第863話 魔王戦争ラフィメストス編13
「心臓は取られてないみたいだが、どうやった?」
ドクドクと血が出ているチャッチャラーだが、心臓は健在だ。
「ギリギリだったっスけど、敵さんの攻撃を避けられないと判断したんで自分から刺されに行ったんスよ。心臓は避けるように」
それでも深傷を追ったチャッチャラーは辛そうだ。
「ほら、ポーションだ。天使な私に感謝しろ」
「うす、助かるっス」
傷口にポーションをかけるが、全回復まではいかないようだ。
血は止まったがザックリと胸に傷跡が残る。
*
「このッ、何ですかこれは。刃が刺さらない」
円状に丸まったカラクリをシラセはトドメをさそうと剣を振りかざすが、丸く固いボールのような形になったカラクリはシラセの刃を軽く弾く。
「ひゃっひゃっひゃ、どうせ死ぬならお前もろとも道連れだ」
カラクリが赤く光る。
「不味い! 自爆する気か! シラセ、離れろ!」
「おおと、邪魔はさせん」
「ち、ラフィメストス」
俺はシラセのカバーに入ろうとするが、ラフィメストスに邪魔される。
あの威力は不味いな。核爆発に近い。
爆発すれば辺り一帯は火の海と化すだろう。
「さらばだ!」
カラクリがそう言い残し自滅を試みた瞬間。
スルリと俺の影から人影が現れる。
「〝氷鉄扇〟!」
爆発するその瞬間、扇の形をした氷が爆発するカラクリを凍らし、カラクリを砕く。
「ったく、今まで何してやがった黒芒」
現れたのは黒芒だ。
大遅刻だぞ!
「すまぬ主様、そこの魔王と魔族程度なら主様とシラセの小娘でこと足りると思ってのう」
どこまでもマイペースな黒芒。後で説教だな。助けてくれたことには礼は言うが。
「黒芒……!」
「久しぶりじゃのう。ラフィメストス。まだ生きておったか。てっきり〝天聖〟とその〝五兄妹〟に倒されたと思っておったが」
ラフィメストスは忌まわしげな顔で黒芒を睨む。
どうやら顔見知りのようだ。
「大聖女と剣の剣聖に封印されたお前には言われたくない」
「戦ってはおらぬ。あの時代の大聖女に未来へと逃がされたのじゃ。まあまさか1000年もの間、封印されるとは思わなかったがの」
パシッと扇子を畳む黒芒。
「何だ、やらんのか?」
「ぬかせ。主様がおるのじゃ、妾の出番は無い」
戦わない姿勢の黒芒を見てどこかホッとした様子のラフィメストス。
俺と黒芒を同時に相手するのは流石に部が悪いと思ったようだ。
「シラセの小娘。これはそなたが持っておれ」
ヒョイっと黒芒が投げたのは、
「魔族の魔力核! いいんですか?」
カラクリからドロップした魔力核だった。
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