コンテスト 後半
『 』の部分は、葵(男女共に)がそれぞれ男装、女装のために声を変えているところです。
「次は同じく二年A組の四宮 葵さんです」
『こんにちは、四宮 葵です』
いつもより低めの声を意識して出してみる。
「執事なんですね……本当に男装ですか?実は男とか無いですよね」
『今は男ですよ』
「いやーカッコいいですね。まあとりあえず、最近ハマっていることはありますか?」
『ハマっているというよりかはしていることですが、お嬢様方の服を作ったり、お嬢様に紅茶とケーキをお出しすることが多いですね』
嘘は言ってない。メイド服を沢山作ったり、陽夜に紅茶を出したりしていたので決して嘘ではない。
「役に入り込んでますね」
『本当のことですよ』
「四宮様!今日もお綺麗です!」
「王子様!どうして男装と嘘をついて?」
ギャラリーの声が上がってきた。本当に女なんだけどな。
「色々声が上がってますが、いかがですか」
『私はみなさんがおっしゃっている方と同名のものです。異性同名とでも言いましょうか。みなさんがおっしゃっている四宮さんはもっと背が高いですよ』
「でも四宮様ですよね?」
「どうして」
「王子様!」
聞いてなかったのかな。とりあえず司会の人に確認をする。もちろんマイクを外して。
「これってこのままだと失格になりますか?」
「男装に見えませんし……」
『では普段の声を出して男装のことを証明できれば失格にはなりませんよね』
「まあそんな感じですね」
マイクを戻し、声を普段のように出す。
「これで信じていただけますでしょうか。本当の男性と間違われるくらい男装をきちんと出来ていたようで嬉しいです」
『……と、こんな感じで信じていただけたでしょうか』
そう言うと何故か司会の人はぼーっとしていた。
「やっぱり葵ちゃんじゃん」
「葵ちゃーん」
「四宮さん、男装もカッコいいです」
葵ちゃん?そう呼んでくる人はこの学校にはいないと思っていたが、誰が呼んでいるのだろうか。
最後の「男装もカッコいいです」以外は男の人の声みたいだし……
とりあえず司会の人が何も言ってくれないので聞いてみる。
『あのー……もしかして失格でしょうか』
「そ、そんなことはありません!」
『なら良かったです。ありがとうこざいます』
せっかく教えてもらったのに使わないのも勿体ないので礼をしておく。
現役の人から教わったのでおかしくないはずだがシーンとしてしまった。何かまずいことでもしてしまっただろうか。
そんな空気を取り除いたのは司会の人だった。きちんと仕事をしてくれたようで良かった。
「綺麗な礼ですね……男装でもいいです。連絡先を教えてください!!ついでに最後に一言、お願いします」
ついでが一言なのか……
『連絡先は教え出来ませんが、二年A組ではメイド喫茶をしているので、来ていただければお会い出来ると思いますよ。お嬢様、応援よろしくお願いします』
「はい!…………」
司会の人はしばらくはぼーっとしてからわざとらしく咳払いをした。
「すみません、さっきのは取り消しで……司会は特定の人の応援は出来ませんから……でも後でこっそり連絡先を教えてくださいね、愛に性別は関係ありませんから!四宮 葵さん、ありがとうこざいました」
『失礼します』
そう言い舞台袖に戻った。
「葵!やりすぎな気もしたけどカッコよかったよ」
「ありがとう、陽夜も昨日の夜に考えた通りに言えてたね」
昨日の夜に一言言わなくてはいけないと知り慌てて考えたのだ。
「普段から僕は使わないからね」
「流石に私も私は使わないよ」
「でもなんで四宮くんに見えたんだろうね」
「身長もあんなに高くはないんだけどな」
「それに葵は女性的な身体的特徴があるし……」
わざわざどこが、とは言わないがじーっと見てきた。
「陽夜、どこ見てるの!……早く純粋な陽夜に戻って」
「良いな大きくて……」
そう言い溜息をつき、陽夜は下を向いた。
ちなみに四宮くんはタオルを巻いて女性らしい体に見せるらしい。
「そろそろこの話題は終わり。葵くんの番になるよ」
「そうだね!」
この切り替えぎ早いところも凄いなと思う。
「次は二年A組の四宮 葵さんです」
『こんにちは、四宮 葵です』
そう言った瞬間、会場の話し声が止み、四宮くんをみんなが注目していた。
「こんな美女、うちの学校にいましたっけ……本当に女装ですか?実は転校生とかありませんよね」
『今は女ですよ』
「それにしても紺のセーラー服に黒タイツ……小説を手に持っているのもポイントが高いですね」
『ありがとうこざいます』
「最近ハマっていることは?」
『小説を読むことですね』
そう言い小説を口に当て微笑んだ。その動きはとても上品でそこらの女子よりもよほど女性らしかった。
「最後に一言、お願いします」
『一言ってほどのものはありませんが応援、よろしくお願いしますね』
そう言いスカートの裾を少しつまみお辞儀をして『それでは、ご機嫌よう』と言い舞台袖に戻っていった。
四宮くんは結構本気でやったらしい。
一度、練習したときは動きがぎこちなく口元を隠して微笑むなんて出来る状況ではなかった。
優勝したら「口説く」というのは本気だったのだろうか……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前回は陽夜の、今回は二人の葵の発表が終わったので、次回は結果発表になります。
次回もまた読んでいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




