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第23話:お金稼ぎ

奴隷商から出た僕は、早速行動を開始した。

まだ昼前だが、早いに越したことはない。


まずは魔法の鞄をもう1つ買いに行く。魔法の鞄は、中古でもそれなりの値段で売られているので、価値が大幅に下がるということのない、元の世界で言うところの時計みたいなものだと思った。だから高かったが気にせず買うことができた。ちなみに前と容量は同じだが、外側のデザインが違うものにしたので、これからは気分によって使い分けるとしよう。


それから薬師ギルドに行き、調剤の道具をもう1セット買った。思った以上に出費が嵩みそうなので、300万ではなくハイポーション40本分──約400万稼ぐことに予定を変更する。空き瓶と薬草を大量に買い込み、片っ端から買ったばかりの鞄に詰め込んでいった。


宿に戻り、道具を2セット広げ同時進行でポーションを作っていく。レシピは頭に入っているので、ここからは単純作業だ。僕は集中してひたすらポーション作りをこなしていった。




そして夕方、手元には40本のハイポーションが出来ていた。

本気を出せば3日もかからなかったな。

半日で稼いでしまった。

ふっ、ちょろいぜ。



ぶっ通しで作業していたので昼飯を食べておらず、非常にお腹が空いているのだが、そんなことは関係ないとばかりに、僕は薬師ギルドに向かった。


「あっリンタローさん。何かあったんですか?午前中、すごい形相で薬草を買われて行きましたけど」


買い取り用のカウンターに向かうと、もはや顔馴染みとなった店員のリサさんが心配の声をかけてくれた。


ちなみに、なぜ彼女が僕の名前を知っているのか、については、いつも情報収集も兼ねて彼女と世間話をしていた所、先に名乗られたのでつい名乗り返してしまった、という経緯がある。まぁ代わりに自己紹介という名の個人情報が聞けたから良かったが。この子かわいいし。


「いえ、少し用事ができてしまいまして………その準備に追われていただけですよ」


「そうだったんですか………よかったです。私、リンタローさんの身に何かあったんじゃないかと思って心配してたんですよ?」


彼女は少し俯いて、上目遣いで僕の目を見つめながらそう言った。


「え?心配かけちゃいましたか?」


「はい!私、気が気じゃありませんでした!」


「そんなに………それは本当にすいませんでした」


「いえ、そんな謝らないで下さい!私が勝手に心配してただけですから」


「そうですか………えっと、じゃあこれ、いつもより多いですけど買い取りお願いします」


僕はそう言って40本のハイポーションをカウンターの上に並べた。


「わわっ、ほんとに多いですね………じゃあちょっと確認するので少し待っててくださいね?」


「分かりました」


彼女はカウンターから取り出した魔道具らしきもので効果を確認していく。毎回この間、僕は暇になるのだが、10本だと1、2分で終わるため、いつも作業を眺めるふりをして彼女の容姿を見てしまっている。


ピンクのショートヘアー。短くても艶のある髪に小さい背丈も相まって、さながら小動物のようだ。


仕方ないよな。だって髪ピンクだったら気になるでしょ。向こうにはいなかった人種だし。


「………?どうかしましたか?」


おおっと、さすがに5分も見ていると怪しまれるか…


「えっ、いやリサさん髪綺麗だなーと思って」


この口は咄嗟にこんな台詞を出すことができる。


「え、あ、ほんとですか?ありがとうございますぅ………」


彼女は髪をいじりながら、顔を赤く染めていた。


そんなに照れないで下さい。

言ったこっちも恥ずかしくなります。


「それはそうと………確認終わりましたか?」


「あっ、はい終わりました!ハイポーションが40本、確かに受け取りました!それでは代金を取ってくるのでちょっと待っててください!」


彼女は慌てたように奥へと走っていった。

そんなに急がなくてもいいのに………


しばらくして彼女は巾着袋を抱えて戻ってきた。

中から数種類の硬貨を取り出し、並べていく。


「それでは、ハイポーション1本が9万5千ゴールドなので、40本で380万ゴールドですね。確認お願いします」


渡された金額が正しいことを確かめてから、鞄に入れてある財布にしまった。財布と言っても巾着袋を使っている訳だが。元の世界の財布を使おうにも紙幣やカードはないから使いづらいし。


「いつもありがとうございます。需要の割に供給が全然足りてないので助かってます」


「しばらく街を離れる予定なので多目に作っておいたんですよ」


一応、言い訳を伝えておく。

僕からの供給のせいで価格が下げられたら困るからな。


「そ、そんな………」


「あ、でも2、3日で戻ってくる予定ですけどね」


だからそんな絶望した目で見るのはやめてください。


「じゃ、じゃあ………その、戻ってきたら一緒にお食事でもどうですか?」


彼女は一瞬で顔を綻ばせ、もじもじしながら提案してきた。


「えぇ、勿論いいですよ。ぜひ行きましょう!」


そこにはもう、人見知りの似非教祖だった頃の僕はおらず、社交的な魔法使いがいるだけだった。

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