第二話 『強い正義の心』
開いて下さりありがとうございます!
「人は、極めて才能がずば抜けで優れている者を天才と呼ぶ。
その天才は大きく分けて2種類ある。
"生まれながらにして天才の者,,。
"努力に努力を重ね天才になった者,,。
君は"生まれながらにして天才の者,,ではいないと思うのだよ。」
「ひどいこと言うなァ清水先生。もしかしたら秘められた才能があるかもしれないのに。 」
「あっははは、そうだね。もしかしたら………もしかしたらあるかもね。」
「うぅ、なんで2回も同じことをいうんすか…」
「まぁまぁ、
でも、君は特別な才能がない代わりに強い正義の心を持っていると私は思っている。」
「地味に今、才能がないって言いましたね…
…強い正義の心っすか?
そうっすかね〜、
なんかよく分からないけど照れますね〜。
…これと言って、目立った良い行い、GP集めをした覚えないんですけど……」
「いや、君の持つ正義の心とは、
目立った良い行い、GPを貯めることではないんだよ。」
「言ってる意味がわかりません。」
「今はそうかもしれないな。
いや、そうだからこそ、君は強い正義の心を持ってると言えるのだろうな。」
「ますます良く分からなくなってきたんですけど。」
「今はそれでいい。
それに、そこら辺の人が持つ才能なんかより君の強い正義の心の方がよっぽど素晴らしいものなのだよ。」
「そうっすか!!
んじゃ、夏休みは思っ切りあそ_______________」
「 だが残念なことに、
いくら強い正義の心を持っているとは言っても、
君は学力、GPはあまり芳しくない。」
「あ、はい。」
「だから、もう少し努力をしなさい。
天才になれとまでは言わん。
出来ればなってほしいのだが。
最低限のことはしよう。
…まー、結局、私が君に言いたかったことはとにかく努力をして欲しいということだよ。」
「は、はぁ…」
「せっかく君はいいものを、持っているのだし、尚更だよ。
だけど、人間は明確な目的や夢がないと努力することはそう簡単にはできない。
でも、何か、何かきっかけさえあれば君の場合は明確な目的や夢を見つけ、努力をすることが出来ると私は思うんだよ。」
「んーー。
てか、結局勉強とか、GPの話なんですね…」
「まー、さっきも言ったけど君の成績はあまりお世辞にも良いと言えるものではないからね。
…だからもう時期始まる高校2年の夏休みに努力するための糧となる何かを遊ぶだけでなくちゃんと見つけてくるといい。」
高校2年の一学期終了一週間前に佐藤 勇気が最も信頼する先生、清水 定信と個人懇談の時にこんなことを話したなと、
佐藤 勇気は思い出す。
俺には明確な目的も夢もない。
いや、もう持っても遅いのかもしれない。
その努力をするための糧を見つけても意味が無いのかもしれない。
何故かって?
俺は今、極悪体育教師をプールの中に突き落としたからである。
耐えられなかった。
許せなかった。
教師としての振る舞い、態度、言動、
何もかも全てが許せなかった。
気づいた頃には極悪体育教師、横井はプールの中だった。
今日は丁度、授業を見学に来ていた県内の高校の教師たちの目もあった。
その中には良人育成高校の先生もいた。
まー、ガラスの壁越しからの見学だから、音は聞こえないのだが。
だが、
勇気は横井に怒鳴り散らしたあとに、プールにたたき落としたのだった。
「おまえぇ!!、自分が何やったか分かっとんのか?
生徒風情が教師に何してんだ?
あぁ?!?!?!?」
極悪体育教師、横井はこれ以上ないほど怒りを露にしていた。
あまりの怒声に、プールの水がお湯になるのでは?と思う生徒もちらほらいた。
一方、勇気はそこから何も言い返すことが出来ずにいた。
石像のように固まっていた。
今自分が何をしたか、まだはっきり理解出来ていなかったからだ。
プールに横井を突き落とし、
はっ、と、ふと我に戻り、
周りを見回した時、すべてを理解し、悟った。
突き落としたのを見ていた高校の教師達は唖然としていて、
親友だと思っていた友達も目を合わてはくれなった。
あぁ、やってしまった。
まともな高校にはたぶんもう行けない。
もう、何もかも終わったと。
その終わりを告げるかのように丁度、授業終了のチャイムが鳴り響いた。
佐藤 勇気は心の底から叫んだ。
「うぅぅあぁぁあああっっ!!!!!!!」
時は遡ること10分前______________
授業を早めに切り上げた極悪体育教師、横井は、
毎時間のごとくの意味もないただの八つ当たりの説教をしていた。
「なんで、黙って静かに水泳の授業がおまえらできんの?
