ブラッディーホワイトデイアルバム外伝
白い日ですので、外伝です。
皆様もお気をつけて。ボンバーウーマンはそこらじゅうにいるぞ。
――3月中旬。
「そう、ここがあの女のハウスね!」
既に危ないセリフが飛び出してきた。
「ここが、あの女の、ハウスねッ!!」
もう止めてください。
そう言ってるのは、アルセイデス。アホ毛(ただしウィッグ)とセミロングの赤毛が特徴的な女子校生だ。
現在の時刻は、夜中の2時。一般人は普通に寝ている頃である。
……のだが、明日も学校があるというのにも、未だに元気に起きており、彼女は白い吐息を絶え間なく噴出している。
そう、例えるなら、暴走した某汎用人型人造人間のごとく。
「野郎、ぶっ殺してやる!」
つい先程まで、女のハウスと言ってはいたが、何故か男のハウスになってしまっている。
「あいつを殺して、私は死なない」
酷い。だからヒドイン候補になる可能性のことに、彼女は全く気付いてない。天然な故。
事の始まりは、午後4時あたり。場所は学校。
「ホワイトデー、明日よね」
あれ? 先日は春、ハルウララな季節だったのに、いつの間にか刻を超えたんだろ。
副会長は疑問に思った。
そして、黒瀬生徒会長の言葉を理解できなかった。
「先月のバンアレン帯デイ、ちゃんとチョコあげたよねぇ、副会長!」
黒瀬生徒会長は、ドンパチしたあと変わってしまった。どうしてこうなった。
バレンタインデーの事だよな、確かにもらった気はするが、チ〇ルチョコだった。義理でしたよね?
でも中村武士君には、何か豪華なハート形のヤツを上げてたような気がした。
チ〇ルチョコ好きだから、すぐ食べた。感謝の気持ちなんて無い。
「あ、一応私も副会長さんにお渡ししてます」
書記係からも、もらった気がする。あーそうだった気がする。でも食べたら汚染されてRAD-Xのお世話になりそうだったから、捨てたけど。
だが、気持ちを無下にすると、明日には書記係から書記長へレベルアップした人あたりに、処される自身がある。
なので副会長は、こんなこともあろうかと、準備していた。
「はい、これお返しです、お二人とも。ちゃんと3倍満ですよ」
と言い、紙袋を取り出した。
「え!? 凄いじゃないですか!!」
副会長は、無難にラムレーズンのロールケーキを買ってきていた。
理由は単純。皆で食べれるし、値段もそこそこであるというだけであったが、買った場所は近所のスーパーで調達。
そして、ラッピングが面倒だったので、適当な紙袋を100均で買ってきたヤツに入れただけ……とは、絶対に言わない。
言ったら2人に撲殺される自信があったから。
「ありがとう。……んで? 確か、私はぁー、本命の人にぃー、チョコあげたワケだけど、ねぇ?」
黒瀬会長はちょいと不機嫌だった。
会長の目線の先には、一人の男子生徒。
酷く汗を掻いている生徒、中村武志は、命の危機を感じ始めた。
そもそも、生徒会とは無関係の人であるハズなのに、なぜこの場に居るの?
回答、彼は、キモウトとヤンデレとツンデレ用のお返しを忘れた為、逃げたらしい。アホ毛からは貰ってないらしい。
果たして、シューターと愉快な仲間達(このなかに、一人だけ常識人がいる)の巣窟に入ってしまった。
「……話は聞かせてもらったわ!!」
ここで厄介なヤツが現れる。
アルセイデス(アホ毛)だ。
どうせまた、盗聴でもしていたのだろう。
「あ、確かアルセイデスさんでしたよね?」
副会長、女生徒の名前を覚えるのが苦手だったりする。
「そう、私がアルセイデス。それ以上でも、それ以下でもない……からね」
赤い人繋がりなのか? 髪の毛赤いし。
「黒瀬会長、武志君にホワイトデーのプレゼント、渡したいんだよね?」
「逆ッ!! 私が欲しいのよ。そもそもこっちが渡すのは、バンアレン帯の日でしょ!? ダライアス的に」
どーしよもない天然娘、ホワイトデーのことを良く知らないようだ。
あと、バレンタインだ。
そもそも、キャンディーを男性から女性にあげるという、どこぞの菓子メーカーの陰謀により始まったこの行事ではあるし、別に知らなくても問題ない。
だが、一般社会の常識として浸透してしまった今、それを男性が怠った場合……女性陣からの報復が始まる。という状況。
そして黒瀬生徒会長、もうシューター廃人と化している。元々だったのだけど。
「あ、妹がうるさいんで、そろそろ失礼しま……」
と言って退場したい中村武志が言うところで、シューター黒瀬沙織、とんでもないことを思い出した。
「そういえば、中村君は、ちゃんとお返しを用意して、く・れ・て・い・る・の! かしら……」
返答を間違えたら『対ゾンビの為に仕方なく学校に暮らした人たち』の、お話のように、窓が全部割れそうなオーラが出始めている。
そう、中村武志は、美緒からも黒瀬会長から貰ってしまった。アルセイデス……からは貰ってないからどうでも良い。
ついでに、メルセイデスからも貰ってしまった。強制注入された、シリンジで。
彼の間違い……それは、彼女らに対するお返しを、全く用意していなかったのだ。
「ウガァ!! 兄貴のヤツッ! 何で来ない!!」
「み、美緒ちゃん、ちょっと落ち着いて!?」
相変わらずの苦労人、赤城香織は、暴走した中村美緒を抑えるのに必死だった。
「今日は白い日だよ!! 何で兄貴は来ない!! お返しを寄越せぇ!! 倍返しだ!」
「……私もせっかく気合入れて作ったのに、お返し貰ってないし。もうどうでもいいよ……」
失言だった。
「ああぁ!? なんつったゴラァ!!」
「あああー!! ごめんなさいごめんなさい」
「見せてもらおうか、この赤い釘バットの性能とやらを」
どこから取り出したのか不明だが、木製の野球用バットに、大量の釘が刺さってる、物騒な物体が現れた。何気に赤黒く変色しているのは何故だろう?
「止めなよー! 大丈夫、兄貴は一番良い装備を使ってるから、死なないよ」
そういう問題じゃない気がする。
「兄貴の気配は……生徒会室か。撲殺して不思議な呪文で復活させてやる」
殺しちゃ駄目でしょー!!
「場所は把握した。レッツラゴー!!」
そう言い残し、中村美緒は教室のドアを破壊して、生徒会室へと向かっていった。
何故、素直にドアをスライドして開けようと考えないのか?
つづく!




