第1話:女神との出会い
小さい頃から“王”に憧れた。
発明王や石油王に自動車王。
それらは聞いただけで誰かを連想できるぐらい、適切で馴染んだ“最高の称号”。
かっこいい。
皆から常識として名前を覚えられ尊敬される。
僕もそんな称号がつくような立派な人間になれたらなぁ。
本当はただ、ちやほやされたかっただけなのかもしれないけど。
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「“勤労”というものの定義が薄れつつある現代。“職業”ではあっても働いているとは思えない職種はいくつもある。
ネットの株取引で収益を得ている者など、企業の努力の上澄みを頂いているだけではないか。あぶく銭で生きることは許されるのだろうか。
YouTuberやプロゲーマーなどは、企業の末端の広告塔であることは間違いないだろうが、はたして本当にそれは働いていると言えるのだろうか。
そもそも僕はタレントやアスリートなども働いているとは思わない。もちろん客寄せパンダやオリンピックといった活用法はあるのだろうが、“勤労”といえるかどうかは甚だ疑問である。しかもその多くが民衆の支持を得て名誉を築き上げているのが気に入らない。
資本主義の社会であるため、これらは仕方ないと言われればそれまでであるが。
さらにはAIに仕事を奪われつつある。ならば働かなくてもいいのではないか。
そもそも“働く”とは何なのか。
様々な疑問と思考が僕のなかを駆け巡り、膨らんでいった。
だから僕は働くことをしなかった。あぶく銭で生きることにしたのだ。それと名声も欲しかった。
ゆえに僕は教祖になったのだ。
今では信者の数もそれなりにいて、活動資金を得るための飲食店やホテルなどの多角経営も軌道にのっている。もうすぐ拠点となる施設も完成して、後は法人格を得るだけの所まできたのだ」
あと少しで立派な教祖になれる。
あと少し…だったのに…。
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目の前を覆う光の奔流を手で遮り目を細めながら、僕はこれまでの人生を走馬灯のように振り返っていた。
先週辺りに語った言葉が脳裏に浮かんできた。あれは確か久々に会った高校時代の友達と飲みに行った時のことだ。話は近況の報告になり、酔った勢いでかっこつけて、精一杯の威厳を見せつけるかのように話した言葉。
それっぽいことを並べているが、本当はただ働きたくなかっただけなのに。
目の前の光が収まり、気がつくと周りの景色が真っ白になっていた。爆発でも起きたのかと思ったが、どうやら違うようだ。
ここはどこだろうか。
なにもない空間。明るいのに影すらない。ここが元いた場所でないことを否が応にも理解させられた。迫っていた死への恐怖が安堵に変わり、同時に混乱が生まれていく。
一体何が起きているんだろうか。
狼狽える気持ちを必死に抑え、冷静さを取り繕う。
さっきまでいた所は新しくできた施設の自室だったはずなのに。
いつものように昼過ぎに起き身嗜みを整え、外出の準備をした。普段なら集会は夕方からなので急ぐ必要はないが、新たな拠点の完成の報告を受けて、その日は下見に行くため早くに出掛けたのだ。
拠点についてから一通り施設の説明を受け、自室の確認に向かった。自室のドアを開け部屋に入った瞬間、光に包まれた。
そして今に至る。
現状を振り返り終わった時、まるで見計らったかのようなタイミングで後ろから声を掛けられた。
「佐川 凛太郎さんですね」
透き通るような、心に染み入るような声。
先程まで何もなかったその場所には、女神と称しても百人が百人とも賛同してくれるであろう壮麗な美女が、優しげな微笑みを浮かべて立っていた。
適当な設定だし、小説を書くのに慣れていないので、変な文章かもしれません。でも書き直しを重ねることで、それなりの作品を作りたいと思います。なので変更が多々あるかもしれませんが、ご了承下さい。




