第71話 日本帰還スキルの制限
「ええ、過去の訪問者様や帰還者様にも協力していただき、検証をさせていただいたのですが、向こうの世界の者や日本の者を連れての移動は不可能でした。お子様や血縁者様であればと確認してみたようですが、それも無理なようです」
「なるほど。確かに子供であればできそうなものですけれどね……」
どうやら祝福者以外の者に日本帰還スキルを使うことはできなかったようだ。俺も祝福者であるユウカやアオイに使ってみたけれど、一緒に世界を渡ることはできなかった。3人目の子供であれば、それも可能かなとも思ったけれど、残念ながらそれはできないらしい。
……みんなには少し残念な報告となってしまうが、まだみんなが日本に行ける可能性がゼロと決まったわけではないからな。
「鈴木様の物を移動できる条件は自身が所有物と認識している物のみで合っておりますでしょうか?」
「はい。私の方でもいろいろと検証してみましたけれど、その通りです」
「承知しました。お手数ですが他の方と同様か確認するため、鈴木様のお時間のある際に、一度検証にお付き合いいただければと思います。我々が把握しております条件といたしましては訪問者様の手や衣服に触れていれば大きさは関係ないようですね。ただし、建造物などのように地面に固定されているような物は不可で、元の場所の部屋などに入らない物は持ち込めないといったところでしょうか」
「……そこまで詳しく調べていたとは。わかりました、私の方こそ検証をよろしくお願いします」
俺よりも日本帰還スキルについて詳しいとは驚いた。俺も多少はこのスキルについていろいろ検証してみたけれど、そこまでは検証していない。
家みたいな地面に固定されている物は持ち込めないらしいけれど、逆を言えばもっと大きな物でも条件を満たせば持ち込めるのかもな。
この日本帰還スキルは俺の生命線だし、スキルを可能な限り検証しておくことは生存率を上げることにもつながるし、こちらの方からお願いしたいくらいだ。
「ありがとうございます、夜ノ宮さん。護衛道具や他の物も助かりました。今後ともよろしくお願いします」
「はい、こちらこそ本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
お互いに用意してきた物を交換して一度目の取引を終えた。次は一月後くらいにポーションなどを用意しておく。
結構なお金が振り込まれるみたいだし、発電機や護衛道具などこちらが思っていた以上の物を用意してくれ、新しい情報もいろいろと手に入った。みんなと改めて相談するとしよう。
「ただいま~」
「カケル、大丈夫だった!」
「カケル様、ご無事でしょうか!」
日本帰還を使って異世界へ戻ってくると、ユウカとアオイが駆け寄ってくる。
前回もそうだったけれど、初めての取引だから、今まで以上に俺のことを心配していたのかもしれない。
「大丈夫、無事に取引を終えて、いろいろと必要な物を受け取ってきたよ」
屋敷の居間に日本で受け取ってきた物を広げる。さすがに護身用の道具は全部広げられないので、その一部を見せた。
漫画、ポータブル電源、発電機、大量の護身用道具など、マジックバッグを2つ持っていってよかったらしい。
「たった1日でこれだけの物を集めるとは驚いたわね……」
「こっちのは本当に護身用の道具……?」
2人とも俺が思ったことと同じことを思ったみたいだ。
大量にこれだけの量の物を1日で用意するのもすごいし、こっちの護身道具は凶悪な武器にも見えるもんなあ~
逆に向こうもあれだけのポーションとその素材を提供したことには驚いているかもしれない。まあ、こっちは1日ではなく、事前にみんなが用意してくれていた物だけれど。
「ポータブル電源についてはすでに充電してくれているらしいから、これで前に購入した家電が動くか試してみようか」
「そうね、炊飯器と電子レンジを試してみましょう」
台所に設置した炊飯器と電子レンジのコンセントをポータブル電源に接続してみる。電源を入れると、無事に家電を動かすことができた。
「おお~これでこっちの異世界でも家電が使えるようになったね。業務用の電源らしいから、電量もすごく多いし、高電圧の物も使えるみたいだよ」
「ありがとう、カケル。これでいろいろと便利になるわ!」
「……家電があると、一気に現代日本感が増してきますね」
これで屋敷の台所が一気に現代日本に近付いたのはアオイの言う通りだ。やはり家電のような機械を見ると、安心感のようなものが出てくるのはなんでだろうな。
ご飯を毎日炊飯器で炊けるのは助かる。これまではユウカにだいぶ不便をかけてしまっていた。
「漫画はレインの分もあるから、今度送ってあげよう。あとはいくつか報告と相談したいことがあるんだ」
俺より前の祝福者のこと、その子供でも世界を渡ることができなかったこと、金銭的にかなり余裕があるのでみんなの家族への支援をどうするかなどを相談する。




