなかったけど……」

「すごい嬉しい、ありがとう」

 胸にレターセットを抱え頭を下げた。


 陽夜がしたのはお嬢様がするような優雅な礼だった。公言してないが隠すことでもないとはいえ、クラスの人たちに、陽夜が良いところのお嬢様ということは伝わってしまったようだ。

 まあ大半はレターセットを抱え「ありがとう」と言った心からの笑顔で、そこまで考える余裕は無かったように見えた。

「しょ、賞品も陽夜ちゃんに渡ったし、お開きに、しようか」

 光井さんが仕切り直そうとしてくれているが、焦っているのか所々切って話していた。

 仕切り直してくれるのはありがたいのでそこは置いておこう。

「今日はありがとうございました」

 光井さんのその声でみんなは帰る支度を始めた。

「私たちも帰ろうか」

「少し待ってくれる?」

「もちろん、手伝うよ」

 何をとは言わなかったが伝わったようだ。

 店を貸し切りにして使わせてもらったのに後片付けをしないわけにいかない。

「陽夜、帰るまで付けててって言われたけどもう、取って良いよね……うさ耳」

「ダメだよ。ちゃんと付けていなくちゃ」

「もうみんないないよ」

 そう言い辺りを見回す。

 残っているのは私と陽夜。四宮くんに井上くん、それにクラスメイト数人と小林さんだった。

「とりあえず、片付け終わるまでは付けてなよ!」

「分かった……」

 うさ耳に掛けていた手を外し、小林さんに声をかける。

「小林さん、何か手伝えることはありますか?」

「じゃあ……お皿を洗ってもらえるかな。そこの台所は使ってくれて大丈夫だから」

「分かった……失礼します」

 お皿を手に持ち台所に入る。飲食店なだけあってとても綺麗だった。

 お皿を流しに入れ洗う。時間が経ってしまったからか少し落ちづらくなっていた。

「葵さん」

「追加の洗い物がありますか?」

「あるけど、『葵ちゃん』って呼んでも良いかな?」

「大丈夫ですよ。洗い物もらいますね」

「私のことも亜美で良いよ、それとタメ口で」

「亜美ちゃん、で良いのかな?」

「うん」

 そう言うと嬉しそうに笑った。

 返事の返し方は間違っていなかったようだ。

「葵ちゃんって音も無く洗うね」

「そうかな」

 と返事をしたが、これも訓練したからだ。水谷さんはいつ、何が起こるかわからないからと言い教えてくれた。水の音は仕方がないが出来るだけそれも無くすのが理想だそうだ。

「うん!私、よく起こられちゃうんだよね」

「家の手伝いしてて偉いね」

「そんなことないけど……将来は継ぎたいから」

「応援してるよ」

 これはお世辞ではない。小林さんなら実現出来ると思ったからだ。

「ありがとう」

「私は何もしてないよ……あと、洗い終わったけど、他に何かすることはある?」

「ううん、みんながやってくれたから無いよ。ありがとう」

「こちらこそ、使わせてもらいありがとうございました」

「じゃあまたね」

 出入り口のところまでだが、見えなくなるまで見送ってくれた。

 小林さんはいい子だ。今度菓子折りを持って行くのは変わらないが。

「葵、帰ったら水族館に行けるかお父様に聞かないとね」

「そうですね、お嬢様」

「まだ良いじゃん、タメ口で」

 そう言い口を膨らませる。本当に一つ一つの動作が可愛い。

 そんな話をしていると少し前に車が止まった。

「 お嬢様、迎えに参りました」

「水谷さん、ありがとう」

 迎えをお願いしていたので来てくれたようだ。

 電話をしたのは二、三分前。御屋敷からここまで車で十分ほどかかる。

 電話があってから御屋敷を出たとは思うが、どうして間に合っているのだろう。

 しかし、今は仕事だ。

 陽夜がそう言っている間に車の扉を開ける。

 これから長い夜が始ままりそうだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

打ち上げ編は今回で終わりとなります。

次回は水族館でのことに出来たらなと思っています。

また次回も読んでいただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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