てかおまえら、
いままで何をしてきた?
全員、下手くそすぎでまともに成績つけれんのだけど。」
横井の見た目は50代後半ぐらいの男性で、
口元が少しアヒル口になっており、目は常に何かを睨んだような目をしていた。
もちろん、勇気達は授業中に不必要なことは喋ってはいなかった。
不必要なことは。
実は横井、まともに授業をしたことが1度もないのだ。
何をどうしたらいいのかわからない。
わからないから誰かに聞く。
次は何をするの?
バタフライじゃね?
バタフライってどうやって泳ぐの?
しかしその時、泳がなくてはならないのは平泳ぎだった。
横井の声は小さく、全体に届きづらい。
平泳ぎではなく、バタフライをしようとした。
それが気に入らなかったらしい。
実に短気すぎるものだ。
短気よりも酷いのかもしれない。
これは水泳に限ったことだけではない。
バスケットボール、バレーボール、マラソン、いままでやってきた全ての体育の授業において、まともに指導してくれたことはない。
これをやれ。
命令するだけ。
それだけなのだ。
毎時間自習。
そして最後に、八つ当たりのお説教。
「お前らのクラスは俺が見てきたなかでは1番ひどい。
最悪だ。
ったく、お前らの担任は誰だ?」
もちろん誰も言うはずがない。
口を開きたくないに決まっている。
しかし、唯一1人、口を開いた者がいた。
"佐藤 勇気,,
勇気は殺気立った感情を拳に込め、他の言っちゃまずいことを言わないように抑え込みながらなんとか呟いた。
「…清水先生です。」
だが、怒りを何とか抑えていた勇気だったが次の横井の台詞で一気にそのセーフティーロックが解除された。
「清水先生か、
清水先生は病気だな。
生徒がこんなんになるまで放置しとくだなんて。
前々から思ってはいたが、
何年教師務めてるんだよ。
こんな出来の悪いクラスほんと始めてだっ!!」
「っせぇ……」
勇気から、
ブチーンというギターの弦が勢いよく切れたような音が聞こえたような気がした。
「あぁ?誰だ、今うるっせぇっていったやつは。。
誰だぁ??
…………これだから、清水先生のクラスは_______________」
「うるっせえって言ってんだろうが!!クソ教師っ!!!
今すぐ俺らと清水先生に謝れ!!!」
勇気にとって
清水先生は憧れだった。
ヒーローだった。
目標ですらあったのかもしれない。
それを大いに侮辱した横井が許せなかったのだ。
成績のことがあるから我慢しないといけない?
我慢できるはずがなかった。
「誰だ今叫んだやつ。
……おまえか、なんて名前だ?
前にでろ。」
鼻息を荒つかせながら勇気は自分よりも身長が高くガタイのいい極悪教師の前にどうどうと出た。
「佐藤 勇気だ。
さっき言ったこと聞こえてなかったか?」
少し震えた声で勇気はそう答えた。
「佐藤 勇気か。
おい、なんだその口の利き方は?
教師をなんだと思ってんだてめぇ?」
「お、お前のことを教師だと思ったことは1度もねぇよ。
んなことより、早く謝れって言ってんだろ。」
「もういいわ。
おまえ、成績1な。」
「謝れって言ってんだろぉがぁぁ。。。」
とても低い声で勇気は呟く。
「お前も清水と同じで、びょうき
_______________!?」
「まだ言うかクソ野郎!!!!
謝れっつってんだろぉがぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
勇気の限界を遂に越えた瞬間だった。
「んぐぅ!?!?!?」
横井の低い悲鳴とドバーン!と爆発音に似た水しぶきの音がプール室内に響き渡った。
そして、その数十秒後、
佐藤 勇気の心の底からの叫びと怒声が混じったものが学校中に響き渡った。
その光景を見ていた1人の高校の教師が少し口元をニヤつかせ、
「あいつが佐藤 勇気か、……面白いやつだな。」
静かにそう呟いたのだった。
読んで下さりありがとうございました!
いかがだったでしょうか?
次回は佐藤 勇気のその後を書こうと思ってます。




